リベンジに燃える1年。ヴェンゲルアーセナルに、変化はあるのか?

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リベンジに燃える1年。ヴェンゲルアーセナルに、変化はあるのか?

スポーティ

きっかけは、チャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン戦の大敗でした。ホーム・アウェイとも1-5で惨敗したアーセナルのヴェンゲル監督に対して、「Wenger Out」と書かれた容赦ないプラカードがエミレーツ・スタジアムで掲げられるようになり、プレミアリーグで5位と苦戦していたチームは4月になるまで停滞を続けました。

変化を求めて20年ぶりに3バックを導入したヴェンゲル監督は、最後の8試合を7勝1敗というハイペースで駆け抜けながらも、4位のリヴァプールに勝ち点1差で届かず19年連続で出場していたチャンピオンズリーグの出場権を失いました。

2017-18シーズンは、かつて無敗優勝を遂げた名将にとってリベンジの年。アーセナルは、失敗を糧にプレミアリーグの頂点に返り咲くことができるのでしょうか。
メイン写真クレジット/PHOTO by Ronnie Macdonald

コラシナツとラカゼット獲得はよかったものの…

6月6日、シャルケ04のSBセアド・コラシナツの獲得を発表。7月5日には、リヨンのエースストライカー、アレクサンドル・ラカゼットが入団決定。この直後に、「新しいシーズンは3バックでスタートすることになるだろう」と聞いたサポーターは、前シーズンに弱点だったCBやセントラルMFを獲得するはずと期待したのではないでしょうか。

契約延長に至っていなかったアレクシス・サンチェス、メスト・エジル、アレックス・オックスレイド=チェンバレンの残留と、少ない方から数えて6位の44失点を喫した守備の強化は、プレミアリーグで悲願の優勝を狙うための必須条件と目されていました。
OBのイアン・ライト氏に「早く契約を延長しろ」といわれたエジルはどうする!?(PHOTO by Ronnie Macdonald)

チェルシー戦のドローで見えた明るい兆し

ところが、アーセナルの補強は最初の2人で打ち止めとなりました。さらに8月31日、チェンバレンがリヴァプールに移籍。既にガブリエウとギブスが退団していたチームは、5位に終わったシーズンよりも戦力的には弱体化してしまったかもしれません。また、アレクシス・サンチェスはマンチェスター・シティ移籍の噂が絶えず、エジルも新しい契約書にサインしていません。

開幕戦でレスターに勝ったものの、ストークとのアウェイ戦を1-0で落とし、リヴァプールに4-0で大敗したアーセナルには、8月を終えたばかりなのに既に悲壮感が漂っていました。

9月最初のゲームは、ボーンマスに3-0で完勝。ラカゼットとウェルベックという「決めてほしい選手」が結果を出しましたが、相手は開幕3連敗と絶不調のチームでした。5節のチェルシー戦に完敗すれば、ヴェンゲル監督は再び批判の矢面に立たされるでしょう。

ヨーロッパリーグでケルンに3-1と勝った後、スタンフォード・ブリッジに乗り込んだチェルシーとのビッグロンドンダービーは0-0のドロー。ゴールこそ奪えなかったものの、チェルシーを圧倒する時間帯が長く、ようやく3バックで戦っていく目処が立ちました。

5節が終わり2勝1分2敗で12位という戦績は、決してほめられたものではありませんが、11月頭のマンチェスター・シティ戦までは与しやすい相手が続きます。WBA、ブライトン、ワトフォード、エヴァートン、スウォンジー。昨シーズンは1勝1敗だったWBAとワトフォードは開幕から好調で要注意ですが、他はチーム状態がいいとはいえず、5連勝の可能性は充分にあるでしょう。例年勝率がいい秋に勝ち点を稼いで、マンチェスター・シティ戦を勝ち切れれば、アーセナルは今まで通りのポジションには食い込めるはずです。
消える時間が長いジルーは、ラカゼットが加わったチームで存在感を発揮できるでしょうか(PHOTO by joshjdss)

期待できる新戦力に対して、懸念材料は主力の停滞

ヴェンゲル監督のチームは、昨季とどこが変わったのでしょうか。ポジティブな要素を先に挙げれば、新戦力コラシナツと開幕から元気なウェルベックによる左サイドの攻撃力の強化、プレミアリーグに慣れればゴールを量産してくれそうなラカゼット、2年目を迎えてチームの中心となりつつあるジャカ。

一方で不穏な変化は、昨季終盤戦の快進撃が嘘のように失点を重ねた3バックと、アレクシス・サンチェス、エジル、オリヴィエ・ジルーが本領を発揮していないことです。

今季のアーセナルは、ノーゴールに終わったゲームが既に3試合ありますが、4-2-3-1あるいはゼロトップで戦った昨シーズンの30試合でゴールがなかったのは3試合のみ。ヴェンゲル監督の3-4-2-1は、適材適所とはいえない起用法になることも多く、攻守とも結果を出した試合はボーンマス戦のみです。

新戦力には期待できるものの、負傷者多発や主力の不振などでやりくりを強いられれば、層の薄いポジションがネックとなって勝ち点を取りこぼす可能性が高まります。
アレクシス・サンチェスが輝きを取り戻せなければ、アーセナルは苦しい戦いを強いられそうです(PHOTO by joshjdss)

主力がコンスタントに攻められるかが最大のポイント

最も変わるべきは、ヴェンゲル監督自身なのかもしれません。メンバーの調子と相手の戦い方を見ながら、3バックと4バックを巧みに使い分けるようになれれば、最後まで優勝争いに残れるのではないかと思います。

ラカゼット、エジル、アレクシス・サンチェスが揃う前線の破壊力はライバルに引けを取らず、主力を欠いても適材適所の布陣で集中力高くプレイできれば優勝候補と互角以上に戦えることはチェルシー戦が証明しています。オリヴィエ・ジルーは、新しいフォーメーションに居場所を見つけることができるのか。2016-17シーズンに24ゴール10アシストと獅子奮迅の活躍を見せたアレクシス・サンチェスは、彼らしいプレイを取り戻せるのか。普通にプレイできれば、それだけでも相当脅威なメスト・エジルはフルシーズン働けるのか。前線のワールドクラスに加えて、攻守のバランスを取るジャカとラムジーのポジショニングと配球も重要です。

最終ラインが堅いとはいえず、先に2点以上の差をつけて逃げ切りたいチームだけに、昨季の前半戦よりもCBがひとり多い布陣でどこまで攻め切れるのかが明暗を分けることになりそうです。DFを獲らずに批判されたヴェンゲル監督が、どんな手綱さばきでメディアを見返そうとしているのかに注目しましょう。


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