ラッピングトレイン出発進行!京葉線を通じてトップチームとJR東日本がコラボレーション

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ラッピングトレイン出発進行!京葉線を通じてトップチームとJR東日本がコラボレーション

スポーティ

この夏、JR京葉線に新たなラッピングトレインが走り出しました。沿線に拠点を置く6つのスポーツチームで構成された「KEIYO TEAM 6」をプロモートする10両編成で、車両には各チームの選手の写真やロゴがデザインされているほか、6チーム共通のラッピング車両が4両。中吊りやトレインチャンネルにもチームのオリジナル映像が盛りだくさんです。

地域ごとに幾つかのスポーツチーム、競技が連携する動きはあるものの、今回のようにプロモーションに特化した例は珍しく、注目に値するもの。プロジェクトが生まれた背景を取材しました。
ラッピングトレインお披露目イベントでくす玉を割るチーム関係者ら

チーム同士の連携が拡大した6チームでのプロモーションは4年目

「KEIYO TEAM 6」を構成するのは、京葉線沿線を拠点にするFリーグのバルドラール浦安(フットサル)、Bリーグの千葉ジェッツふなばし(バスケットボール)、Xリーグのオービックシーガルズ(アメリカンフットボール)、NPBの千葉ロッテマリーンズ(野球)、VチャレンジリーグⅡの千葉ゼルバ(バレーボール)、Jリーグ2部のジェフユナイテッド市原・千葉(サッカー)。

これまでは個別に連携してプロモーションを行ってきましたが、2014年に一体化する形で共通プロモーションを開始しました。「We are KEIYO TEAM 6~京葉線、行こうぜ応援!~」をキャッチフレーズに①競技の枠を超えた相乗効果で、各チームの認知度を向上、②競技の枠を超えて地域のチームとしての理解を深め、応援する風土づくり、③応援を通じて、地域の人々の交流を創出、④各チームが目指す沿線地域の活性化を推進を目的としています。2017-18シーズンのスローガンは「一緒に湧こう、一緒に燃えよう!」です。

これまで競技の枠を超えた連携の取り組みといえば、「横浜熱闘倶楽部」などいくつかありますが、地方自治体や各競技団体が主導する形が多く、プロモーションに特化する形での地域活性化を狙う活動例はありませんでした。この連携に目を付けたのが、各チームの活動拠点をつなぐ路線を持つJR東日本でした。
車内から顔を出す千葉ジェッツふなばしのマスコットキャラクター「ジャンボくん」

ラッピングトレインは沿線地域の魅力をアピールするのに効果的

JR東日本千葉支社では独自に京葉線沿線の魅力を発信する「京葉ベイサイドラインプロジェクト」を展開し、年間を通して車内や車両センター、駅周辺でさまざまイベントを開催しています。しかし、「沿線で異なる競技のトップチームは活動していることに着目。スポーツをというテーマで沿線を盛り上げる取り組みを行うことになりました」(同社広報)
車内でポーズをとるジェフユナイテッド市原・千葉のマスコットキャラクター「ジェフィ」

6チームとJR側の趣旨が一致し、連携しての活動1年目となった昨年はJR東日本千葉支社管内の駅にポスターを掲示したり、首都圏を走る電車内のトレインチャンネルに映像を流したりしました。しかし、ラッピングトレインほど、インパクトのあるプロモーションではありませんでした。

今回、実現に至った理由として同社は「電車のラッピングは京葉線とつながりや沿線地域の魅力をアピールするのには効果的。今回は関係各所の理解と実務的な調整がタイミングよくできた」と言い、各チームからの画像利用の協力もスムーズにできたことを挙げました。
ラッピングトレインが走るJR京葉線沿線
10月末まで走行しているラッピングトレインについて、6チームはどのように感じているのでしょうか? 
まず、「京葉線での来場者をさらに多く取り込みたいという思いがあり、今回の企画はぴったり」(マリーンズ)。また、マーケット規模の小さいチームにとっては規模の大きいチームと同じ土俵に立てることも魅力で、「野球やサッカーなどと一緒にPRできる機会ができてよかった」(オービックシーガルズ)という声も。最も新しいゼルバは「うちにとってはメリットしかない」としています。

そして伺った声の中で、もっと大きいのが費用面。JR側は今回の費用に関して公表はしていませんが、関係者からは「億単位かかる」という話もあります。単独のプロモーションに1チームが、これだけの多額の資金を1度に使うのは難しく、年間130万人前後の観客を集めるマリーンズでさえも「京葉線上のラッピングトレインは6チーム合同で展開したから実現できた」。バルドラールでは、トレインを利用する形で独自に「ラッピングトレインを見つけよう」という企画も展開しました。

オービックシーガルズ今季唯一の県内公式戦(9月24日)が行われる習志野・フロンティアサッカーフィールド
集客の変化についてジェフの出資企業でもあるJR東日本は、「ジェフのホームゲームに他チームの選手が来場しファンサービスを行うことも多くなり、ファンの方々も違う競技にエールを送ってくださることが光景も目にするようになっている」。各チームともこれからの時代を見越して、自チームだけのファンを獲得していく時代ではないと感じているようです。

観戦機会のなかった競技に触れることが「スポーツ文化」の深化につながる

6チームにとって、それぞれ行うプロモーションが大切なのは言うまでもありません。しかし、楽しむ側にとって、今まで観戦機会のなかった競技に知り、競技の魅力に触れることは視野の拡大につながります。「地域のより多くの方にスポーツ観戦の楽しさを知ってもらい、観戦時に発生する購買などで地域活性化につなげていきたい」(ジェッツ)。こうした広がり中長期的に続いてこそ、「スポーツ文化」の深まっていくのでしょう。

多くのサポーターで埋まったフクダ電子アリーナのスタンド