人間の極限パワーに挑む「ストロングマン・コンテスト」

人間の極限パワーに挑む「ストロングマン・コンテスト」 DO

人間の極限パワーに挑む「ストロングマン・コンテスト」

スポーティ

3月23日にサーフィンのメッカとして名高いカリフォルニア州・ハンティントンビーチにおいてカリフォルニア・ストロンゲストマン・コンテスト2019が開催されました。

今年で17回目を数える同大会には、ストロングマン・コンテストの最高峰とされるWorld’s Strongest Manやアーノルド・シュワルツェネッガー氏が創設したアーノルド・ストロングマン・クラシックなどの有名な大会に出場歴のある選手を始め、地元カリフォルニアや全米各地から力自慢の男女アスリートが集結して、その人間離れしたパワーを競いました。

究極の力自慢

重いモノを持ち上げる競技としては、オリンピック種目であるウェイト・リフティング(クリーン&ジャークとスナッチ)やパワー・リフティング(デッドリフト、スクワット、ベンチプレス)が競技としての歴史もあり、また一般的に有名でもあります。

そのどちらもバーベルという同じモノを持ち上げるのに対して、ストロングマン・コンテストでは、大会ごとに競技内容やルールが異なることが際立った特徴です。

バーベルの代わりにストロングマン・コンテストでよく見られるのは、巨大なタイヤをひっくり返したり、トラックを引っ張ったり、ドラム缶を投げたりなどですが、その重量も形状も制限時間にも統一されたルールはありません。

ウェイト・リフティングとパワー・リフティングが決まったフォームで、1回だけバーベルを持ち上げるのに対し、ストロングマン・コンテストで用いるモノは必ずしも持ち上げやすい形状とは限りませんし、1回だけではなく複数回繰り返したり、モノを持ち上げて歩いたりする種目もあります。そのため、最大筋力に加えて持久力や耐久力、そして対応力も必要になります。

つまり、ストロングマン・コンテスターたちは単なる力持ちというだけではなく、よりオールラウンダーな運動能力と精神力を要求されるのです。

鍛え上げたパワーを現実生活に活かすという意味では、ストロングマン・コンテストは最も実用的と言えるでしょう。冷蔵庫でもタンスでもいいですが、重いモノを持ち上げてトラックに積み込んだり、階段を上ったり出来るからこそパワーが役に立つのであって、いくら重いモノを持ち上げられても、その場に落としてしまうのでは、実利性はゼロです。

ビーチに集ったチカラビトたち

この日の大会は、プロ部門とアマチュア部門に分けられていました。アマチュア部門はさらに体重別に、男子3階級、女子2階級に分けられていました。体重別とは言ってもその階級ごとの体重は以下の通りです。

プロ部門(体重無制限)
男子軽量級:90.7kg以下
男子中量級:90.8kg ~ 104.8kg
男子重量級:104.9kg ~ 120.2kg
男子超重量級:121kg以上
女子軽量級:63.5kg以下
女子中量級:63.6kg ~ 81.6kg
女子重量級:81.7kg以上

ご覧の通り、一般人から見ると、軽量級と言えども、ものすごくデカい人たちの集まりです。ちなみに出場選手リストによると、今大会の男子最軽量選手の体重はリミットぎりぎりの90.7kg、最重量選手は149.7kgでした。これだけの体格の選手が会場に集まるところは壮観としか言いようがありません。筆者は大相撲観戦の経験がありますが、そのときに受けた印象とさほど変わりませんでした。

当日の競技の様子を紹介

①クリーン&プレス
ウェイトリフティングで用いられるバーベルとは違い、単なる太い鉄の棒(Axle)の両端にタイヤが固定されています。これを地面から頭上まで持ち上げます。写真の重量は145㎏。連続してほぼ同じ重さのログ(丸太)を同じように持ち上げ、やや軽めのケグ(樽)は片手で持ち上げます。制限時間は60秒。

②ファーマー・ウォーク
両手に重いものをぶら下げて歩く、ただそれだけですが、1つの重量が156㎏あります。片道約15メートルを往復し、制限時間は60秒です。

③ケグ(樽)・スロー
以前TBSの「スポーツマンNo.1決定戦」でやっていたガロン・スローに似ていますが、こちらは5個の樽を連続して投げます。やはり制限時間は60秒。樽の重さは18kg から27㎏まで。ちなみに「スポーツマンNo.1決定戦」で使っていたのは10㎏だそうです。

一般参加も可能なストロングマン・コンテストは日本でも

この大会はまさにモンスターたちの集まりでしたが、これほどすごい重量ではなくても、米国のジムではストロングマン・コンテストと同じような種目でトレーニングすることはよくあります。

バーベルやトレーニング・マシーンを使った伝統的な筋力トレーニングと比べて、こうしたストロングマン・トレーニングにより効果があるかどうか否かについては科学的根拠はないようですが、普段と違う刺激が得られ、何よりも楽しいトレーニング方法として人気があります。

その為、クロスフィットなどのジムで巨大タイヤ、ログ、石、そりなどを備えているところは数多くあります。日本でも三重県伊勢市にある「クロスフィット伊勢」では数多くのストロングマン・トレーニング用設備が整っています。

また、毎年1回日本国内で場所を変えて行わている「ストロングマン・チャレンジ」という大会があります。2013年から震災復興イベントとして開催されている大会です。

そこでは大会名の通り、モンスター部門とは別に一般の人が挑戦できる部門が設けられていて、体重クラスも80kg以下、105㎏以下とやや日本人向けの設定がされています。

2019年は5月26日(日)、茨城県龍ケ崎市の「たつのこスタジアム特設会場」にて開催予定とのことです。詳細は現時点では未定のようですが、興味のある方はチェックしてみては如何でしょうか。