打倒ジョコビッチの急先鋒!虎視眈々とトップを狙うアンディ・マレー

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打倒ジョコビッチの急先鋒!虎視眈々とトップを狙うアンディ・マレー

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プロテニス界に大きく立ちはだかるBIG4

世界を舞台に活躍するテニスプレーヤー、錦織圭。彼の勇姿に目を奪われ、テニスに興味を持った方も多いでしょう。錦織がトップを目指す上で、大きな壁となるのがBIG4(ビッグ・フォー)。2008年頃以降、男子プロテニス界で圧倒的な強さを誇るロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレーの4人の総称です。

これまでにBIG4がプロテニス界に君臨してきた様は、グランドスラムの優勝者を見れば、一目瞭然。2008年にジョコビッチが全豪オープンで優勝して以来、BIG4以外で優勝したのは、なんとたったの3人(その中の一人が2014年の全米オープン決勝で錦織を破ったチリッチ)。錦織はそんな偉大なライバルを相手に日々戦っているのです。今回は、先日のオリンピックでも見事に金メダルを獲得したBIG4の一角、アンディ・マレーに迫ります。
※ 国際テニス連盟が定めた4大大会(全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープン)を指す規格名称。

グランドスラムでは、これまで3回優勝(2012年全米オープン、2013年・2016年ウィンブルドン)を遂げているマレー(写真中央)。これに加えて2012年、2016年のオリンピックでは金メダルを獲得。

見ごたえ満点!世界屈指のバックハンドから繰り出されるストローク戦

プロテニス界に高い壁として君臨するBIG4の一人、アンディ・マレーはスコットランド出身イギリス国籍の選手。フォアハンドと同じレベルで強打できる両手打ちのバックハンドは、スライス※1も片手バックの選手並に上手く世界最高峰と称されています。このバックハンドに加え、190cmの長身と手足の長さを生かした守備型のプレースタイルが特徴。精度の高いグラウンドストローク※2で巧みなコースをつくことで相手のミスを引き出します。

現在のテニス選手の中で、もっともインテリジェントな戦術家の1人としても知られているマレー。反応と読みが優れているため、一つ一つの配球とその組み立てを見ているだけで楽しむことができます。これらのプレースタイルは錦織と似ていると指摘されることもあります。

※1 ボールに、通常とは異なる逆回転をかける打ち方。滑るように飛び、強打されにくいので守備時に使われることが多い。
※2 一度コートにバウンドして跳ね上がったボールを打つこと。


マレーはラリーでどんなに劣勢でも、高い守備力で一瞬の隙をついてポイントを奪うことができます。

そんなマレーのBIG4との戦績を見てみると、王者ジョコビッチ相手に10勝24敗、対ナダルでは7勝17敗と大きく負け越しています。また、対フェデラーは11勝14敗と良い勝負をしていますが、2014年以降の直近5回はすべてフェデラーの勝利と、BIG4のなかでは少し見劣りしてしまうのが現実です。(2016年8月30日時点)

念願のタイトル獲得を叶えてくれた!コーチ・レンドルとの出会い

2009年には世界ランキング2位まで登りつめたものの、依然としてあと一歩届かなかったグランドスラムのタイトル。そんなマレーに念願のグランドスラムでのタイトル獲得に大きな役割を果たしたのが、コーチのイワン・レンドルです。

2012年1月、ツアーコーチに向かえられたイワン・レンドルは、往年のテニスファンならご存知、1980年代最強のストロークプレーヤー。彼とのコンビで、2012年の母国でのロンドンオリンピックで優勝、全米オープンで念願のグランドスラムのタイトル、そして翌2013年、ウィンブルドンでの英国人選手の優勝を、77年間待ち望んだファンの前で実現したのです。グランドスラム8度の優勝を誇り、帝王とも言われたレンドルが唯一成し遂げられなかったウィンブルドンの優勝。そんなコーチの夢をも叶えた瞬間でした。

マレーとレンドルコーチは2014年3月に一度師弟関係を解消。すると、マレーはその後のグランドスラム3大会で準決勝という結果に。そこで2016年6月再びレンドルをコーチに迎えると、コンビ再結成後最初に行われたグランドスラムであるウィンブルドンで優勝、さらに先日行われたリオデジャネイロ・オリンピックでは金メダル獲得も成し遂げます。

マレーのコーチを務めるイワン・レンドル(写真左)。現役時代にグランドスラムで8度の優勝経験を持つ。世界ランキング1位連続在位記録「157週」は現在もフェデラー、サンプラスに次いで歴代3位の記録。

マレーを支えるのは…寿司と兄!

スコットランド出身ですが、実は大の寿司好きとして知られるマレー。英国メディアによると、試合後には一度に50貫もの寿司を食べると言うので驚きです。試合後1時間以内に寿司を食べる習慣から、マレーのチームは会場近くの高級寿司店の場所を常に把握しているといいます。

それもそのはず、マレーの類稀れな身体をキープする秘訣が寿司に隠されているのです。肉体の復元に重要なタンパク質と、筋肉と肝臓に栄養を補給する炭水化物。これらを寿司に含まれるシャリから炭水化物を、ネタとして使われているサーモンなどからタンパク質を、短時間で補給しているそう。少し意外かもしれませんが、実は理にかなった食事だったのです。

マレーの意外な事実をもう1つ紹介すると、彼の1歳年上の兄、ジェイミー・マレーはダブルスの名手。日本ではあまり知られていませんが、ダブルス世界ランキング1位と、兄弟そろってテニス界を牽引する存在です。ちなみに2011年の楽天ジャパン・オープンでは、兄弟でダブルスを組み、見事優勝。国別対抗戦のデビスカップでもダブルスを組み、日本ペアを退けるなど、息の合ったプレーを見せています。

兄であるジェイミー・マレー(写真左)はダブルスのスペシャリスト。グランドスラムでは、男子ダブルスと混合ダブルスでそれぞれ1回ずつの優勝経験を持つ。

長年BI4の一角として活躍してきたマレーですが、実はまだ一度もシングルス世界ランキングで1位になったことがありません。

しかし、今シーズンは全豪オープンと全仏オープンで準優勝、ウィンブルドンとオリンピックで優勝するなどまさにキャリアハイといえる活躍を見せており、現世界王者のジョコビッチとも1215ポイントの差にまで縮めています。これは現在行われている全米オープンでマレーが優勝し、ジョコビッチが決勝進出できなかった場合にマレーが1位になるポイント差。錦織の活躍に期待が集まりがちですが、今大会では絶好調のマレーが1位の座を奪えるのか、はたまたジョコビッチが王者の意地を見せるのかにも注目です!

BIG4の1人であるマレーですら1位になれないプロテニス界。錦織のトップへの挑戦はまだまだ壁が高そうです。なお、現在行われている全米オープンでは、シード勢が順当に勝ち上がると準々決勝で錦織とマレーが対戦します。

(Photo by Marianne Bevis

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