激戦の全日本大学駅伝関西予選会

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激戦の全日本大学駅伝関西予選会

スポーティ

6月18日に西京極総合運動公園陸上競技場にて第49回全日本大学対校駅伝競走大会関西学連予選会が行われました。出場権を満たした12チームのうち上位3チームが全日本大学駅伝の出場権を獲得、さらに2位以内に入れば出雲駅伝の出場権を獲得することができます。同日に行われた関東予選会に比べれば注目度は決して高くはありませんが、関西でも白熱した戦いが繰り広げられました。
関西の有力校は昨年の予選会をトップ通過した関西学院大学、関西学生駅伝王者の立命館大学、全日本大学駅伝の優勝経験のある京都産業大学、連続出場を目指す関西大学、大阪経済大学が挙げられます。

この予選会は10000mのレースを4組に渡って行われ、出場する10人のうち上位8人の合計タイムで争われます。組分けは昨年の関西学生駅伝の上位6チームが1組と3組に2人、2組と4組に3人、タイム審査で選ばれた6チームが1組と3組に3人、2組と4組に2人という具合に選手が振り分けられます。各大学の戦略としては強い選手を後ろの組に置くため、4組が最も速いペースになります。全日本出場のためには4組に3人置くことのできる上位チームが優利になります。

先手必勝を狙う関学大

例年は組のタイムがチーム内での9、10番手となり、全体のタイムに反映されないのですが、今年は様相が違いました。トップ通過候補である関学大が1組に3人走ることになったからです。関学大が昨秋に部員の不祥事があり、全ての駅伝を辞退することになってしまいました。それによりこの予選会はタイム審査での選出になり、1組と3組に3人投入せざるを得なくなったのです。そのため関学大にとって1組は気の抜けないレースになりました。

1組からタイムを稼ぐために1年生の松井政洋選手がレースを引っ張ります。「自分が引っ張って中谷(一平・2年)に出てもらう作戦だった」と松井選手が話すように、8600mからスピードが武器の中谷選手が作戦通り先頭に立ち、後続を引き離します。中谷選手が30分36秒73で1着となり、上々の滑り出しを見せました。


先頭を引っ張る松井選手

2組は一転して5000mの通過が16分00秒という超スローペースになります。後半になってもペースは上がらずにレースは終盤を迎えました。ラスト200mで素晴らしいスパートを見せたのが立命大の岡田浩平選手(1年)。「世界で活躍できるような選手になりたい」と話す期待のルーキーが快走を見せてこの組を制しましたが、タイムは31分12秒93と1組より遅いタイムとなりました。


1着でフィニッシュした岡田

白熱する出場権争い

3組4組はハイペースとなるためよほどのことがない限り、1組2組を走った5人のうち、下位2人のタイムが総合タイムから除外されます。2組を終えて下位2人を除いた合計タイムは以下の通りでした。

1位 関学大 1時間32分47秒90
2位 立命大 1時間32分54秒88
3位 関西大 1時間33分18秒52
4位 京産大 1時間33分19秒14

この時点で関学大と立命大の首位争い、関大と京産大の全日本出場権争いという構図になりました。

3組は関学大の3人が交互に先頭を引っ張ります。ライバル校と違って4組に2人しか配置できない関学大はここでタイムを稼ぎにかかりますが、立命大の2人も懸命に食らいつきます。気になる3位争いは関大、京産大ともに中盤から1人ずつ集団から遅れてしまいますが、両者とも近い位置で踏ん張り、全日本出場に執念を燃やします。レースはラスト800mで関学大の藤原直樹主将(4年)と坂東剛(3年)が抜け出してワンツーフィニッシュ。立命大に対してリードを奪うことに成功しました。3位争いは関大、京産大が近い位置でゴールし、この時点で京産大が3秒リードと最後まで予断を許さない状況となっています。


笑顔でゴールする藤原選手

エースが集う最終4組でも関学大が力を見せつけました。関西インカレで5000mと10000mで二冠を達成した石井優樹選手(2年)が1着、全日本で区間5位の経験がある野中優志選手(4年)が2着と1位通過をほぼ確定させました。


健闘を称えあう石井選手(左)と野中選手

立命大の3人も軒並み上位でゴールしましたが、関学大の勢いを止めることができませんでした。気になる3位争いはエース力で上回る京産大が関大を引き離し、3位通過を確定させました。総合結果は以下の通りです。

1位 関学大 4時間04分08秒04
2位 立命大 4時間05分08秒10
3位 京産大 4時間06分00秒80
4位 関西大 4時間07分14秒13

打倒関東を目指す出場校

1位通過は2年連続で関学大となりました。昨年の不祥事を乗り越え、2年越しの駅伝となります。藤原主将は「自分たちの持っている力を出して関西の大学も頑張っているところを見せたい」と意気込んでいました。スピードのある石井選手、ロードに強い野中選手、藤原選手らが中心となり、関東勢に挑みます。


1位通過の関学大

持ちタイムでは1位だった立命大は直前に故障者や不調者が相次ぎ、2位に終わりました。それでも2位で踏みとどまったことは地力のある証拠でしょう。桝本剛史主将(4年)も「よく頑張ってくれた」と選手たちの健闘を称えていました。チームを率いる田中正典監督は「1区を走れる選手はいくらでもいるので楽しみ」と出雲、全日本に向けて自信を覗かせています。出雲5位、全日本8位を目指すチームがどこまで上位に食らいつけるのかに注目です。


2位通過の立命大

伝統校の京産大は辛くも3位を死守。奥村杏平主将(4年)ら上級生が頑張りましたが、選手層の不安を拭い去ることはできず、3年ぶりに出雲の出場権を逃してしまいました。地力はあるだけに全日本でのリベンジに期待しましょう。


3位通過の京産大

出雲、全日本ともに近年は関東勢が上位を独占しています。2009年の出雲で立命大が6位、京産大が8位になったのを最後に関西勢の入賞は8年も遠ざかっています。しかし、今回の予選会で完璧なレースを見せた関学大、関東勢にも引けを取らない選手層を誇る立命大、全日本最多出場回数を誇る京産大にはその壁を打ち破る可能性を秘めています。今年の出雲、全日本では関西勢の躍進にも注目です。

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