応援は届く!「ファンとともに勝ち取った」カープのリーグ優勝

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応援は届く!「ファンとともに勝ち取った」カープのリーグ優勝

スポーティ

9月18日、広島東洋カープが2年連続8度目のセリーグ優勝を決めました。

試合後のインタビューで緒方孝市監督は、「本当に頼もしい選手たちです!」「ご苦労さん、お疲れさん!」と選手を労い、同時にファンへ感謝の気持ちも伝えました。

「チームがピンチの時もチャンスの時も熱い声援で選手を勇気づけてくれて…。ファンとともに戦えたから選手は力を発揮できたと思っています。ともに勝ち取ったリーグ優勝だと思います。ありがとうございます!」

緒方監督の言葉どおり、確かにカープの応援は熱い! 優勝が決まった日も、甲子園球場の3塁側はカープの赤に染まっていました。立ったり座ったりしながら選手名をコールする『スクワット応援』も独特で迫力があります。

だからこそ「球場で応援したくても恥ずかしい」「楽しそうだけど応援の仕方や応援歌が分からない」と、“応援席デビュー”をすることにためらいを覚える人は少なくありません。

こうした状況の中、新井貴浩選手の“そっくりさん”『新丼貴浩』さんが、初めて球場に訪れる女性をエスコートする機会がありました。
 
レフトスタンドから3塁側内野席まで赤く染まった神宮球場

新丼さんは、以前、当サイトでも紹介した草野球チーム『錦糸公園ものまねプロ野球』の選手です。新井貴浩選手と身長・体重が同じの“等身大そっくりさん”としてプレーしているだけではなく、近頃はカープに関係するイベント出演のオファーがあるのだとか。もちろん球場へ足を運び、カープの選手たちへ熱い声援も送っています。(※普段は会社員です)
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初めての球場観戦

9月上旬。神宮球場レフトスタンドに新丼さんと女性の姿がありました。その女性は、新丼さんの奥様の妹さんです(通称ミーちゃん)。「一度は野球場に行ってみたい」と言っていた彼女を新丼さんが誘ったそうです。

試合前、「これがあれば応援しやすいよ」と、新丼さんがミーちゃんにプレゼントしたのは『カンフーバット』(700円)。手拍子でも問題はありませんが、叩いて音が出る応援グッズを持っていたほうが手持ちぶさたにならずに済みます。

カープグッズ売り場で『カンフーバット』を発見

初めて応援グッズを手にするミーちゃん

この日は1回からカープに点が入り、応援席はいきなり盛り上がりを見せます。最初は「すごーい!」と驚いていたミーちゃんですが、すぐにカンフーバットを叩き、見よう見まねで、カープ名物のスクワット応援(立ったり座ったりしながら選手名をコールする)にも挑戦。時々新丼さんにルールを教わりながら、点が入ると喜び、近くの席の人とハイタッチを交わしていました。

一方、新丼さんは応援歌もチャンステーマも完璧!応援を始めたばかりの頃は、「背が高いから後ろのお客さんに迷惑かな」と思い、遠慮していたスクワット応援も、今では「“応援席”なんだからいいじゃん!」と、思い存分やります。そして、新井選手が打席に入る際には、ヘルメットを被り、肘・膝当て、手袋を着用! より応援に熱が入ります。

新井選手の登場!『新丼選手』はセッティング完了!

カープを応援する気持ちがあれば大丈夫

試合はカープの勝ち。初めての球場観戦で勝利を味わえたミーちゃんに話を聞きました。

点が入るとみんなで喜んで、近くの席の人がハイタッチしてくれたのが楽しかったです。カンフーバットを買ってもらったのは大正解でした。これを叩いたほうが、一緒になって応援している気持ちが強くなりますね。私は応援歌もわからないし、ルールも詳しくないけど、疎外感は全く感じませんでしたよ。

