ロープの上を飛んだり回ったり。新感覚スポーツ、スラックラインが今アツい

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ロープの上を飛んだり回ったり。新感覚スポーツ、スラックラインが今アツい

スポーティ

2012年春にオンエアされた、細いロープの上を軽やかに飛んだり跳ねたりする男女が出演する携帯電話のCM。まったく見たことのない動きが強烈に記憶に残っていたのですが、当時は「アクロバティックだし自分とは無縁だなぁ」と特に詳細を調べたりはしませんでした。

ところが今夏、大型野外ロックフェスにて出し物として体験会が開催され、さらには世界ランキング1位に日本人女性が輝いたと聞き、そのスポーツ、スラックラインが少し身近に思えてきました。最近ではフィットネスジムで取り入れているところが増えていますが、ひょっとして初心者でも意外とできちゃったりするんでしょうか?

トランポリン+綱渡り=スラックライン

興味津々な編集部が訪ねたのは、携帯電話のCMで鮮やかな演技を披露していた福田恭巳さん。まだ21歳の彼女こそが、7月に発表された国際スラックライン連盟(WSFed)のランキング女子部門で堂々の世界1位に輝いた、日本におけるスラックライン界の第一人者です。

とてもチャーミングな笑顔で迎えてくれた福田さんに、まずはスラックラインがどんなスポーツなのかを教えてもらいました。

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「スラックラインは、5cm幅のナイロン製のロープの上を歩いたり、飛んだり、回ったりする、トランポリンと綱渡りを合わせたようなスポーツです。起源はだいぶ昔で、山や岩を登るクライマーが余暇を楽しむためにザイル[*1]を張って遊んでいたって説があるんですけど、スポーツとして成立したのは2007年にドイツのギボン社が専用のラインを開発してからですね。日本上陸は4年とか5年くらい前だったと思います」
*1:登山で使われるクライミング用のロープ

日本チャンピオンでさえ、最初は歩けなかった

福田さんがスラックラインに出会ったのは、まだ高校生だった3年ほど前のこと。クライミング部に所属し、「クライミング命!」というほど打ち込んでいた時に紹介されたのだそうです。

「クライミングから派生したって聞いたんで『簡単にできるっしょ』って余裕こいてたんです(笑)けど、自分で『えっ!?』ってビックリするくらい全然できなかったんです。でも練習しているうちにどんどんコツが掴めていって、初めて5m歩けるようになってからはすっごい楽しくなってきましたね。3ヵ月くらいかかったから超遅いんですけど(笑)」

歩けるようになるまでに時間がかかったものの、なんとわずか1年で日本チャンピオンの座に君臨。「まだ競技人口が今より少なかったですから」とはにかむ福田さんですが、何度も練習を重ねて日本人女性としては初めてバックフリップ[*2]を成功させるなど、その才能を伸ばしていきました。「練習すればするほど、上達するスポーツだと思ってますよ」という言葉が、心に刺さります。
*2:進行方向に対して後ろ向きに宙返りをすること

すべての経験が自信につながる

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ところで、福田さんみたいにランキングの上位に入るにはどうしたら良いのでしょうか。基準が気になって聞いてみると、「世界でも日本でもスラックライン連盟が定めている大会がいくつかあって、そこでの獲得ポイントで順位が決まるんですよ」とのこと。スラックラインの大会…と言われても、どんなことが行われているのかまったく想像がつきません。

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「基本は1対1で戦うトーナメント形式です。ラインから落ちたり、区切りがついたら相手と交代して…という繰り返しで、それぞれが持ち時間の2分を自由に使って交互に技を披露していきます。それを審査員が難易度、完成度、観客をいかに盛り上げたかといった項目にポイントを入れていく。だから、この2分をどう乗り切るかに勝負がかかっています。どれだけうまい人でも失敗しちゃったら上位に進めない。実力だけじゃなくて運も関わってくるところが面白いんですよ」

「いかに観客を盛り上げたのか」という項目があるように、最近では観客の数が爆発的に増え、大技の前は手拍子が沸き起こったりもしています。そんな中、対戦相手が大技を決めるとプレッシャーがかかりそうですが、福田さんはどうやって平常心を保っているのでしょうか?

「いやー、全然平常心でいられないです。私はメンタル超弱いですから(笑)。いかに平常心で2分間を過ごすのかは一生の課題だと思っています。でもこれまでの経験だと『できる!』と思ったら難易度の高い技も決まるし、逆に不安になったら普段できるものも失敗しちゃう。思い込みでもいいから、自信を持つことが大事なのかな」

昨年はドイツ、今年はアメリカと海外での武者修行を重ねている福田さん。日本より競技人口が多い海外ではレベルの高いライダーも多く、彼らと一緒に練習したり大会で競ったりという経験も彼女の自信につながっているそうです。

初心者は「やじろべえ」の気持ちで

ちなみに、今回編集部が訪れたのは浅草にあるスラックライン専用ジムのINDIGO。せっかくなので、福田さんにレクチャーしてもらってスラックラインの上に立ってみました。

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「初めての方は、まず利き足で立つところから始めてみましょう。基本姿勢は膝を曲げて重心を落として、胸は張って目線は前の方。やじろべえみたいなイメージで片足、右手、左手でバランスをとってみてください」

あまりにも福田さんが軽やかなので簡単そうに見えましたが、想像よりもラインがたわみ、立てたと思ってもフラフラしてしまいます。「ポイントは、いかに早く自分の重心を見つけられるかですね。コツさえ掴んでしまえば、数時間もあれば歩くことができると思いますよ!」

最近ではINDIGOのような専用ジムのほかにもボルダリングジムやスポーツクラブなど体験できるところが増え、競技として楽しむのはもちろん、そのフィットネス効果にも注目が集まっています。というのも、スラックライン上でからだを支えるために常に下腹に力を入れた状態でいるので、続けているうちにウエストまわりが細くなったという声が多いのだとか。これは女性には嬉しい情報です!

続けている理由は「楽しいから!」

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それでは、福田さんのように跳ねたり回ったりするにはどうしたら良いのでしょうか?

「最初はトランポリンで練習すると良いです。回る感覚がわかったら、あとは根性でやってみるのみ。成功すればケガしませんから(笑)。さっきも言ったように自信を持つことがとにかく大事だから、成功をイメージしながらやってみてください」

デモンストレーションを見せてくれた福田さんは、常に満面の笑顔。スラックラインは楽しいですか?

「3年ちょっとやっていますけど、続けている理由は楽しさが一番大きいです。ラインと自分との戦いというストイックな部分、たくさんの人に見てもらえる華やかな部分、パフォーマンス次第で評価が変わってくるシビアな部分とか、全部ひっくるめて大好きです。大会での失敗すら面白く感じてますもん(笑)」

そんな福田さんは、9月21日(土)、22日(日)に開催された日本選手権「第4回ギボン日本オープンスラックライン選手権大会」にて、見事に3連覇を達成! 実は肘を負傷していたそうですが、それを感じさせない迫真の演技で観客を魅了していました。今後の目標は、日本チャンピオンの座を守り続けることと、ワールドカップで女子1位になること。競技人口の増加によりライバルが増えていることも、彼女にとっては大きな刺激になっているようです。

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このスラックラインの迫力を生で体感できる大会「5th GIBBON CUP in AICHI」が、11月2日(土)愛知県碧南市臨海公園にて開催。エントリーは10月28日(月)までデジエントリーにて受付中です。当日は体験会も行われる予定なので、この機会にスラックラインに乗ってみませんか?


スラックライン