岡崎慎司、吉田麻也、浅野拓磨…ニッポンが誇るプレミアリーガー奮闘記

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ヴェンゲル監督絶賛!「私は浅野信者だ」しかし…!

レスターの岡崎慎司、サウサンプトンの吉田麻也に加えて、この夏、3人めの日本人プレミアリーガーとして、アーセナルに浅野拓磨が加入しました。

サンフレッチェ広島で「ジャガー」の愛称で親しまれたストライカーは、リオオリンピックで2ゴールを決め、そのスピードが世界で通用することを証明しました。アーセナルのヴェンゲル監督は、浅野獲得の理由について、

「走力があり、体も強く、アグレッシブだからだ。彼の強みは、どんな時でもディフェンダーの背後に走り続けられることだ。そういう選手はそれほど多くない」

と説明。

イギリス紙「デイリー・メール」は、9月6日のロシアワールドカップアジア最終予選のタイ戦で代表初スタメン・初ゴールを達成したストライカーを、ヴェンゲル監督が絶賛したと報じました。

“I’m personally a strong believer in him”
(私は、個人的には浅野信者だ)

指揮官は、アーセナルのトップチームで通用すると期待していたようですが、日本代表での出場試合が少なかった浅野には、イギリスの労働許可証は発行されず。各国代表のレギュラークラスか、移籍金が高額の選手しか認められない彼の国の制度に阻まれ、浅野は最初の1年をドイツのシュツットガルトで過ごすことになりました。

アーセナルに入団した日本人選手といえば、2001年の稲本潤一と2011年の宮市亮がいますが、稲本はリーグ戦出場が叶わないままフラムにレンタルされ、その後退団。宮市もオランダのフェイエノールトやトゥウェンテにレンタルされた後、チームに戻るも、度重なる負傷もあってプレミアリーグ出場は1試合に留まり、ドイツのザンクト・パウリに移籍しています。

ドイツのクラブにレンタルされた浅野には、結果を出してアーセナルに復帰していただき、先輩2人がなしえなかったプレミアリーグのビッグクラブでの活躍を実現してもらいたいところです。

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シュツットガルトでゴールを量産し、ヴェンゲル監督の評価をさらに上げられれば、来シーズンは浅野にチャンスが巡ってきそう(PHOTO by Ronnie Macdonald)

大型ストライカーが続々加入。岡崎慎司は試練の時期!

さて、岡崎慎司と吉田麻也は、今季のプレミアリーグでどこまでステップアップできるでしょうか。

実は、2人とも試合で勝負する前に手ごわいライバルとのポジション争いに勝たなければならず、決して安心できる状況ではありません。昨季、ジェイミー・ヴァーディとの2トップでプレミアリーグ優勝に貢献した岡崎は、前線で執拗に相手を追いかけるプレスや、守備も攻撃もさぼらない運動量とスプリント能力は高く評価されているものの、1年めは5ゴールに終わった得点力が不安視されています。

チャンピオンズリーグ出場が決まり、選手層を厚くしなければならなくなったレスターは、夏に移籍金のクラブレコードを2回も更新する大型補強を敢行しました。

ひとりめは、CSKAモスクワのスピードスター、アーメド・ムサ。本田圭佑と一緒にプレイしたこともあり、ロシアで過ごした4年間で125試合42ゴールという数字を残したナイジェリア代表FWに、レスターは1600万ポンド(約21億6000万円)の移籍金を費やしています。

そしてもうひとりは、8月31日の移籍市場最終日に入団が発表されたイスラム・スリマニ。ポルトガルのスポルティング・リスボンから獲得したストライカーは、昨季のリーグ戦では33試合27得点。1年前、700万ポンドという当時のクラブレコードでレスターに加わった岡崎は、マインツ時代に15ゴールを記録しているものの、決める力ではスリマニに及ばないでしょう。

エースのジェイミー・ヴァーディ、スーパーサブのウジョアを入れれば、2つのポジションにストライカーが5人。「ヴァーディーとの関係は素晴らしい」「よく走り、守備での貢献度が高い」と地元紙にリスペクトされながらも今季は4試合ノーゴールの岡崎は、マインツの頃の得点力を思い出せなければ、3番手~4番手評価に落ちてしまうかもしれません。

レスターが初めて参加するチャンピオンズリーグの初戦、クラブ・ブルージュ戦ではベンチにも入れなかった岡崎は、「スタンドから見ていても全然楽しくなかった。ここまで一気に突き落されたのは初めて」と、苦しい時期であることを吐露しています。

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CLで岡崎を外した理由を聞かれたラニエリ監督は、「セットプレーで身長の高い選手が欲しかったので、岡崎をスタンドに残したんだ。彼がいないのは寂しいけどね」とコメント(PHOTO by @cfcunofficial (Chelsea Debs) London)

リヴァプール戦でロングシュートを打ったとき、ラニエリ監督に「お前はあそこで打つな。昨シーズンはパスを出しており、余計なことはしなかった」といわれたとのこと。得点力よりも献身的なプレイが評価されているのはわかりつつ、これだけ素晴らしいストライカーが揃ったら、決めないと落とされるというジレンマもあるでしょう。めざすは、チームプレーとゴールの両立。今までどおりピッチを縦横無尽に走り続け、目に見える結果がついてくれば、出番がまったくなくなることはないはずです。

吉田麻也は、レギュラー2人の厚い壁を破れるか?

岡崎慎司が開幕のハル・シティ戦のキックオフをべンチで過ごしたのに対して、吉田麻也はワトフォード戦にフル出場。しかし2戦め以降は、ユーロ2016でポルトガルを優勝に導いたベテランのフォンテが復帰し、CBの3番手という定位置に逆戻りしました。

大黒柱のオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクは、フィジカルの強さ、高さ、プレイの確実さで吉田よりも上。欧州で強豪と呼ばれる国の代表選手2人に勝つか、サイドバックをまかされるか、どちらかで新監督のクロード・ピュエルにアピールできなければ、10試合に出た昨季よりも、出場機会が減ってしまいます。

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最近は、地元ファンから「不安定なプレイが多い」といわれがちな吉田麻也。いいプレイを積み重ねれば、目の肥えた彼らは見直してくれるはず(PHOTO by Baldassi y Pezzotta)

岡崎、吉田、浅野それぞれ、試練とチャレンジの時期ですが、長いシーズンのなかで、チャンスは必ずやってきます。ヨーロッパリーグに出場する吉田麻也のサウサンプトンは、日程がタイトになれば、日本代表のCBをスタメンに据えるでしょう。クラブ創設以来初めてチャンピオンズリーグを戦うレスターが、自身初の欧州大会出場となる岡崎慎司の運動量を頼りにするシーンもあるはずです。日本人選手たちの活躍、特に岡崎のCL初ゴールに期待しています。

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