球場での観戦について、新丼さんもこう話します。

詳しいルールを知らなくても、みんなが喜んでいるからうれしい、みんなががっかりしているから悲しい。最初はそれでいいと思います。実際にそういう人も大勢いるんじゃないでしょうか。後ろめたさや、恥ずかしさなんて感じなくても大丈夫。カープを応援する気持ちがあれば、周りの人は優しくしてくれます。相手チームのファンともお互いに尊重し合えば仲良くなれますよ。ファン同士のトラブルなんて、ごく一部の人の話だと思っています。

球場観戦にはピッタリのいい天気でした

新丼さんが外野応援席に出没し、話題になり始めたのは昨年のこと。それまでは球場観戦する時は、内野席で静かに見ることを好んでいたと言います。何を隠そう、新丼さんの“応援席デビュー”も遠い昔の話ではないのです。

では、どうやって今のように外野応援席に馴染めるようになったのでしょうか。“カープの応援”の魅力も併せて語ってもらいました。

新丼流、応援歌の覚え方

――初めて外野の応援席で観戦した時も、この格好(全身新井選手のまね)だったんですか?

はい。でも応援の仕方や応援歌が分からないから、ベンチにいる新井選手に扮したつもりで、背筋を伸ばして座って見ていました(笑)。当然周りの人に見られていることは感じていたので、中途半端な応援をするならやらないほうがいいと思ったんです。選手によって応援歌を歌えたり歌えなかったりすると、『WBCに出ていた選手だけは知っているのか』って思われそうだなとか、新井選手が出てきた時だけ騒ぐのも変かなとか、いろいろ考えていました。僕の場合は特殊な例ですからね、普通はそこまで考える必要はありません。

――そうですね(笑)。応援歌はいつ覚えるんですか?

通っているジムで、有酸素系マシントレーニングをしている時です。トレーニングをしながらモニターでテレビやYouTubeが見られるので、YouTubeで覚えました。試合開始のファンファーレから始まって、選手全員の歌詞付き応援歌、チャンテ(チャンステーマ)、全部そろっているんです。他の人もイヤホンをしているから誰にも聞こえないだろうと思って、歌っています(笑)!

試合に見入る新丼さん。ずっと騒いているわけではありません

カープの応援に魅了される理由

――では、「カープの応援はここがすごい」というところを教えてください。

応援を主導する『リード』と呼ばれる人達の統率力が高いところですね。リードって、選手のようにレギュラーがあって、イニングごとに人が替わるんですけど、特に7、8、9回のリードは、人をその気にさせるのがうまい! 試合終盤まで先制されていても、リードの人がスタンドの空気を変えるんです。
例えば、応援の声が小さい時には、選手の名前や、「ホームラン、ホームラン〇〇!」のように、シンプルなワードを使って、大きな声を出すように促してくれます。歌とは違って、簡単だから初めての人でも言えますよね。それで声が出ると「なんだ、出るじゃないですか。じゃあ、このままいってくださいよー!」って、笑いを取るのも上手です。

――確かにピシっと空気が変わる瞬間がありました。「あっべっ!」(安部友裕選手)ですよね?

安部選手だけじゃないですけど…でも、それのことです(笑)。
ペーニャ選手の応援の時に「『ペーニャ』が言いにくかったら、『ぺ!』でいいですよ」って言われて、せーので「ぺ!」って叫んだこともありました(笑)。恥ずかしさなんて吹っ飛びますよ。空気を変えるのも、すべては選手に声援を届けるため。それで選手が活躍したら、「ああ届いたんだ」って思えます。

――ご自身でも野球をされていて、観戦する場合もじっくり見るタイプだった新丼さんを、ここまで引き付ける魅力が「カープの応援」にあることが分かりました。

打てば響くように逆転勝利に繋がりますからね。チームから勝利をもらっているからこそ、応援したいんです。カープは僕が生まれた1984年から日本一になっていないので、今年こそはリベンジしますよ。

セリーグ優勝の広島東洋カープは、日本シリーズ出場をかけ、10月18日からのクライマックスシリーズファイナルステージに臨みます。日本シリーズは10月28日から始まります。まだ球場で観戦したことがない方も、応援席デビューしたことがない方も、一歩踏み入れて、新たな野球観戦の楽しさを感じてみてはいかがでしょうか。

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