アジアを獲りたい。フィンスイミング松田志保選手インタビュー

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アジアを獲りたい。フィンスイミング松田志保選手インタビュー

スポーティ

小学校低学年の時に、水泳を習い始めた松田志保選手。大学時に、フィンスイミングに出会い、現在は2種目で日本記録保持し、世界大会で活躍中です。フィンスイミングの魅力から、普及の課題までお話を聞きました。

スピードに魅了されて、フィンスイミングの世界へ

ーーフィンスイミングを始めたきっかけを教えてください。

大学の部活が終わったプールで、フィンスイミング選手の谷川哲朗さんがフィンをつけて泳いでいたのを見て「なにこれ!やってみたい!」と思ったのが、最初の出会いです。競泳とは全く異なるスピード感に驚きました。
実際にフィンスイミングを始めたのは、大学の水泳部を引退してからです。体験会に参加し、競技をスタートさせました。


ーー初めてフィンをつけて泳いだ時の感覚は覚えていますか?

フィンをつけるとまっすぐに進まなくて。競泳の時は気づかなかったけど、フィンをつけて初めて、左右対象に泳げていなかったんだと気づきました。正直、すぐ泳げるものかと思っていたので、ナメててすみませんって思いました(笑)。でも実際にそのスピード感を体感したら楽しくて、フィンスイミングの虜になりました。

フィンスイミングの種目と泳法をおさらい

フィンには、ビーフィン(片足ずつ履く2枚フィン)とモノフィン(両足そろえて履く1枚フィン)があります。

ビーフィンは、シュノーケルをつけてクロールをします。CMASビーフィン(国際ルール)と、Jビーフィン(国内ルール、普及用)の2種があります。

松田選手愛用のモノフィン

モノフィンは、両足が固定されているので、体をうねらせて泳ぎます。スタートとターン時をのぞいて、身体の一部が水面から出ていなければならないサーフィス(水面泳)と、無呼吸で50mを泳ぐアプニア(息止泳)の2種があります。


モノフィン種目のサーフィス(水面泳)

松田選手が日本記録を保持しているのは、モノフィン種目の50mサーフィス、ビーフィン種目の50mCMASビーフィンの2種目です。

12月のアジア選手権で、目指すは金メダル

ーー大学を卒業後はどのように競技を続けていますか?

日中はスイミングスクールでコーチとして働いて、子供からお年寄りまで水泳を教えています。競技は営業時間外や、週末の時間を使って練習しています。

ーー海外の大会はどれくらいの頻度で出場していますか?

海外遠征は、派遣標準記録を突破した選手等が出場できるワールドカップと、日本代表としての遠征で、年に1〜2回あります。12月7日〜13日には中国の煙台でアジア選手権が開催され、私も出場します。2015年のアジア選手権ではビーフィンで銅メダルを獲得しました。次は金メダルを目指したいです。

ーーフィンスイミングはどの国が強いのでしょうか。

ヨーロッパでは、ウクライナ、ハンガリー、ドイツ、ロシアなどが強いです。アジアでは、中国と韓国。海外ではプロのフィンスイマーもいるので、壁は高いです。

競技の認知をより広げていくための課題

ーー競技を続ける上での苦労はありますか?

練習場所の確保と競技を続ける資金には苦労しています。練習場所については、そもそもフィンの使用を禁止しているプールが多く、プールを探すのが大変でした。
また資金面ですが、海外遠征費用や競技を続けるための費用は基本的に自己負担です。スポンサーに商品を提供いただいて、日々の活動を支援してもらったりもしていますが、1回の海外遠征で数十万円はかかりますので、サイトで寄付を募ったり、カンパしてもらいながらなんとか捻出しています。自分がやってきた競技が廃れていくのは見たくないですから、今、商品提供をいただいているスポンサーには、後輩たちへの支援をお願いしたいですし、資金提供してくれる大型スポンサーを新たに見つけたりもしていきたいと思っています。

ーー競技の認知をあげる取り組みなどは、どのように行われていますか?

体験会を開催したり、水泳の大会でデモンストレーションとして泳いだりしています。しかし、フィンスイミングは始めるにはハードルが高いと思っています。
まず、フィンスイミングを始めるには、まず一定レベルで泳げることが前提です。足をフィンで固定してしまうので、全く泳げない方は溺れてしまいますよね。それから道具も高額です。競技はとても面白いので、体験会に参加してもらって、いざ始めよう!となった際の覚悟が少し必要かなと思います。競技として普及してほしいけど、ハードルが高いのが、辛いところです。
競技人口が増えるのも重要ですが、まずはフィンスイミングを知って、応援してくれる人を増やさないといけないと感じています。競技が注目してもらえるように、私は大会で結果を出していかないといけません。


ーー最後に、今後の選手としての目標を教えてください。

アジア選手権での金メダル獲得、そして4年後のワールドゲームズを目指していきます!

現在、松田選手はアジア選手権に向けて練習を重ねています。公式サイトで一口1000円から支援も可能です。また12月2日(土)に千葉国際水泳場で開催される第26回日本短水路選手権にも出場予定です。目標に向けて戦う松田選手の今後にご注目ください。


インタビュー:萩原拓也(Sportie編集部)
文・インタビュー中写真:五十嵐万智(Sportie編集部)

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