大学受験も最終盤!氷上を舞う国立大生・鈴木潤が受験で得たものとは

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大学受験も最終盤!氷上を舞う国立大生・鈴木潤が受験で得たものとは

スポーティ

国立大学試験日も残すところ後少しとなりました。受験は受験生にとって大きな岐路であり、人生がかかった壮大な挑戦です。
今回、フィギュアスケーターの鈴木潤選手に受験についてエピソードを聞いてきました。彼は北海道大学工学部(3年生)であり、難関を乗り越えながらもスケートと勉強を両立してきました。彼は受験による葛藤を乗り越えて、合格以上の「経験」を得ました。

最初に北海道大学(以降、北大)を志望した理由を教えてください。

大学受験は人生において今しかできないもので、私立(大学)に推薦入学といった選択もあったと思いますが、受験勉強をして大学合格の喜びや達成感を得たいと思いました。そして北海道に住んでいたので、北大に憧れを抱いていたのもあって北大受験を考えました。北大は総合大学なので(鈴木選手は理系なので文系学部の人や)違う学部や道外生(北大は道外出身者が多い)と交流を深められる環境も魅力的です。

僕は高校受験の際もスケートを三ヶ月ほど休んで、札幌南高校(北海道屈指の名門進学校)を受験しました。入学後は周りのレベルも高かったのもあり、友達と一緒に高い目標を持って大学受験をしようと決めました。北大生として再びスケートの舞台に戻りたいという気持ちがあったので、現役の時も浪人時代も北大一本で受験しました。まあ、合格発表を待つ間は滑り止めを受けなかったことに後悔したりもしたんですけどね(苦笑)。

札幌に移り住んだ際に、環境面で苦労したそうですが。

僕は仙台出身なので、仙台のスケートリンクで滑っていました。親の転勤やホームリンクである勝山スケートリンク(羽生結弦選手も滑っていた)の閉鎖などが重なって、札幌に移り住みました。最初はウィンタースポーツが盛んな街だから、(環境がいいと)期待をしていたんですよ。でも、リンクを使うにも他のウィンタースポーツと共同で使ったりと、ホームリンクがない状況でした。意外にも北海道のスケート環境はあまり良くありませんでした。でも他のところに行ったところで、必ずしも環境がいいとは限りません。環境が悪い中でも高校2年生の時には、強化指定選手に入ったり、国際大会への出場も決めました。宮城にいた時はスケートの環境に甘んじて、身が入らないこともありました。そのため、札幌に来てから氷に乗れる有り難みを感じましたね。環境が悪い中でも練習を工夫したりして、(スケートをするのであれば)自分次第だなと思いました。ですから、他の環境でやることを考えていませんでした。


全国中学校大会の様子。優勝は羽生結弦選手、3位は鈴木潤選手

受験中はどのようにしてモチベーションを保っていましたか

現役時はスケートと勉強を両立したかったのですが、流石にそこまで器用にはいきませんでした。一度スケートはやめて、勉強に集中することに決めました。夏までは息抜き程度に滑っていましたが、滑ってしまうと楽しくなってきて(また)滑りたくなってしまうので(苦笑)。夏以降はセンター対策などで忙しくなってきたため、滑らなくなりました。

受験中にフィギュアの大会を見るのが辛かったですね。ソチオリンピックが近かったのもありますけど、(同郷で同年代)小さい頃から戦ってきた羽生くんが活躍しているのを見ると、僕は今何やっているんだろうって。受験はすぐ結果出るものではないですし、2月~3月の一発勝負で決まるものです。その間は過程ですから、スケートを続けていれば良かったかなという葛藤がありました。

受験中のモチベーションは、スケートに戻りたいって気持ちです。小さい頃からスケート中心の生活に慣れてしまっていて、すぐに受験にシフトするのが難しかったです。テレビでフィギュアを見るのも勉強のモチベーションになったりしましたね。よく勉強とスケートだとどっちが辛いかと天秤にかけることがあって、例えば勉強で辛いことがあったらスケートの練習のほうが辛かったとか、反対も然りで自分の気持ちをコントロールしていました。どっちも辛いことはありますし、その分得られる喜びや達成感に優劣はないんですけどね。

僕にとって大きかったのは、スケート友達に似た境遇の友達がいたことです。僕と同じようにスケートを休んで、大学受験をしていた一個上の磯崎大介くん(同志社大学)がいました。彼が受験の時は僕が滑っていて、僕が受験の際は彼が滑っていました。お互い励まし合いながら、僕が戻ってくるのを待っていると言ってくれたり、受験前にキットカットを貰ったりもしました。お互いに高いモチベーションを持って、切磋琢磨して頑張りました。その他にも高校の友達とも励まし合ったりして、モチベーションを維持していました。

