初心者向け解説:アメフトの各ポジションに求められる身体サイズと運動能力とは

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初心者向け解説:アメフトの各ポジションに求められる身体サイズと運動能力とは

スポーティ

米国での2月12日(日本時間13日)、第57回スーパーボウルが行われ、カンザスシティ・チーフスがフィラデルフィア・イーグルスを38-35の僅差で下し、NFL 2022-23シーズンの頂点に立ちました。

両チーム合わせて73点というのはスーパーボウル史上3番目の多さでした。そんな大量得点の、しかも手に汗を握るシーソーゲームを演出した最大の立役者はもちろん双方のクォーターバック(QB)です。

勝利したチーフスのQBパトリック・マホームズは足首に故障を抱えたままの大活躍で自身2度目のスーパーボウルMVPに選出されました。惜しくも敗北したイーグルスのQBジェイレン・ハーツはラッシュによるタッチダウンを3回成功させるというスーパーボウル最多記録に並ぶ歴史的なパフォーマンスを見せました。

無論、この史上稀な好試合を作り上げたのはマホームズとハーツだけではありません。クォーターバックはアメフトで最も注目される花形ポジションですが、それ以外のポジションの役割と特徴を理解しておくと、次回からのアメフト観戦がぐっと面白くなるはずです。

アメフトのポジション

アメフトには24種類のポジションがあると言われています。一度にフィールドでプレイするのは11人しかいないにもかかわらず、それよりはるかに多い数のポジションがあるのは、選手たちが「攻撃」、「守備」、そして「スペシャルチーム」のどれかに分かれるからです。それだけにポジションごとの専門性が高く、選手たちの体格も求められる運動能力の種類も異なります。

攻撃側のポジション

クォーターバック(QB)

QBはチームのリーダーであり、司令塔です。各プレイの前に攻撃方法を選択し、チームにそれを伝え、最初にボールを受け取ります。QBはそのボールを持って走るか、ランニングバック(RB)に手渡すか、あるいはパスをワイドレシーバー(WR)かタイトエンド(TE)に投げます。

スピード、送球力、瞬発力、などを高いレベルで求められる万能型アスリートにしかできないポジションですが、それ以上に刻々と変わる試合状況に応じて最適の方法を見出す判断力と視野の広さが重要になります。

ランニングバック(RB)

RBはときにはパスを受けることもありますが、基本的にはQBから手渡されたボールをもって前方に走ることが主な役割です。

当然、俊足の選手がつくポジションですが、求められるのはスピードだけではありません。相手守備陣のタックルをかわすか、あるいは押しのけていくわけですので、アジリティ、バランス、パワーも重要な要素になります。

例えば、スーパーボウル57でも大活躍したチーフスの新人RBアイザイア・パチェコは身長約178センチ、体重約100キロです。それでいながら、ドラフト前の運動能力テスト(NFL Combine)では40ヤードを4.37秒で走り、同ポジションの選手ではトップタイでした。

ワイドレシーバー(WR)

WRはQBからのパスを受けて走ることが役割です。スピードはもちろんですが、相手ディフェンスをかわしてキャッチするためのジャンプ力とアジリティが求められます。

有名なWR選手のひとり、DKメトカーフ(シアトル・シーホークス)は陸上競技100M走で東京オリンピックの米国代表決定レースに出場し、2024年パリ大会へも挑戦することを公言しています。

タイトエンド(TE)

TEはRBとWRの中間的な存在です。パスを受けることもありますが、状況に応じてQBをタックルから守るブロッカーの役割を担うこともあります。俊足であるだけではなく、強いパワーも求められます。

チーフスのTEトラビス・ケルシーは同ポジションで史上最高選手のひとりに挙げられるほどの名選手ですが、身長約196センチ、体重約118キロの体格です。それでいながら、NFL Combineでは40ヤードを4.61秒で走ったのです。

ちなみに最近2度目の引退を発表した史上最高QBトム・ブレイディの40ヤード走タイムは5.28秒でした。

オフェンシブ・ライン(OL)

OLはボールに触ることはあまりありません。QBやRBを相手守備陣のタックルから守ることが主な役割です。爆発的なパワーとスピードが求められます。

当然、選手たちの体格が最も大きくなるポジションです。体重130キロを越える選手は珍しくありません。大相撲の力士やプロレスラーをイメージしても、さほどかけ離れてはいないでしょう。

分かりやすい例を挙げるとすれば、K1やプライドで活躍したボブ・サップさん(身長200センチ、体重147キロ)は元NFL選手でしたが、ポジションはOLでした。

守備側のポジション

ラインバッカー(LB)

LBはタックルの専門家と言えるでしょう。チームのポジション編成によって異なりますが、通常は3~4人が配置されます。相手攻撃陣のラン攻撃とパス攻撃のどちらにも対応します。

パワー、スピード、アジリティが要求されるポジションです。体格的にもWRとOLの中間的なサイズで、体重100~120キロくらいの選手が多いようです。

コーナーバック(CB)

CBは相手攻撃チームのパスを遮断する、あるいはインターセプトすることが役割です。相手WRをマークするスピードとジャンプ力が求められます。

史上最も有名なCBと言えばディオン・サンダースでしょう。NFLとMLBの両方で同時期に活躍したマルチ・アスリートです。スーパーボウルとワールドシリーズの両方に出場した史上唯一の選手でもあります。そのサンダースは野球では俊足の外野手でした。

ディフェンシブ・ライン(DL)

DLはOLに対応したポジションです。相手のランをブロックすることに加え、QBがパスを投げる前にタックルする(サック)が役割です。その前にDLと激しくぶつかりあって、スペースを作らなくてはいけません。

DLとOLはアメフトで最も大柄な選手がつくポジションです。第66代横綱の若乃花勝さんは引退後アメフトに挑戦しましたが、そのポジションはDLでした。現在は元アマチュア横綱の花田秀虎がやはりこのポジションでアメフトに挑んでいます。

スペシャルチーム

スペシャルチームは試合中にキックの場面でのみ登場する専門家グループです。その中にはボールを後方に投げるロングスナッパーや、そのボールを地面に固定するホルダーなどもいますが、試合中に目立つポジションは以下の2つでしょう。スーパーボウル57ではとくに試合終盤でチーフスのスペシャルチームが大活躍しました。

キックリターナー(KR)

KRは相手チームのキックオフやパントでキックされたボールを捕球し、リターン攻撃をしかけるポジションです。求められる運動能力が似ているため、WR, RB, CBが兼任することも多くあります。

スーパーボウル57でチーフスのWRカダリウス・トニーが第4クォーターにスーパーボウル史上最長となった65ヤードのパント・リターンを成功させ、チーフス大逆転劇の大きなきっかけを作りました。

プレースキッカー(PK)

PKは前半後半ハーフの開始時及び攻守交代時のキックオフやフィールドゴールを狙う場面に登場するキックの専門家です。第4ダウンにボールを遠くへ蹴りだす「パント」も兼任することもありますが、別の選手が担当することが一般的です。

スーパーボウル57でチーフスの勝利を決定づけたのは、PKのハリソン・バッカーです。35-35の同点で試合終了まで残り8秒という場面で27ヤードのフィールドゴールを見事に成功させました。

バナー写真:”Washington Football Team DL James Smith-Williams tackles Ravens RB J.K. Dobbins” by All-Pro Reels is licensed under CC BY-SA 2.0.

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