スタジアム周辺で見つけた!プレミアリーグのおもしろTシャツ

スタジアム周辺で見つけた!プレミアリーグのおもしろTシャツ DO

スタジアム周辺で見つけた!プレミアリーグのおもしろTシャツ

スポーティ

面白フレーズはイングランドの得意技。プレミアリーグにも「ネタ」はいっぱい!

ロンドンを歩いていると、思わず笑ってしまう文句の書かれたTシャツを着ている人によく出会います。先日は、気温7℃の寒空の下、特急の切符を買う列で筆者の前になぜか半袖Tシャツ姿て並んでいた男性の背に書かれていたのは”Where is my jumper?(僕のセーターはどこ?)”。ピカデリーサーカス(ロンドンの中心部)のお土産店にあるTシャツにさえも、”LONDON”と大きくデザインされたTシャツの隣に、”l will only drink on days that start with T. Tuesday Thursday Today Tomorrow……(俺はTで始まる日にしか酒を飲まない。火曜日、木曜日、今日、明日……以下、1週間分の曜日が強引にTで始まる単語に置き換えられている)”などとプリントされたものが並んでいます。こうしたTシャツをわざわざ買って身に着けるのがイギリス人。「ネタ」好きということにかけては、彼らの情熱は相当なものと言えるでしょう。

そんなイングランドのこと、当然プレミアリーググッズのTシャツにも「ネタ」がたくさん盛り込まれています。今回は、そんなプレミアリーグの「ネタTシャツ」をご紹介してみたいと思います。

Mユナイテッド対リバプールからヴェンゲル対モウリーニョまで、ライバル関係はネタの宝庫!

プレミアリーグで最もネタになりやすいのはライバルチーム。試合中のチャントもそうですが、イングランド人が即興的にライバルを茶化して笑いにするセンスは抜群です。

マンチェスター・ユナイテッドの本拠地、オールド・トラフォードの露店で見つけたのは、宿敵リヴァプールを茶化すTシャツ。”You Will Never Walk Alone”といえば、「キミは一人で歩いてるんじゃない」と歌い上げるリヴァプールの感動的なテーマソングですが、ライバルの手にかかると”I’D RATHER WALK ALONE”ともじられてしまいました。ちなみに、左側にいるピッチフォークを持った悪魔がマンチェスター・ユナイテッドのキャラクター、右側にいるのがリヴァプールのキャラクターである火の鳥。「俺様はむしろ一人で行くぜ!」といった意味合いで、近年、上位にいることが多いマンチェスター・ユナイテッドがリヴァプールを揶揄しているのです。

写真1
現在、マスコットの悪魔は比較的可愛いのですが、この悪魔は悪そう!右端のTシャツも、2013-2014シーズン、優勝を争っていたチェルシーとの大一番で、ピッチ上で滑って1点を献上したジェラードを揶揄したもの。あくまでリヴァプールが標的です。

写真2
こちらは映画『フォレスト・ガンプ』の一場面をもじって、「まだリヴァプールが優勝するのを待っているの?」とアテレコしたデザイン。待っている人、骨になっちゃってます!(笑)

ちなみに、こうしてTシャツのデザインでマンチェスター・ユナイテッドが揶揄するのは、お隣のマンチェスター・シティではなく主にリヴァプール。マンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールの対戦は「ナショナル・ダービー」とも呼ばれ、両者は全国的なライバルチームと位置付けられているだけに、真っ先に意識するのはやはりリヴァプールなのでしょう。

ライバルといえば、ノースロンドンの2チーム、アーセナルとトッテナムを忘れてはいけません。アーセナルの本拠地、エミレーツ・スタジアム周辺の露店には、トッテナムを揶揄するTシャツがいっぱい。写真中央上段、泣いている赤ちゃんを、もう一人の赤ちゃんが笑っているデザインでは、泣いている赤ちゃんの胸にトッテナムのロゴ、笑っている赤ちゃんの胸にアーセナルのロゴが付いています。中央下段の赤い円に紺色の横棒のデザインは、ロンドンの地下鉄のデザイン。地下鉄のアナウンスでよく聞く”MIND THE GAP(段差にご注意)”と入っていれば、よくあるロンドン土産のデザインなのですが、ここではそれをもじって、アーセナルがトッテナムとの「実力差」を誇示するデザインとなっています。

写真3
左上の”SHE WORE A YELLOW RIBBON”は、FAカップでウェンブリー行きを決めた=ベスト4に勝ち残ったクラブが歌うチャントをデザインしたもの。残念ながらアーセナルは、このTシャツが売られていた日の試合で、2015-2016シーズンのFAカップ敗退が決まってしまいました。

写真4
赤ちゃんのTシャツのほうはトッテナムの本拠地、ホワイト・ハート・レーンにも同じデザインのものが売られていました。よく見れば胸のロゴを入れ替えただけ。全く、お互い様と言わざるをえません!

