フットサルでも世界最高。スペインフットサル観戦のすすめ

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フットサルでも世界最高。スペインフットサル観戦のすすめ

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スペインがフットボール大国であることに異論を唱える人はいないだろう。サッカー代表チームは2008年欧州選手権、2010年W杯、2012年欧州選手権を連覇。クラブレベルでもFCバルセロナ(以下バルセロナ)がジョゼップ・グアルディオラ監督に率いられた2008年から2012年の4年間で実に14ものタイトルを獲得した。

ボールを支配し、リズミカルなパスワークで敵の守備網を崩すスペイン代表とバルセロナのプレースタイルは世界中のサッカーファンに愛され、また数多くのチームや指導者たちの目指すべき指針とされている。

そして、スペインはもう1つのフットボール、フットサルの世界でも大国としての地位を築いている。1989年から始まったフットサルW杯で優勝2回、準優勝3回を誇り、1996年の第3回大会からは5大会連続で決勝に進出。1996年から2年ごとに行われている欧州選手権では過去9大会のうち6回も王者に輝いている。

代表チームの成功を支える世界最強リーグ


※リーグ公式サイトにアップされているスーパープレー集“SHOWTIME”

フットサルスペイン代表の強さの最大の要因。それは国内リーグの充実にある。スペインのプロフットサルリーグ『LNFS(リーガ・ナシオナル・デ・フットボール・サラ)』は、フットサルW杯の第1回開催年と同じ1989年にスタートした。

当時はスペインでもフットサルを「所詮はミニサッカー」と見る風潮があったそうだが、スペインサッカー協会による他国に先駆けた指導者ラインセンス制度の確立や積極的なテレビ放送によりプレーレベルや世間の注目度を高め、現在ではスペイン代表選手はもちろん、ブラジルやポルトガルといった強豪国の選手たちも数多くプレーする、質・規模ともに世界最高のリーグとなった。

リーグを代表する3強の存在

フットサル界のクラシコ、エルポソvsインテルの広告(リーグ公式サイトより)

フットサル界のクラシコ、エルポソvsインテルの広告(リーグ公式サイトより)

時に目が追いつかないほどの素早いパスワーク、激しい球際のぶつかり合い、綿密な戦術、予測不可能な力強くも美しい個人技…毎試合、世界最高レベルの戦いが繰り広げられているスペインフットサルリーグだが、ここ数年の優勝争いはサッカーのリーガエスパニョーラと同様に3強クラブによって繰り広げられている。

インテル:最多優勝回数を誇る昨季王者

(クラブ公式サイトより)

(クラブ公式サイトより)

昨季の王者はマドリッド州郊外のアルカラ・デ・エナーレスに本拠地を置くインテル・フットボール・サラ(以下インテル)だ。インテルは最多9回のリーグ優勝の他、欧州王者にも4度輝いた(現行のUEFAフットサル選手権で優勝3回、2001年まで行われていた欧州クラブ選手権で優勝1回)経験のあるスペイン最高の名門クラブだが、2007-2008シーズンを最後にリーグタイトルからは遠ざかっていた。

そんな悩める名門クラブに久々の歓喜をもたらしたのが昨夏にFリーグの名古屋オーシャンズから加入したポルトガル代表のリカルジーニョだ。日本のファンにも馴染み深い天才レフティーの活躍によって、昨季インテルは6季振りにリーグを制し、そしてリカルジーニョ本人もリーグMVPに選出された。

FCバルセロナ:フットサルでも欧州を制した世界屈指のビッグクラブ

(クラブ公式サイトより)

(クラブ公式サイトより)

昨季はインテルの後塵を拝したものの、ここ数年のスペインフットサルをリードしてきたのは世界有数のビッグクラブのフットサル部門であるバルセロナだ。バルセロナは2006年に1部リーグ昇格を果たすと、そこからビッグクラブの資金力を活かしてチームを強化していき、2010-2011シーズンからはリーグ3連覇を達成。2010-2011シーズンにはUEFAフットサルカップを制して欧州王者の頂きに立った。

昨季はインテルにリーグ4連覇の夢を阻まれたものの、UEFAフットサルカップで再び優勝。スペイン代表のセルヒオ・ロサーノやブラジル代表のウィルデといった選手たちを中心とした攻撃的フットサルを展開するバルセロナは、フットサルでも「美しく勝つ」というクラブ哲学を見事に体現している。

エルポソ・ムルシア:リーグ創成期からの実績を誇る超名門

(クラブ公式サイトより)

(クラブ公式サイトより)

スペイン南東部の都市ムルシアをホームタウンとするエルポソ・ムルシア(以下エルポソ)は、インテルに次いで5回のリーグ優勝を経験している。ここ4季は前述の2クラブの壁に阻まれてはいるが、就任14季目を迎えたクラブOBでもあるブラジル出身のドゥダ監督は毎シーズン必ずタイトル争いに絡むチームを作り上げ、またリーグ創成期からのライバルであるインテルとの対戦はサッカーのレアル・マドリーとバルセロナの対戦と同じく “エル・クラシコ”という呼び名が冠される。

今季もレギュラーシーズン制覇の行方はこの3強の争いに絞られており※、この原稿執筆段階では、20節終了時点で3強が勝ち点51で並ぶという大激戦となっている。

※スペインフットサルリーグは16チームで争うレギュラーシーズンの後に上位8チームによる優勝決定プレーオフが行われ、最終的なリーグ王者が決定される。

試合はインターネットでチェック


※第20節のインテルvsサラゴサはストリーミングで生中継された。

しかし残念ながら、日本では現在どのテレビ局もスペインリーグの放映権を有していないため、この世界最高のリーグ戦をテレビ観戦することはできない。

日本でスペインフットサルリーグを観る方法は今のところはインターネット放送のみに限られている。リーグ公式サイトLNFS.esでは、毎週リーグ戦の全試合のハイライトやベストゴールやベストプレーを配信しているが、第20節のインテルvsサラゴサと第21節のサラゴサvsバルセロナはストリーミング放送で全世界に生中継された。このストリーミング中継が今後も行われるのかどうかは不明だが、スペインリーグの試合を観たいという方は、リーグ公式サイトをこまめにチェックして情報を集めてみよう。


※バルセロナの公式チャンネルでも時折試合の配信が行われている。

また、今季はバルセロナが公式YouTubeチャンネルで2ヶ月に1度程度のペースで試合のライブ配信を行っているので、こちらも定期的にのぞいてみると良いだろう。

現地観戦のすすめ

(リーグ公式ツイッター@LNFS89より)

(リーグ公式ツイッター@LNFS89より)

最後に、やはりスポーツである以上は現地での観戦を強くおすすめしたい。筆者の個人的な見解だが、ボールも人もスピーディーに動き続けるフットサルはサッカーよりも「外れ試合」に当たることが少ないので、フットサルを観るということに馴染みのない人でも十二分に楽しめるはずだ。また、スペインフットサルリーグの入場料は、大体5ユーロ。エルポソvsインテルのようなビッグマッチでも10ユーロ程度と非常にリーズナブルだ。

前述した3強の直接対決のようなビッグマッチでは、アリーナは満員に埋まり、最高潮に達したファンのテンションは選手たちにまで波及して、試合がとにかく熱く激しいものになる。スペイン観光の一環としてサンチャゴ・ベルナベウやカンプ・ノウを訪れるように、近々スペインへの旅行を予定している人はフットサルを観に行って、熱い試合の興奮を是非味わってみてほしい。

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