ファイターズが仕掛けるファームの楽しみ方 鎌スタ20周年 ファイターズが仕掛けるファームの楽しみ方①

鎌スタ20周年 ファイターズが仕掛けるファームの楽しみ方① WATCH

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スポーティ

昨年、10年ぶりのプロ野球、日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズ。今季の序盤は主力選手が相次いで故障し、4月には12年ぶりの10連敗と予想外の苦戦をしていますが、一方で若い選手がその穴を埋めるべく、奮闘しています。彼ら若手が技を磨くのは、一軍の本拠地である北海道から約800㌔も離れた千葉県鎌ヶ谷市にあるファイターズタウン鎌ヶ谷(鎌ヶ谷スタジアム、通称:鎌スタ)。
今年で開設20周年を迎える鎌スタでは一軍同様、いやそれ以上のファンサービスで関東のファイターズファンを楽しませています。

開設20年を迎えて球場正面などを大幅リニューアル バナーに大谷ら登場

3月、新たなシーズンの開幕を迎えた鎌スタは、新しく生まれ変わりました。大きいのは内野席のリニューアルですが、もっとも目を引くのは、球場正面に新調されたバナー。20周年を記念して飾られているのは20人。
「二刀流」で人気の大谷翔平投手や「不動の四番」中田翔内野手はもちろん、すでにメジャーに旅立ったダルビッシュ有投手らOBに加えて、一軍では渋いわき役でもこの地では愛され続ける大ベテラン・飯山裕志内野手などの姿も。選手がまとっているユニホームのデザインの違いがこれまでの歴史を物語っているようです。

ファイターズの二軍施設である鎌スタは1997年3月に完成しました。北総台地と谷津田が入り組む土地は東京のベッドタウンとはいえ、とてものどか。周辺にはナシ畑もひろがり、人家はまばら。その分、24時間態勢で野球に打ち込める絶好の環境といえるでしょう。
ただ、現在の鎌スタは野球に集中するだけの場所ではなく、試合開催時はさまざまなイベントが盛りだくさん。子どもから大人まで楽しめるアミューズメント施設、といった趣でしょうか。まあとにかく、球団の将来を担う若手選手たちと同じグラウンドに立てる機会が多いのです。

球団の将来を担う若手選手と同じグラウンドに

イベントは週末、祝日が中心で、試合開始前のじゃんけん大会で始球式をする人を決めたり、五回裏終了後に「ラジオ体操」をしたり、ラッキーセブンには球団歌の「ファイターズ讃歌」に合わせて踊ったり、試合終了後の「ヒーローインタビュー」を募ったり。このほかにも子どもたちには「ベースランニング大会」「ボールボーイ・ボールガール」などなど…。
ただ、野球を見るだけでなく、何かを体験することで記憶に残る場所を目指しています。そして試合終了後には合宿所「勇翔寮」へと向かう三塁側の緩やかな坂が選手たちとのふれあいの場となります。選手からサインをもらったり、写真を撮ったり、プレゼントを渡したり。そんな光景が試合後、1時間近く続くこともあります。

でも、なんでまた鎌ヶ谷?と思う方もいるでしょう。そもそもチーム強化のための鍛錬の場として造られた施設が一軍の北海道移転で状況が一変、球団代表の島田利正さんによれば「鍛錬の場であることはもとよりファンサービスを学ぶ場」という位置づけになったことがあります。
ただ、最寄り駅から試合開催時にはシャトルバスはあるものの、歩けば20分の距離。しかもナイター施設がない鎌スタでファンサービスといっても集客は至難の業。だからこそ、さまざまな仕掛けをつくっての客集めをすることに。観客を飽きさせず、マンネリにならないように常に新たなイベントを仕掛け続けているのです。
その結果、2009年に初めて7万人を突破し、現在まで1試合平均の観客動員は1000人超えが続いています。今季の開幕戦は鎌ヶ谷市民を無料にしたこともあり、4425人の観客を集めました。
そのイベントを仕掛ける中心人物は首都圏事業グループ・チーフディレクターの中原信広さん。今では自らマイクを握って毎日のようにグラウンドに立つ、行動派です。

それはファームマスコット『C☆B』誕生から始まった

中原さんによれば、鎌スタ独自のファンサービスの始まりは2006年。ファームマスコット「C☆B(カビー)」の誕生にさかのぼるとのこと。「ファームにマスコットがいてもいいじゃない?」という軽いノリから生まれた「C☆B」は今では、押しも押されもせぬ人気者。試合中のスタンドでも記念写真を求めるファンの人垣ができるほどです。
現在ではツイッターを駆使して情報発信する、こちらも積極的なマスコットです(4歳なので、濁音、半濁音は使いこなせませんが…)。

話が少しそれましたが、昨今、鎌スタでのファンサービスがより多彩になったことにお気づきのファンの方も多いでしょう。実は順風満帆に見える鎌スタの観客動員も数年前には若干、下がって7万人を割ったことがありました。そこで中原さん自ら謎のキャラクターにふんして、グラウンドに立つようになったのです。
そのきっかけは以前、研修で訪れたアメリカのセントポール・セインツにあると、言います。そう、あのファンサービスで名をはせる独立リーグの雄。そこで、中原さんは「忘れられない光景に出会った」んだとか。その辺を振り返ってもらいました。




イニングの合間には毎回、マイクを持った人が出てきて『さあ、お待ちかねの時間です』って始める。たとえば、グラウンド整備ではオジサンたちが女装して化粧。スポンサーは地元の化粧品会社で『オジサンでもこんなにきれいになります』。もうゲームが主なのか、イベントが主なのか、分からない状態でした


そんな本場のファンサービスを目の当たりにしたことが、キャラクター「DJチャス。」として結実。2014年の登場からの集客は徐々に回復、昨年は再び7万人の大台に乗りました。

ちなみに「DJチャス。」のコンセプトはアウトサイダー。紫の衣装(イメージは紫ずきんだそう)に身を包み、長めの鉢巻きをまいて、手には竹刀。「神出鬼没で、レギュラーではないけど、存在感があるダークヒーロー」(中原さん)。時に毒舌を吐きながらファンとグラウンドの距離を少しでも近づけようと、日々努力しています。

夏休みに向けてイベントが盛りだくさん

そんな「C☆B」や「DJチャス。」そして何より将来を嘱望される若手選手たちに会える鎌スタ。試合中も試合後も見どころがもりだくさんの鎌スタを体験すれば、ファーム、いやプロ野球の見方が変わるかも。ちなみにこの夏も多彩なイベントのほか、スタンドに造られた「鎌スタ☆プール」をはじめとする施設を用意して皆さまのご来場をお待ちしているそうです。




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