奇跡を起こせ!卓球女子!

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奇跡を起こせ!卓球女子!

スポーティ

人気、競技人口ともに上昇中の卓球。トップアスリートから地域のチームまで、スポーツくじ(toto・BIG)の収益による助成が広く活用されている競技のひとつであり、どなたでも気軽に楽しめる楽しいスポーツです。

そして、2016年2月に開催された卓球世界選手権団体戦では男女とも銀メダルを獲得し、世界的な実力を改めて証明しました。卓球日本代表の練習拠点、味の素ナショナルトレーニングセンターでは、彼女たちのラリーが今日もリズムを刻み続けます。

世界の頂点を目指し、練習を重ねる女子代表、福原愛選手(ANA)、石川佳純選手(全農)、伊藤美誠選手(スターツ)に話を聞きました。

福原愛選手インタビュー

次こそ、金メダルを持ち帰りたい

――2月28日から3月6日に行われた世界選手権を振り返ってみて、どんなシーンが印象に残っていますか。
自分の試合で一番印象に残っているのは、準々決勝のドイツ戦です。グループリーグ最終戦でドイツに負けて、ホテルに帰ってミーティングをしていたときに、翌日の準々決勝の相手がドイツだと発表されました。対戦相手が決まるのが比較的早かったことで、気持ちをすぐに切り替えることができました。みんな、「こんなところでグズグズしている場合じゃない」という気持ちになりました。
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決勝では、今回も中国に敗れてしまいました。日本女子は国際大会の団体戦で、ロンドン五輪以降ずっと銀メダルなので、リオ五輪では金メダルを獲得できるように頑張りたいです。またシングルスでもメダルを持って帰ってくることを自分の目標にしています。

2016年に入ってから、1年7か月ぶりに張 莉梓(ちゃん・りさ)コーチの指導を受けていますが、張コーチからも卓球との向き合い方が変わったと評価していただいています。「自分でしっかり自分の意見を言えるようになった」「以前よりも卓球に対する理解が深まった」と言っていただけたことは、今の私にとってすごく大きな自信になっています。

――団体戦で同じ日本代表メンバーである石川佳純選手、伊藤美誠選手について、どんな印象をお持ちですか?
2人とも、試合を見てみなさんが感じるとおり、勝利に対する意欲が強い選手です。私も見習いたい部分ですね。そのほかにも、私に欠けているところを2人から勉強していきたいです。

特に佳純ちゃんからは、本当にいつもいい刺激をもらっています。佳純ちゃんがいてくれることによって、私もさらに頑張れる。ライバルって本来そういうものだと思います。対戦することもあれば、一緒に練習することもありますので、お互いに切磋琢磨しながら高めあって成長していくことは、日本の女子チームにとっても良いことだと思っています。

――伊藤選手は、2歳の時に初めて買ってもらったラケットが「福原愛モデル」だったそうです。福原選手は、いつも若い選手たちの憧れ、目標となる存在だと思います。
美誠ちゃんのラケットの話は、知りませんでした。目標と思っていただけることは嬉しいですし、そういう選手にならなきゃいけないなと、背筋が伸びる思いです。

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日本のスポーツ施設や環境は素晴らしい

――アスリートとして長くスポーツに関わってきて、スポーツを「見る人」「支える人」の存在をどのように感じますか?
私は色々な国で大会に出場し、国それぞれの環境の違いも体験していますが、日本のスポーツ施設や環境は素晴らしいと感じます。またファンの方々の応援にも、お国柄といいますか、それぞれ特徴がありますね。たとえば中国では観客の中に卓球経験者が多いと感じますし、ヨーロッパは会場を盛り上げるのが上手だと感じます。ですから中国やヨーロッパの会場では、観客席からものすごい迫力を感じます。そして日本では、応援を通して選手を支えようというみなさんの心を、たくさんいただいています。

スポーツを支えてくださるという意味では、やはりスポーツくじが果たしてくれていることが、私たち選手にとって本当にありがたいことです。私は個人として平成25年、26年にアスリート助成という形で支援していただきましたし、卓球界全体も、また他のスポーツも、選手育成のために幅広く助成していただき感謝しています。

スポーツくじがいろんな形でスポーツを支援してくださるのも、くじを買ってくださる方々のおかげです。本当に感謝しています。私もtotoの予想シートを実際に見たことがありますが、これを全部当てるのは難しいなと思いました(笑)。totoファンのみなさんには、さらに予想を磨いていただいて、また、予想が大変な人には運任せのBIGで、当せんの喜びを味わってほしいと思います。