また、ライバルといえば監督同士の人間関係もターゲットに。以前、チェルシーのモウリーニョ監督(当時)が、アーセナルのヴェンゲル監督のことを”Specialist in failure(失敗の専門家)”と呼んだことがありましたが、昨年のチャンピオンズリーグで、チェルシーがベスト8でパリ・サンジェルマン相手に敗退してしまった直後に売られていたのが右端のTシャツ。”EXPERT IN SUCCESS(成功の達人)”のSUCCESS(成功)を消して、”EXPERT IN FAILURE(失敗の達人)”へ。”SPECIALIST”を”EXPERT(達人)”に変えてはいるものの、あきらかにモウリーニョ発言をもじっています。さらにその後、その年のFAカップを獲得したヴェンゲルを”EXPERT IN SUCCESS”と持ち上げる念の入りよう。お騒がせ監督の「ネタになる」発言を、ファンが見逃すはずはないのです。

写真5
右端のモウリーニョのTシャツは、写真も秀逸。どこから探してきたのかというような絶妙な表情が笑いを誘います。

“KEEP CALM and ……”定番フレーズで意思表示

ロンドンの土産店でよく見かけるのが、赤地に白で”KEEP CALM and CARRY ON”と書かれたさまざまなグッズ。このフレーズはもともと、イギリスが第二次世界大戦の直前に、国民の士気を維持するため、「落ち着いて、普段通りの生活を」と呼びかけたポスターのスローガンでした。しかし現在では、デザインのよさもあいまってロンドン土産の定番に。このフレーズをもじったTシャツのデザインも、各クラブバージョンが作られています。

たとえばアーセナルなら”KEEP CALM and LOVE AFC(落ち着いて、アーセナルを愛せ)”
というものや”KEEP CALM and HATE SPURS(落ち着いて、トッテナムを憎め)”など(SPURS=スパーズはトッテナムの通称)。もちろんトッテナム側にも同じように”KEEP CALM and HATE ARSENAL(落ち着いて、アーセナルを憎め)”というのがあります。ここでもやはり、ターゲットはライバルチームです。

写真6
“KEEP CALM and HATE SPURS”は上の写真に登場していますが、やられたトッテナムもきっちりやり返しています。

分かるヤツだけ分かればいい!サポーターなら分かる内輪系

ちょっと気の利いたパターンとしては、サポーターなら分かるもじりデザインもあります。写真の”THE NORTH BANK”というロゴ、よく見るとアウトドア用品で有名な”THE NORTH FACE”のデザインそのものですが、”THE NORTH BANK”というのはもともと、アーセナルの旧本拠地ハイベリースタジアムで、ファンが集っていたゴール裏の愛称。今はエミレーツ・スタジアムに引き継がれているスタンドの愛称をもじったデザインには、ファンならニヤリとしてしまうはずです。

写真7
“THE NORTH BANK”の左にある”THE CLOCK END”は、”THE NORTH BANK”に対面するゴール裏席の愛称。CLOCKの”O”部分は、スタンド上部に取り付けられている時計のデザインになっています。

こちらはちょっと強引ですが、トッテナムのハリー・ケイン選手をデザインしたTシャツ。元ネタは、名作映画『市民ケーン』のポスターです。ケイン選手を知らない人には「?」なデザインかもしれませんが、こんなデザインも、知っているから分かる面白デザインといえるでしょう。

写真8
ハリー・ケイン選手の名前の綴りは、『市民ケーン』と同じ”KANE”。ちなみに、ビートルズの歌に掛けて”Here Comes The SON”と、ソン・フンミン選手をデザインしたものもありました。

こうした面白Tシャツを見かけるのは、公式ショップよりは圧倒的に周辺の露店。中には「これは大丈夫なの?」と思ってしまうようなブラックなデザインのものもありますが、非公式だからこそできてしまうということもあるのでしょう。イングランドのスタジアムを訪ねたなら、ぜひこうした露店のTシャツにも目を向けてみたいものです。

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