スポーツビジネスを変えろ!プロスポーツチームを支えるインターンシップ

スポーツビジネスを変えろ!プロスポーツチームを支えるインターンシップ SUPPORT

スポーツビジネスを変えろ!プロスポーツチームを支えるインターンシップ

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近年、「インターンシップ」という言葉をよく耳にします。インターンシップとは、職業選択の準備のために学生が一定期間企業等で仕事を体験する制度のことで、最近の大学生の就職活動においてはとても重要な意味を持っているそうです。スポーツビジネスの世界でも、積極的にインターンシップを活用するチームが増加しています。

そこで、制度を利用した取り組みや今後の在り方について、現在ファンクラブの運営を委託しているJリーグ2部(J2)のジェフユナイテッド市原・千葉への取材を通して考えてみました。

イベント『カメラ女子』の立案もインターンたちの発想から

ジェフ千葉のホーム、フクダ電子アリーナ(フクアリ)を訪れたのは6月上旬。リーグ戦で首位(当時)に立つアビスパ福岡を迎えた試合でした。この日はちょうど、女性限定イベント「ジェフィーヌデー」を開催しており、その効果もあってか、今季3番目の10,497人の観客を集めました。その企画のいくつかをインターンの皆さんが立案していたのです。

写真にあるのは企画のひとつ、「カメラ女子」。普段はスタンドなどから選手の姿をファインダー越しに追っている女性たちに、試合前のピッチに降りて、撮影してもらうと言うもの。厳正に選ばれた5人は試合前に、ウォームアップする選手たちの姿を熱心に撮影、中には20分間で約100枚の写真を撮影した強者もいました。


ピッチ間近で選手のウォームアップを追う『カメラ女子』の皆さん

一般にインターンシップといえば、校内で講義を受けたり、実際に学生の受け入れを希望する企業側に派遣したり(あるいはその逆)するものですが、今回取材したジェフ千葉のインターンシップは、ある企業からの「派遣」となっており、ファンクラブ運営の業務委託という形で行っています。

この業務を請け負っているのは、(株)アンビションアクト(本社:東京都渋谷区、山本恭平社長)。Jリーグクラブの立ち上げに携わり、その後は選手の代理人業などを経て、この業務に進出しました。現在はジェフ千葉のほか、プロ野球の北海道日本ハムファイターズ、横浜DeNAベイスターズなど多くのチームにインターンを派遣するなどの業務を行っています。インターンの人数は、合わせて100人の学生を各チームに送り出しています。ジェフ千葉の場合、地元・千葉の大学のほか、東京都や神奈川県など広範囲の学生も参加して会員の増加、サポーターの満足度アップのために日夜知恵を絞っています。


ホームゲームの際は場外にファンクラブ用の特設ブースを設置して勧誘

では、インターンの一週間の予定をジェフ千葉を例に、簡単に見てみましょう。活動は週に3日間、うち1日はミーティング。その他ホームゲームの試合前日と当日に活動があります。ホームゲーム当日はフクアリ場外に特設テントを設けて、ファンクラブへの勧誘などを行っています。ジェフ千葉の場合、週3日間の活動ですが、ほかのチームでは毎日行っているところも。チームの事務所に出向くことができなくても、渋谷の本社からテレビ会議でミーティングに参加することもできるなど、フレキシブルに活動しています。

チームへの採用は欠員補充が多く、新規はまれなのが実態

ところで、Jクラブやプロ野球の球団にインターンが入る余地はなぜあるのでしょうか。それには知名度の割には従業員数が少なく、採用はあっても欠員補充が主体で、新卒の定期採用が実施されないことにあります。よって、新たな発想を取り入れるのが難しく特に現在、スポーツ観戦に関する意識は年代によって大きな違いがあるため、若い世代の目線をいかに取り込めるかが、勝負の分かれ目となっています。
そこで、意欲ある学生たちの助けを借りていとのこと。実際の業務も企画・立案はもとより、チームによっては資金集めのために企業に出向くところもあり、とても実践的。山本さんも「1年間、ベンチャー企業に勤めている感じの中身の濃さを感じることができる」と言います。


『インターンシップ』について語るアンビションアクト・山本恭平社長

参加している学生も「企画は10あるうち、一つぐらいしか通らないけど、理論的に組み立てていくと、話を聞いてくれる」(神奈川大4年・男性)と実際の現場で使えるノウハウを学んでいる様子。山本さんは以下のように語ります。

インターンの学生たちは、アルバイトとはまた違った責任感を感じています。責任ある仕事を任せるためにはマネジメント会社が介在する必要性がある。学校からの派遣になると、講義をしなければならないなど、外側は教えられるけど、内側はちょっと見せることができず、結局与えられる業務が限られてきてしまう。それを僕らが業務として受け、プロとして求められているものを一緒にやるので、ほかのインターンシップとは一味違ったことができるかもしれません。

”学生たちには業界の生々しいところを生々しく体験してほしい”

ただし現状、このインターンシップが実際の就職につながるか、というとなかなか微妙な側面も。もともと定期採用が少なく、現役を退いた選手をスタッフとして受け入れることでセカンドキャリアに結び付くという考えもあり、これまでアンビションアクトから巣立っていった学生たちはJクラブやプロ野球の球団に就職した例はあるものの、まだまだ少数です。その点、山本さんも「僕らの活動は部活動」と話すなど、悩ましい部分があります。

実際のスポーツビジネスの現場はグラウンドの内側と外側、双方にあるのに一緒くたになっている場合も多く、学んだものが生かしきれないのが現状です。山本さんは以下のように語ります。

僕らは就職活動のためにやっていません。目的のひとつは学生個人の成長を促すこと。もうひとつは業界の中身を知ってほしい。生々しいところを着色せずに、生々しく体験してほしい。その中で希望者がいれば、全力で応援します。そして、僕らのミッションとして、学生、学生だけでなく若い人にスポーツ業界で活躍してもらうというもの。逆にスポーツ業界にいる若手の人を成長させるというのもあります。だからスポーツ業界の窓口をどんどん開いてほしいという僕らの願いです。


ジェフ千葉が千葉大と連携して行っている『スポーツマネジメント講座』の授業風景


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