支えてくれる周りの方々との出会いが、一番の奇跡

――福原さんのブログには、去年の8月13日に『卓球を始めた日』というタイトルの文章が綴られていました。日付まで覚えているほどの何か強いエピソードがあるのでしょうか?
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1992年8月13日が、私が正式に卓球の練習を始めた日だと、母から聞きました。当時私は3歳9ヶ月で、初日の練習は覚えていませんが、小さい頃、卓球台の上に置いたぬいぐるみにボールを当てたりしていた記憶がかすかに残っています。母はこの8月13日からずっと、私の練習ノートを付け続けていました。ちなみにそのノートを、私は読んだことがありません。メディアを通してちらっと見た程度です。年を重ねるたびに、この8月13日という日が大事に思えるようになってきました。自分一人ではこの場所に立てていなかった、ということを実感するからです。

最近特に思うのですが、私は周りの方々に恵まれているんです。自分のプレーとか成績とかは、周りの方々に支えていただいて残せているもの。そういった方たちに出会えていることが、一番の奇跡だと思います。みなさんからいただく様々な支えに対して、私たちアスリートは結果を残すことが一番の恩返しだと思いますので、選手みんなが努力して日本スポーツ界を盛り上げていきたいと思っています。

そして、スポーツをやる人、見る人、支える人が一体になり、スポーツ界が盛り上がることによって、アスリート以外の多くの人にも「体を動かそう」「健康な体になろう」という関心が高まる気がします。楽しく体を動かしながら健康になれるということは、とてもいいことだと思います。私はいつも体育館で競技をしていますので、時にはスポーツくじの助成で整備されたグラウンドを、思い切り走り回ってみたいなと思います。いつかスポーツくじの企画で、広くて緑のきれいなグラウンドに連れて行ってください!

石川佳純選手インタビュー

自分の成長を感じることができた、世界選手権

――世界選手権での、日本女子の準優勝という結果をどう受け止めていますか。
レベルの高いチームとの対戦が続いた大会で、決勝まで勝ち上がれたことは大きな自信になりました。しかし、決勝で負けてしまったので、悔しいという気持ちのほうが大きいです。決勝では中国の李暁霞選手と対戦しました。李選手とはロンドン五輪のシングルス準決勝でも対戦しましたが、そのときは正直手も足も出ないという印象でした。逆に今回の世界選手権は、私が第1第2ゲームを連取して、勝てるチャンスがすごく大きかったと思います。それを勝てず悔しいですが、ラリーや3球目攻撃などで自分の成長を感じることもできました。
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――日本代表の仲間である福原愛選手、伊藤美誠選手の印象は?
福原さんはいつでも全力。試合前の準備なども入念です。どんな時も手を抜かないプロフェッショナルだと思います。福原さんとは世界ランクも競っていますし、仲間でもありライバルでもあります。競う相手がいることは刺激になり、ありがたいことだと思います。

(伊藤)美誠ちゃんは15歳ですけど、すごく落ち着いていて物怖じしないですよね。私自身の15歳の頃を振り返ってみると、確かに試合で緊張することはなかったですね。勝てばラッキー、負けても失うものは何もない、と考えていました。その後、私は年齢や実績を重ねるごとに自分に自信とプレッシャーの両方を感じるようになりましたが、美誠ちゃんにはいつまでも堂々と、落ち着いた卓球をしてほしいと思っています。

スポーツくじはスポーツとの出会いの場を作ってくれている

――石川選手が卓球を始めたのは、小学1年生の時だそうですね。
はい。日本代表レベルの選手は2歳、3歳から始めたという選手が多いので、私は遅いほうです。幼稚園の頃は水泳、ピアノ、クラシックバレエなど、他の習い事をやっていました。

私が卓球を始めるきっかけになったのは、両親の所属する卓球クラブの試合を見にいったことでした。最初は会場で他の子どもたちと遊んでいましたが、すぐに飽きてしまい、「大人の仲間に入りたい」と思ったのが卓球との出会いでした。

それから4ヶ月ぐらいで全国大会の予選に出場して、予選通過できたんです。勝てたことが嬉しくて、一生懸命やろうという気持ちになりました。すると今度は母が自宅の1階に卓球場を作り、卓球教室を開きました。まさか家に卓球場ができるなんて想像もしなかったので、「これは頑張らなきゃいけないな」と思ったことをよく覚えています。

