サッカー新スタジアム計画続々と

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サッカー新スタジアム計画続々と

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日本でサッカーの新スタジアム建設計画が続々と出てきています。京都スタジアム(仮称)建設中の亀岡市は、2020年の開業に向け、工事が進んでおり、甲府市や長崎市、那覇市で新設されることが決まっています。

検討中の案件は、ほかにも多数あり、特に広島市は、建設場所をめぐって大詰めの状況を迎えています。今回は、これからできる新しいサッカースタジアムの現況をまとめました。

完成まであと1年 京都は「駅すぐスタジアム」

サッカーの観戦環境向上気運を受け、全国でサッカースタジアムの建設計画が持ち上がっています。パナソニックスタジアム(ガンバ大阪の本拠、吹田市)が16年、ミクニワールドスタジアム(ギラバンツ北九州の本拠、北九州市)が17年に開業して以降、しばらく新設はなかったのですが、20年春に京都スタジアム(仮称)(京都サンガの本拠、亀岡市)が開業します。
*完成予想動画はこちら >> http://www.sanga-fc.jp/guide/newstadium.php

京都スタジアム(仮称)は、JR亀岡駅の目の前に出来ます。いま工事現場の付近には近寄れませんが、亀岡駅のテラスからスタジアムの工事風景をみることができます。動画にあるとおり、電車とスタジアムが一枚の写真に映るほど駅と近い場所にあります。歩いて3分ほどでしょうか。この駅からの近さが京都スタジアムの売りの一つになっていくことでしょう。


*工事現場の状況

京都スタジアム(仮称)を主に使用するのは、J2リーグの京都サンガです。もう15年以上前に、京都サンガのスポンサーである京セラ創業者の稲盛和夫氏が、私財を投じてスタジアムを作る案が京都新聞の1面トップに掲載され、話題を呼んだことがありました。その後、スタジアムをどこに作るのかの紆余曲折があったのですが、亀岡に建設することで決着しました。

京都スタジアム(仮称)の建設費は、167億円と報道されています。この建設費と維持費の一部をまかなうため、*¹京都府は、寄付を募っています。

寄付で作るスタジアムといえば、パナソニックスタジアムが先鞭をつけました。19年早々に改築工事が始まる*²キンチョウスタジアム(セレッソ大阪の本拠)も、寄付を募っています。キンチョウスタジアムは、改築費66億円を全て寄付で賄う構想なのですが、まだ4億円強しか集まっておらず、寄付の呼びかけを強化しています。

http://www.pref.kyoto.jp/kyoto_sports/individual_donations.html
https://www.sakura-stadium.jp/

スタジアムと場所
客席数
現状
本拠とするJクラブ(所属カテゴリー)
パナソニックスタジアム(吹田市) 4万人 16年開業 ガンバ大阪(J1)
ミクニワールドスタジアム(北九州市) 1万5000人 17年開業 ギラバンツ北九州(J3)
京都スタジアム(亀岡市) 2万1600人 20年春利用開始予定 京都サンガ(J2)
キンチョウスタジアム(大阪市) 2万5000人 19年2月から改築、21年春利用開始予定 セレッソ大阪(J1)
日向新富駅近く(宮崎県新富町) 未公開 実施計画作成済 テゲバジャーロ宮崎(JFL)
三菱重工長崎造船所跡地(長崎市) 2万3000人 23年完成予定 Vファーレン長崎(J1)
奥武山公園内(那覇市) 2万人 23年利用開始予定 琉球FC(J3、19年はJ2)
金沢市民サッカー場(金沢市) 1万人 既存施設を増築、23年度利用開始予定 ツエーゲン金沢(J2)
山梨県総合球技場(甲府市) 2万人 18年度中に基本計画 ヴァンフォーレ甲府(J2)
広島市内 未公開 候補地決定前 サンフレッチェ広島(J1)
代々木公園(東京) 3万人 計画段階
鹿児島市内 未公開 18年度中に立地方針を決める 鹿児島ユナイテッドFC(J3)
秋田市内 未公開 19年1月に調査概要報告 ブラウブリッツ秋田(J3)
平塚市 1万8000人 候補地4ヵ所を19年春までに公表 湘南ベルマーレ(J1)
山形県内 2万人 20年9月に建設地決定めざす モンテディオ山形(J2)

長崎県は500億円の複合施設 宮崎県にも

他の地域はどうでしょうか。いま、長崎市と那覇市、甲府市で建設が内定しています。長崎市は、J1・Vファーレン長崎の経営を担うジャパネットたかたが主導して建設します。

総事業費が500億円とも報道されていて、ホテルやマンションを併設する複合施設になる計画です。場所も一等地です。JR長崎駅から500メートルほどしか離れておらず、長崎のランドマークの一つになっていくでしょう。

那覇市には、ゆいレール(モノレール)の二つの駅に直結している奥武山公園に作られます。完成予想図を市が公表しており、試合のない日でも人が集まれるよう、スタジアム側面に飲食店を誘致する方針です。

他にも決定はしていませんが、調整が続いている例がいくつかあります。

特に注目なのは広島市です。随分と以前から新設計画が話し合われていましたが、まだ場所が決まっていません。旧市民球場跡地と中央公園という市街地にある2ヵ所に絞られており、市の判断が注目されています。公式には市中心部から遠い宇品地区も候補に入っていますが、事実上、上記2案に絞られているようです。

金沢も注目です。いまある市民サッカー場を増設して、J2の試合が開催できる基準(1万人の個席など)を備えたスタジアムにする予定です。ここを本拠にするのはJ2・ツエーゲン金沢。ツエーゲンはいま、金沢駅からタクシーで10分程度かかる緑地公園内の陸上競技場を本拠にしていますが、駅から遠い上に、陸上トラックがあって観戦環境は良くありません。

市民サッカー場は、金沢駅から歩くのは不可能ですが、隣の東金沢駅からは20分強と、なんとか歩けるような距離にあります。より市街地に近くなり、かつトラックもないスタジアムとなれば、これもランドマークの一つになってくるでしょう。
 
そして宮崎でも計画が持ち上がりました。J3の下のカテゴリーにあたるJFL(ジャパン・フットボール・リーグ)のテゲバジャーロ宮崎の本拠地となる新しいスタジアムが宮崎県新富町の日向新富駅近くに建設されることになったのです。レストランや博物館などが併設され、市民の憩いの場にする計画です。

国も建設を後押し

現在、Jリーグクラブの本拠地になっているスタジアムの多くは、国体開催を機に作られた陸上競技場が多く、グランドと客席の間に空間があって臨場感に欠ける欠点があります。屋根も少ないので、雨天時は観客が雨具の着用を余儀なくされています。また1958年建設の旧国立競技場をモデルにしたものが多いため、個性のない外観も問題点の一つとなっていました。

こうした事情を背景に、発足から25年以上が経つJリーグクラブのファンなどから、新スタジアム要望の声が多くあがっていました。経産省も日本再興戦略の一つにスポーツを成長産業にする方針を打ち出しており、スポーツ庁と一緒になった「地域高度化計画支援事業」で建設を後押しています。

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