クーマン&ウォルシュで大物続々ゲットのエヴァートンに要注意!

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クーマン&ウォルシュで大物続々ゲットのエヴァートンに要注意!

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TOP画像:PHOTO by Paul Blank

帰ってきたウェイン・ルーニー!

2017年7月9日、エヴァートンに伝説の男が帰ってきました。ウェイン・ルーニー、31歳。2002年にこのクラブでプレミアリーグデビューを果たした早熟の天才は、10月19日のアーセナル戦で初ゴールをゲット。10ヵ月無敗を続けていたチームのゴールマウスに立つデヴィッド・シーマンが、「スピードとカーブのかかり具合が異次元で止めようがなかった」と振り返るスーパーゴールでした。


早速決めたアフリカ遠征でのエヴァートン復帰後初ゴールは2002年のプロ初ゴールを彷彿とさせた

2004年8月にマンチェスター・ユナイテッドに移籍して以来、559試合253ゴールという記録を残し、クラブ史上最多ゴールの栄誉に輝いた10番にとっては、13年ぶりの凱旋です。赤い悪魔にロメウ・ルカクを奪われるというニュースを連日見せられていたエヴァトニアンたちは、敵のキャプテンを引き入れたことで留飲を下げたのではないでしょうか。

しかしこの夏、エヴァートンが獲得したのはマンチェスター・ユナイテッドのレジェンドだけではありません。「スカイスポーツ」に、「continue their summer of spending(意訳すると”まだまだ続く爆買いの夏”)」と書かれるほどの大型補強で、虎視眈々と上位を窺っています。

1月のストーク戦で250発めを決め、サー・ボビー・チャールトンの持つマンチェスター・ユナイテッドの最多ゴール記録を塗り替えたルーニー(PHOTO by JjArdfern)

7月中に総額100億円の大型補強!

サンダーランドの若き守護神ジョーダン・ピックフォード、アヤックスの司令塔ディヴィ・クラーセン、マラガで昨季ブレイクしたサンドロ・ラミレス、バーンリーにおける大活躍が認められてイングランド代表デビューを果たしたCBマイケル・キーン。ウェイン・ルーニーとサウサンプトンにいた右SBクコ・マルティナはフリーで獲得したものの、エヴァートンは4人のインターナショナルクラスに7000万ポンド(約102億円)を使っています。

2017年3月、「総工費3億5000万ポンド(約528億円)をかけて、3年以内に5万人規模のスタジアムを建設する」と発表したクラブからは、ビッグクラブと肩を並べたいという思いが伝わってきます。クーマン監督とタッグを組んで補強を進めているのは、フットボールディレクター(FD)のスティーヴ・ウォルシュ。1年前にマージーサイドにやってきた敏腕スカウトは、マフレズ、岡崎慎司、カンテをレスターに連れてきた「奇跡の優勝のプロデューサー」です。ルカク売却で手に入れた7500万ポンド(約109億円)を使い切る勢いのエヴァートンは、さらにストライカーとサイドアタッカーを狙っていると報じられています。

ルーニーと同じくマンチェスター・ユナイテッドから来た24歳のマイケル・キーンは、DFでは若手No.1といわれる有望株(PHOTO by joshjdss)

U-20W杯を制覇した若手に注目!

さて、クーマン監督とウォルシュFDは、どんなチームをめざしているのでしょうか。エヴァートンは、以前からアーセナルのジルーやクリスタル・パレスのベンテケ獲得を目論んでいるといわれており、ポストプレーに長けたストライカーとルーニーにコンビを組ませようとしているのでしょう。プレシーズンマッチに登場した期待のクラーセンは、ひと足先にアヤックスからプレミアリーグにやってきた先輩エリクセンの後に続けとばかりに、見事に中盤をコントロールしていました。アンカーには、昨季プレミアリーグNo.1のタックル135回を記録したグイェがいます。ハードマーカーのマイケル・キーンと統率力があるアシュリー・ウィリアムズのCBコンビは相性がよさそうです。

新生エヴァートンには、この夏に加わった選手たち以外にも見どころがあります。フエイエノールト時代から若手の育成力に定評があるクーマン監督の手元には、U-20ワールドカップで活躍したヤングプレーヤーが4人。MVPのソランケとともに大活躍したアデモラ・ルックマンとカルヴァート・ルーウィンのサイドアタッカーコンビ、さまざまなポジションをこなせる右SBジョンジョ・ケニー、テクニックが武器のドゥウェル。

彼ら以外にも、昨季プレミアリーグで24試合に出場した19歳のMFトム・デイヴィスや、最終ラインを担うホルゲート、ペニントンが控えており、リーグ屈指の若手ファクトリーと化しています。新シーズンは、彼らの中からハリー・ケインやデル・アリのように大ブレイクする選手が出てくるかもしれません。

スティーブ・ウォルシュFDがチャールトンから連れてきたアデモラ・ルックマンは、U-20ワールドカップで3ゴールを決めて優勝の原動力となりました(PHOTO by Charltonkyle)

「チャンスに強く、DFのミスを逃さない。オフ・ザ・ボールでの動き方もよくわかっている」。獲得前から岡崎慎司の長所を見事に捉えていたスティーブ・ウォルシュFDの分析力と、ハードマネジメントと適材適所の起用で負けないチームを作るクーマン監督の采配により、マージーサイドの古豪はヨーロッパリーグ出場権獲得で満足するチームではなくなりそうです。

ルカクの穴は埋まるのか。ルーニーは復活するのか。GKとCBの補強で、リーグで6番めに少なかった失点をどこまで減らせるのか。さらなる若手の台頭はあるのか…。2017-18シーズンは、「プレミアリーグの7番めのチーム」がビッグクラブ相手にどんなサッカーを見せてくれるのかに注目したいと思います。