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――自宅が卓球場になり、卓球教室が開かれた。身近な場所に施設があるというのは、とても恵まれた環境だと思います。スポーツくじも、全国各地の様々な人たちがスポーツを楽しめるように、施設の整備などを助成しています。
家の近くに施設があることは、スポーツとの出会いにとって大事だと思います。小さいころは公園などで、遊びの中でスポーツに触れて、「もっとやりたい」と思ったら仲間を集めて体育館などの施設に行く。そうしてスポーツに関わっていけるのはいいことだと思います。

そう考えると、スポーツくじは人々とスポーツとの出会いの場を作ってくれているのだと感じます。小1の私が卓球と出会ったのも、近所に体育館があって、そこで大人たちが楽しそうに球を打っていたからです。
卓球は何歳からでも始められるスポーツで、そしてたくさんの世代が一緒にできるスポーツでもあります。小さな子どもとおじいちゃん、おばあちゃんが試合をできるスポーツは、なかなかないと思います。

奇跡で片付けず、「なぜ勝てたのか」と考えることで身につくことがあるはず

――石川選手の卓球人生の中で、「これは奇跡だ!」と思うような体験はありましたか?
2016-06-16_164548自分の想像を超えるパフォーマンスを出せた経験なら、あります。2009年に横浜で開かれた世界選手権です。当時16歳の私は世界ランク99位で、10位の帖雅娜選手(香港)と対戦しました。4ゲーム先取で勝ち抜けという試合で、私は第3ゲームまで全部負けて、第4ゲームも3-9と大きくリードを奪われました。あと2点で相手の勝ちが決まる。でもそこから私が挽回して、第4〜第7ゲームを取り逆転勝ちしました。

きっと見ている方は「奇跡だ!」と感じたと思います。でも私は、それを奇跡と表現するつもりはありません。私には勝てた理由があると思っています。それは「絶対あきらめない」という気持ちと、マックスまで高まった集中力です。集中しきった時からボールがすごくゆっくりに見えて、普段見えないボールの回転まで見えました。そして打つ前に「これは絶対入る」と思うと、必ず狙ったところに入りました。

去年、ラグビー日本代表が南アフリカに勝った時も「奇跡だ」と表現されていましたけど、私は必ず根拠があると思っていたので「どんな練習をしたのだろう」という興味を抱きました。「あれは奇跡だったね」で片付けることなく、「なぜ勝てたのか」と考えることで身につくものがあるはずです。私は2009年のあの大逆転のように、練習から高い集中力を持てている時は、試合でも集中力のスイッチが入りやすいのかなという感覚をつかんでいます。

――今後も大きな舞台で、石川選手の「必然の大勝利」を期待しています。最後に、スポーツくじを購入することで様々なスポーツを応援してくれているスポーツファンのみなさんに、メッセージをお願いします。
みなさんの気持ちをエネルギーに変えて、もっともっと活躍できるように頑張っていきます。多くの方に支えていただいていることをとてもありがたく感じています。私の大きな目標は、やはり世界一です。これまでにお会いしたことのある吉田沙保里さんや高橋尚子さんなど、世界の頂点に立った方はやっぱり金メダルのように輝きが違うなと感じます。私もその輝きを手に入れたいです。

伊藤美誠選手インタビュー

結果が欲しい時に、恐れずに自分を出すのは難しいこと

――2月28日から3月6日に行われた世界選手権を振り返ってみて、どんなシーンが印象に残っていますか。
一番印象に残っている試合は、やはり準決勝の北朝鮮戦ですね。第1試合で負けた時、自分の調子の悪さに驚いてしまいました。次の出番となった第4試合では、自分を変えなければいけないと思いました。やれることをすべて出そう、思い切って攻めて主導権を握っていこうと。その気持ちを試合に出すことができ、初めて対戦したリ・ミョンスン選手に勝つことができました。

結果が欲しい時に、恐れずに自分を出すというのは、とても難しいです。けれど団体戦ではチームのみんなが支えてくれるので、シングルスの時以上に気持ちをしっかり持つことができます。やっぱり福原選手、石川選手たちと一緒にいると安心感があります。

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大会中は2人ともさりげなく気をつかってくださいました。年下の私がいろいろ気をつかわなくてはと思うのですが、逆に先輩2人が、私が自分の試合に集中できるようにと気を配ってくださいました。実はリ・ミョンスン戦の後、貧血状態で頭が痛くなったのですが、その時に福原さんが気がついてカバンを持ってくださいました。石川選手は、物事を明快に言ってくださるので、私も判断しやすく感謝しています。