受験以外にも高校時代は学校生活を楽しんでいましたか。

スケートの大会が被ってしまったりすると、どうしても学校を休まなかったりしないといけない時期もあり、学校の行事に参加できない部分はありました。スケートをやっていたときは、そういう普通の学生生活に憧れは少なからずありました。学校に残って友達と問題を解きあったり、難しい問題に一緒に取り組んだりすることでさえすごく楽しかったのを覚えています。スケートがないのは寂しいですが、僕にとって一度しかない高校生活ですから大事な時間でした。


3位が鈴木選手

現役時は受験に失敗してしまいましたが、浪人時代はどのように勉強していましたか。

僕が現役時代にスケートを休んだのは、浪人しないためです。浪人覚悟なら多分休んでなかったと思うんですけど、一年でスケート界に復帰するために決断しました。そしたら、落ちちゃったわけですよ(苦笑)。落ちた時の絶望感が凄まじかったですね。勉強は積み重ねるものなんですけど、時間でいえばゼロからの振り出し。スゴロクでいうとゴール手前でスタートに戻るといった具合にです。本当は積み重ねがあるから次の年は有利にできると思うんですけど、気持ち的にはもう一年ないと挑戦できないショックは計り知れないものでした。予備校探しも辛かったですし、現実から逃避したくなりました。受験での失敗は僕の中で凄く大きいもので、気持ち的にも大きく成長できたと思います。スケートで辛いことがあっても、これより辛いものはないだろうと。受験だと平常心を保っていれば解ける問題もありますが、時間制限の中だと難しい問題もあります。いかにして平常心を保つかという点においても学べることがありました。

予備校では浪人した同級生も多かったので孤独な浪人生活ではなかったですね。スケートも休んで、朝9時から夜9時まで勉強していました。ただ、浪人になるとプレッシャーがとても凄くて、受験一週間前はご飯が喉に通りませんでした。スケートではそれほど緊張するタイプではないのですが、受験ではメンタルが凄く弱ってしまい大変でした。ですが、友達や家族の支えがあったから乗り越えることができました。

合格した際は、母親と一緒にネットで見ました。現役の時掲示板を見に行っていい思い出がなかったので。それもあって、ネットで見ることにしました。手に汗握りながら番号を一つ一つ確認していって、(自分の)番号がありました。僕は番号を見つけた時に、「助かった」と言ったことを覚えています。受かったという喜びよりも、これでスケートができるという安堵感や、次に進めるという安心感がありました。ファンや周りの人から戻ってきてと言われたことや、浪人した辛さもあったり、合格して凄く安心しました。

晴れて大学に合格しました。学生生活について教えてください。

大学生活と両立しながらスケートを続けています。大学の授業と被ったりなどして、練習時間がうまく確保できないときもありました。1年生の頃は教養だったので、それほど苦労はしませんでした。今は3年生なので、実験やレポートなどがあったりして休めないことがあったり。学年が上がる毎に難易度も上がっていくので、上手く調整しながら効率的に滑っています。大会もテスト期間中や直前にあったりするので、スケートをやる時はスケートに振り切って、テストの時はテストに集中するなどメリハリをつけるようにやっています。

学業やスケート以外で、プライベートはどのように過ごしていますか。

時間が空いたらスケートばかりしていたので、大学生が普段どんな感じで過ごしているかわからないんですよ(笑)。おじさんくさいとよく言われますけど、温泉に行くことが多いです。それもスケートのためになってしまうのですが、体のケアや気分転換によく行きます。プライベートもスケートに絡んでしまっていて、でもそれを苦に思っていません。スケートは今しかできないことですし、受験もあの時にしかできなかったことです。自分のやりたいことのために他を犠牲にすることは苦ではないですし、「今」を考えて優先順位をつけて過ごしています。

最後に頑張っている受験生にメッセージをお願い致します。

受験というのは人生の中で立ちはだかる大きな壁であり、それを乗り越えた先にある自分のやりたいことや将来のビジョンに向かって頑張って欲しいです!受験を乗り越えて得る成長は大きいですし、その苦しみもその先にある喜びも「今」しか味わうことができない貴重な経験です。受験まで残りわずかですが、体調管理に気をつけて全力を出し尽くせるよう祈っています。

鈴木選手は受験を通して、様々な「もの」を手に入れました。それは、友人との絆や、心の持ち方など生きていくのに重要なものです。受験は大学に合格した先に活かせるものを学べるチャンスと捉えることができます。振り返ればあの時辛かった経験も、今後の人生において大きな「糧」となるでしょう。末筆ながら受験生の皆様、体にお気をつけて頑張ってください。


フィギュアスケート 羽生結弦 鈴木潤