4番ピッチャー大谷はあり?栗山英樹監督トークショー開催

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4番ピッチャー大谷はあり?栗山英樹監督トークショー開催

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1月18日、朝日新聞東京本社読者ホールにて『and Sports.~気ままにトークセッション』が行われました。このイベントは、アスリートやスポーツ記者ら関係者と、応募により集まった参加者が、好きなスポーツについて気軽に語り合おうと、2016年からスタートしたものです。

6回目を迎えたこの日のゲストは、昨年のプロ野球で、チームを日本一へと導いた北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督です。朝日新聞スポーツ部で北海道日本ハムファイターズを取材する山下弘展記者、スポーツ部福角元伸デスク、中小路徹編集委員、そして参加者と共に野球について語り合いました。

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二刀流は「すべてできる」という考えから生まれた

トークテーマは『ファンを魅了する 栗山野球の柔軟力』。柔軟力と聞いて多くの人が思い浮かべるのは『二刀流・大谷翔平選手』のことではないでしょうか。イベント開始まもなく、中小路編集委員からは、「外野手スタメンという三刀流の可能性は?」という質問が飛び出しました。

栗山監督は「その意識を翔平自身が持っていることは大事だと思います。やれる時が来るかもしれないという期待はあります。ただ、今年ではないと僕は思っています。」と応え、さらにこう続けました。

「人それぞれ、『俺だったらこうするよ』という意見があって、それはみんな正しいのだと思います。野球は答えがないというのが実情ですから。現実を考えると二刀流は、無理だと思われていました。ただ『これって普通はできるのかな?』と思い始めるとできなくなるんです。だから『すべてできる』という考えでいないとそう言う発想は生まれて来ない。」

会場の参加者からは「4番ピッチャー大谷の起用は考えていますか?」というド直球な質問も。

「4番ピッチャー大谷ね!面白いね!でもその話を俺にさせるなって感じ(笑)」と、場内の笑いを誘いながらも、昨年1年を通して4番バッターを務めた、あの選手への思いへと話を繋げました。

「全部やってはダメなんですよ。選手にとって、これをやったら『えっ?』という何かを取っておかないといけない。あと、中田翔がそれを許してはいけない。それが許される雰囲気になったら、たぶん優勝はしないです。今年は『やっぱり中田翔だよね』というシーズンになるはずです。」

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栗山監督流の仕事術

「『空気を読む』ということについてどう思われますか?」という質問が出たことで、話題は野球以外にも広がりました。

「その時どきの状況によって、自分が何をやるのが適切なのかを”外さない”ということが重要ですね。これは、すべての仕事の基本だと思います。人がどう思うかは関係なくて、みんなで一つの仕事を達成しようとしている時に『俺はこの役割をやります』という正しい選択をして、それをやることが『空気を読む』ことだと僕は思っています。判断したことができなくても、やろうとする意識があることが大事だし、選手たちにもその部分を求めています。」


こう語った栗山監督。

一方で昨シーズン、福岡ソフトバンクホークスとの11.5ゲーム差を逆転し、見事リーグ優勝したウラには、監督自身が“外してしまった”と言う経験もあったようです。

普段から精神的な疲れで夕食が喉を通らないことはあるものの、「腹が減っては戦ができぬ」と、試合前の軽食は食べていたという栗山監督。しかし「マジック1」で挑んだ西武プリンスドームでの試合前には、それすら食べられなくなっていたそうです。

「こんなにプレッシャーがかかっているのだから、選手を笑わせてあげなきゃ」「監督が苦しいと思ったら選手はラクになるかな」と考えた監督が、試合開始前、円陣の声出しで叫んだセリフは――。

「俺が一番苦しい、だから俺を救え~!」

しかし「うちの選手は大人ですね、全然、笑いやしなかった(笑)。」。リーグ優勝、日本一という結果が残ったからこそ、笑って聞けるエピソードでした。

人は自分で気が付いて前に進むもの

  
お子さんが少年野球をやっているという参加者の女性からは、「叱咤激励の仕方」についてアドバイスを求める声もありました。

「僕は何も言わないで試合に出さないとか、2、3日喋らないとか、選手によって話し方を変えています。
皆さんも同じだと思いますが、人は、自分で気が付いて前に進むもの。だから教えるというより、気が付かせなければいけない。僕が叱る時の基準は、『全力を注げばできることをしなかった時』です。
『打つことができなかった』や『勝つことができなかった』で叱ることはありません。でも『ファーストまで全力で走ろう』『三振してもいいから三度振ってみよう』といったことは、できるじゃないですか。それをやらない時は叱ります。」

アドバイスの終わりに「男の子だったら、いつか気が付くと思います。『お母さんにはお世話になったなぁ』って。」と、言葉をかけた監督。優しい表情が人柄を表わしているようでした。

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北海道愛が溢れる栗山監督の夢

栗山監督は最後に、将来の夢を北海道への愛情を込めて語ってくれました。

「北海道の球場のスタンドでビールを飲みながら『勝てー!』とか言って、野球を見られたら幸せですね。あと、北海道でホタルやいろんな虫を子供たちが自然に見られる環境を取り戻したいという夢があるので、ファイターズの仕事が終わったら、山に潜んでいると思います(笑)」

野球話だけにとどまらず、人として生きるヒントも散りばめられたトークショーでした。

栗山監督は、2017年、どのような『柔軟力』でプロ野球ファンをワクワクさせてくれるのでしょうか。もうすぐキャンプイン!期待が高まります。

NPB 北海道日本ハムファイターズ 栗山英樹 野球