――伊藤選手は15歳と若いですが、これまでに伸び悩んだとか、壁にぶつかったと思うことはありましたか?
五輪の代表争いが佳境に差し掛かった頃、2015年の7月から9月頃にかけて、まったく成績が出なかったことですね。その時期は試合が重なっていて、合間に少しずつ練習しているような日程でした。相手に対応されたくないので新しいプレーを練習していたのですが、自分がそれを使いこなせるようになる前に次の試合を迎えてしまっていたんですね。でも、その苦しい経験を踏んだことで、自分を崩す必要はないと気づきました。自分を変化させるのは、練習にじっくり集中できる期間に取り組めばいいと思うようになりました。

皆さんの前で素直な自分を出せる選手になりたい

――世界選手権の様子はテレビ放映され、日本でもとても盛り上がっていました。

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いただいた感想の中に、「初めて卓球を見て感動した」というのがありました。私たち選手も、感動を届けられたことを嬉しく思っています。日本では卓球人気が急上昇というか、盛んになってきたと感じます。でも、中国はもっとすごいです。中国はまさに卓球の国という感じで、テレビをつければCMにもバラエティにも、何にでも卓球が出てくるんです。卓球は競技スポーツとしても、健康づくりのためにも、どちらでも楽しめるスポーツだと思いますので、日本でももっと広まるといいな、と思います。

――スポーツを見る人、支える人の存在を、どんな風に感じますか?
私は平成27年度のtoto助成金交付式に出席させていただきました。その時になでしこジャパンの選手たちと少しだけお話しすることができ、他競技の選手たちと話す機会をもっと持ちたいと思いました。

交付式では、スポーツを育てるためにいろんな人が関わってくださっていることが分かりましたし、影で見守ってくれている方はもっとたくさんいるということも感じました。スポーツくじには一昨年東京で開催された世界卓球の大会や、私とダブルスを組むことの多い平野美宇選手が所属するJOCエリートアカデミーも助成していただいていると聞いています。そのように支えてくださる方たちのおかげで私たちは競技に参加できていますので、その恩返しとしてしっかり成績を残して帰ってきたいと思っています。
また、スポーツを応援してくださる方たちの前で、私は素直な自分を出せる選手になりたいです。試合では真剣に勝負に集中して、試合が終わったら自分の性格を表に出して、みなさんに明るさや元気を届けられるような選手でいたい。これから関わっていくいろんな人としっかりお話ができて、時には笑いも取れるような(笑)そんな選手になりたいと思います。

そしてもちろん、スポーツくじを購入してくださっているスポーツファンの方たちに、いつも感謝の気持ちを忘れずに卓球に打ち込んで、試合ではしっかり自分を出すという強い気持ちを持ち続けたいです。いつもありがとうございます。
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ドイツオープン優勝が奇跡のはじまり

――伊藤選手ご自身の今までの卓球人生で、「これは奇跡だ!」と思うようなことはありましたか?
2015年のITTFワールドツアー・ドイツオープン優勝が、私にとっての奇跡の始まりです。人生が変わったと言ったら言い過ぎかもしれませんが、卓球選手としての自分の立場は確実に変わりました。あの優勝があったからこそ私は五輪のメンバー争いに加われましたし、正式に団体戦代表候補としてメンバーに選ばれるという道につながりました。

団体戦では、私が小さい頃からの憧れである福原選手とチームメイトとして戦うことになりました。2歳の頃に初めて母から買ってもらったラケットは、ピンク色の「福原愛モデル」。私が5歳になった頃には、世界で活躍している福原選手をテレビで見て、「こういう選手と一緒に試合に出たい」と思っていましたので、今、福原選手と同じ日本代表チームで戦えていることに運命を感じますし、とても光栄です。

ドイツオープン以来、対戦相手から研究されるようにもなりましたけれど、研究されても勝つというのが本当の勝ちだと思います。前に試合をやった時と同じ自分じゃなく、新しい技を身につけた自分として再戦するというのが理想です。

そして、対戦相手のクセや考えを見抜く力をもっと磨きたいです。卓球って、自分のことを考えているだけじゃダメなんです。人の気持ちを感じられる人間になってこそ、いい卓球選手になれると思います。
人それぞれの狙いやすいクセを見抜いていくのも大事ですし、試合中に狙い所を見つけていくのも大事だなと思います。もちろん対戦相手の研究は怠りませんが、それ以上に、試合中に相手が今何を考えているかと感じながら自分を信じてプレーするのが理想です。


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オリンピック 伊藤美誠 卓球 日本代表 石川佳純 福原愛 美女