2016-17前半戦総決算!モウリーニョ、ペップ、コンテの前半戦通信簿

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2016-17前半戦総決算!モウリーニョ、ペップ、コンテの前半戦通信簿

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PHOTO by Thomas Rodenbucher

誰も読めなかったチェルシーの独走!

プレミアリーグ2016-17シーズンの前半戦を、チェルシーの独走と予想した人はほとんどいないのではないでしょうか。下馬評はマンチェスター勢、すなわちモウリーニョとペップの一騎打ち。8月に「Sportie」で優勝予想(http://sportie.com/2016/08/premier-forecast)をした際は、大手ブックメーカー「ウィリアム・ヒル」と同様に、2人の名将のワンツーとさせていただきました。チェルシーはセカンドグループという評価で、補強がうまくいかずに層が薄いまま走り出したのが最大の懸念。コンテ監督よりも、弱点となりそうなポジションに新戦力を入れたヴェンゲル監督やクロップ監督のほうが、順調にチームを仕上げられるのではないかとみていました。

開幕からペップシティが6連勝。チェルシーがリヴァプールとアーセナルに連敗して3勝1分2敗となったときは、前イタリア代表監督には解任の噂まで流れました。ところが、3-4-3にフォーメーションを変更したチェルシーは、前半戦終了まで負けなしの13連勝。マンチェスター勢は秋に不振に陥り、アーセナルは12月にエヴァートンとマンチェスター・シティに連敗を喫して脱落。2017年になっても優勝争いをしているといえるのはリヴァプールだけです。モウリーニョ、ペップといった名将に何が起こったのか、コンテ監督のチェルシーはなぜ強いのか。折り返しのタイミングで「1学期の通信簿」をつけてみましょう。

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チェルシーを優勝に導いた一昨年の輝きを取り戻したエデン・アザール(PHOTO by Ben Sutherland)

適材適所の布陣とエースの復活で13連勝

コンテ監督の素晴らしさを語るキーワードは、「適材適所の布陣」「エースの蘇生」「統率された守備」です。10月から採用した3-4-3のウイングバックには、さほど期待されていなかったマルコス・アロンソと、前季はローン移籍先のウェストハムでパッとしなかったヴィクター・モーゼスを抜擢。後ろにマルコス・アロンソを得て守備の負担から解放されたアザールは、完全に復調しました。

さらに見逃せないのは、ジエゴ・コスタが相手のCBを挑発しなくなったことです。チームとともに不振だった昨シーズンは12ゴールに留まりましたが、今季は前半戦で既に13ゴール。2試合連続ノーゴールが1度もなく、チームの1点差勝利6回のうち、5回を決める勝負強さを発揮しています。2年めのペドロもすっかりチームにフィットしており、3人が仕掛けるショートカウンターの速さと確実さはリーグ屈指です。

リーグ最少の13失点で折り返した堅守にも注目しなければなりません。13連勝中は、わずか4失点。読みのよさで中盤の底を締めるエンゴロ・カンテと、CBにコンバートされてもミスがないアスピリクエタ、中央でラインをコントロールするダヴィド・ルイスが立役者です。プレミアリーグ2016-17シーズン前半戦の最優秀監督は、コンテ監督で満場一致でしょう。

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ポグバとイブラヒモヴィッチの連携がよくなり、マンチェスター・ユナイテッドは前半戦最後の5試合をすべて2ゴール以上で勝利(PHOTO by Станислав Ведмидь)(PHOTO by Ben Sutherland)

試行錯誤のモウリーニョ、波があったペップ

一方、優勝候補のモウリーニョとペップは、苦しい5ヵ月を過ごしました。モウリーニョ監督が悩まされたのは、フォーメーション選択と要所の人選。とりわけ序盤戦は、ポグバのポジションと役割が決められずに勝ち点を落としました。ペップ・グアルディオラが苦しんだのは、戦術の浸透、最終ラインの整備、チャンピオンズリーグとの両立、メンタルのマネジメントです。敗戦を引きずる傾向があるチームは、6連勝の後、トッテナム戦に敗れると、そこから4試合勝利なし。12月の頭にチェルシーに逆転負けした後も、CLのセルティック戦に引き分け、レスター戦では不振のジェイミー・ヴァーディにハットトリックを喰らって初のプレミアリーグ連敗を喫しています。

ファン・ハール監督のマンツーマンからの脱却に時間がかかったモウリーニョ監督は、当初は4-2-3-1を採用し、ポグバとフェライニをセンターに並べていました。しかし、このシステムではポグバがゴールに遠く、開幕当初はよく守っていたフェライニもミスやファールが増え、ポグバが上がるとその裏を突かれてピンチを招きます。チームの苦境を救ったのはベテランのマイケル・キャリックでした。チェルシーに4-0で惨敗し、バーンリーにスコアレスドローと苦しんでいたチームは、翌週のスウォンジー戦で初先発となったキャリックを得て攻守のつなぎがスムーズになりました。

新システムは4-3-3、左のインサイドMFに固定されたポグバは本領を発揮し始め、イブラヒモヴィッチはキャリック登場以降9ゴールと完全に復調。11月以降の公式戦は10勝3分と無敗、12月からはプレミアリーグ6連勝と完全に波に乗りました。チェルシーとの差を埋めるのは厳しいかもしれませんが、EFLカップとヨーロッパリーグを勝ち抜いているチームは、タイトル獲得の可能性は充分です。

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主将コンパニが、度重なる負傷で3試合出場に留まっているのもペップの誤算のひとつ(PHOTO by Mike Serigrapher)

新戦力が機能していないマンチェスター・シティ

ペップ・グアルディオラのチームは、指揮官のやりたいサッカーを体現するにはもうしばらく時間が必要かもしれません。ギュンドアンは負傷で今季絶望、守護神ブラボはプレミアリーグにフィットできておらず、CBジョン・ストーンズは自信喪失気味、レロイ・サネはターンオーバー要員と、ノリート以外の新戦力が軒並み停滞。コンパニの復帰時期が読めない最終ラインは安定しているとはいえず、度々出場停止でチームを離れるフェルナンジーニョを欠くと、厳しいプレスからショートカウンターを狙うスタイルが機能しなくなります。

メディアからも「ペジェグリーニ時代と変わっていない」という批判が出始め、ナーバスになりつつあるペップは、バルセロナ時代のスペクタクルやバイエルンで見せたフレキシブルな戦い方を取り戻せるでしょうか。3バックと4バックを自在に操るなら、CBの獲得が必要でしょう。バイエルンで複数のポジションを事もなげにこなしていたラーム、ハビ・マルティネス、アラバのような存在を作れなければ、悪戦苦闘は今シーズンいっぱい続くと思われます。

3人のこれまでの足跡を評価するなら、コンテ監督は「ほぼ満点」、モウリーニョ監督は「秋以降は及第点」、ペップは「厳しかったが今後に期待」といったところでしょうか。名将たちがどんな采配を見せるのか。最後に勝つのは誰か。後半戦の激闘に注目しましょう。


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