神宮大会2025

神宮大会2025 WATCH

神宮大会2025

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今年の明治神宮大会は11月14日から6日間行われました。秋の日本一を決めるだけあってレベルが高く素晴らしいプレーが繰り広げられ、大学の部と高校の部それぞれ優勝校が決まりました。
>>第五十六回 明治神宮野球大会

大学の部

>>第五十六回 明治神宮野球大会 大学の部

優勝 青山学院大 東都大学野球連盟代表
準優勝 立命館大 関西五連盟第二代表

決勝戦は、青山学院大対立命館大戦の東西対決となりました。青山学院大は中西聖輝投手(4年 智辯和歌山)、立命館大は遠藤翔海投手(4年 京都共栄学園)による投手戦で始まりました。6回には渡部海選手(3年 智辯和歌山)の3点本塁打が飛び出し、終わってみると4対0で青山学院大が立命館大を下して昨季に続いて優勝を果たしました。中西投手は9回を127球で被安打はわずか2本、与えた死球がたった1つ、そして17個の三振を奪って完封しました。150キロ近いストレートに変化球を巧みに使い分け打者を打ち取っていく姿は素晴らしいという表現がピッタリの投球内容でした。中西投手は中日ドラゴンズから1位指名、今後の活躍が期待されます。

準優勝に終わった立命館大のチーム力は決して低いものはありません。2回戦で明治大と対戦。立命館大は遠藤投手、明治大は毛利海大投手(4年 福岡大大濠)による両先発で始まりました。2対2で延長タイブレークに入った10回表、明治大の守備の乱れに加えて坂下晴翔選手(4年 立命館慶祥)のタイムリーヒットや川端一正選手(3年 初芝橋本)の三塁打などで一挙5点。4回途中からマウンドに上がった有馬伽久投手(3年 愛工大名電)が10回裏、明治大打線を3人で抑え7対2で勝利。まさに執念での粘り勝ちといっていい試合展開に東京六大学の明治大に勝利した立命館大の応援席は大きく湧きました。

今年は関西勢が健闘

関西五連盟第一代表の佛教大は初戦の日本文理大にコールドで快勝したのち、2回戦で青山学院大と対戦しました。佛教大は野村亮輔投手(3年 綾羽)、青山学院大が中中西投手の先発で試合開始。佛教大は野村投手の制球が安定せず、三上明斗投手(3年 洛東)、合木凛太郎投手(4年 高田商)、赤木晴哉投手(4年 天理)で繋ぎますが、青山学院大は4回と5回に1点ずつ奪い、一方佛教大は9回に1点を返したものの、2対1で青山学院大が佛教大を下しました。中西投手は被安打3、奪三振11、与えた四死球は2つだけと見事なピッチングで9回を投げ切っています。中西投手が登板したのはこの佛教大戦と決勝の立命館大戦の2試合のみですが、2試合とも打者を寄せ付けないピッチングで完投。かなり実力のある投手だと実感させられた試合でした。

また、立命館大は準決勝で名城大と対戦。名城大の池田翔紀投手(4年 菰野)、立命館大の高橋大和投手(2年 社)の先発で始まり、投手戦が繰り広げられました。立命館大の西野啓也選手(3年 高知)が4回に3塁打を放ち1点を先制。この1点が決勝点となり、立命館大は4投手による継投で1対0と名城大を制し決勝進出を決めています。

今大会では明治大に立命館大が勝利したものの、青山学院大に関西五連盟代表の佛教大と立命館大がともに敗れました。青山学院大のレベルの高さが感じられたものの、両チームともにエースの中西投手に対して諦めることなく必死にくらいつき僅差の試合を最後まで続けました。関西地区、ひいては地方の大学野球のレベルが東京六大学や東都大学野球に近づいてきているのではないかと感じられた大会でした。

高校の部

>>第五十六回 明治神宮野球大会 高校の部

優勝 九州国際大付属 九州地区代表・福岡県
準優勝 神戸国際大附属 近畿地区代表・兵庫県

大学の部の決勝が「東西対決」になったのに対し高校の部の決勝は「西日本対決」、神戸国際大附属と九州国際大付属の対戦になりました。神戸国際大附属は背番号10をつける宮田卓亜投手(2年)が、一方の九州国際大付属はライトの守備にもつく背番号9の岩見輝晟投手(1年)が先発しました。神戸国際大附属は2試合で5本の本塁打などで計13点を奪い勝ち上がってきました。

これに対して九州国際大付属の岩見投手は山梨学院戦で8回の途中まで投げ好投しているだけに接戦が予想されましたが、初回に九州国際大付属が3点を先制すると神戸国際大附属の4人の投手陣から追加点を加えていきます。9回には背番号上岡煌選手(2年)のライトスタンドへの特大の本塁打も飛び出し、11対1の大差で九州国際大附属が優勝を掴み取りました。岩見投手は、最後はエースの渡邊流投手(2年)に託したものの、打者26人から10もの三振を奪っています。

これにより九州地区が来春のセンバツで「神宮枠」を獲得しました。

九州国際大付属は準決勝の花巻東戦で点を取り合うシーソーゲームになりましたが、勝負強さを発揮し、下位打線が計9安打を放ち8対7で花巻東を下しています。初戦の山梨学院戦では9回に相手バッテリーのミスもあり6対5と逆転サヨナラ勝利で決勝進出を決めるなど粘り強く最後まで諦めない姿勢が勝利を呼び込んだといえる試合展開でした。

これに対して、神戸国際大附属は決勝で敗れたとはいえ実力のあるチームでした。初戦の中京大中京との試合では3本の本塁打などで得点を重ね、7対0と7回でコールド勝ちしています。また、準決勝の英明戦でも2本の本塁打などで6対2と優位に試合を進めています。神戸国際大附属はエースの秋田依吹投手(2年)をはじめとして複数の投手を擁していますが、打撃に優れたチームだという印象のある今大会でした。

また、今大会では花巻東、英明も比較的安定したチームで勝ち上がりベスト4入りしています。

センバツに向けて期待の選手たち

今大会で特に紹介したい選手としては、九州国際大付属から二人の選手をあげたいと思います。一人目は岩見投手です。今年はまだ1年生、エースの渡邊投手に対して控えの投手という位置づけです。今大会ではライトの他に一塁の守備にもつきました。山梨学院戦で先発し8回途中まで投げ4失点で奪三振が8。そして、先述のように決勝でも先発し無失点で奪三振が10と大事な試合で好投しています。

もう一人は上岡選手です。背番号13をつけますが先発で一塁の守備で出場しています。175㎝で107㎏と大柄で貫録のある選手です。決勝ではライトスタンド中段に大きな本塁打を放っていますが、コンパクトに流し打ちでヒットを打つなどパワーだけではなく器用さも兼ね備えた選手です。この両選手のさらなる成長も期待したいところです。

今大会で神宮大会に出場した各チームは冬の間にどのように成長し、来春のセンバツではどのような戦いをしてくれるのか、非常に楽しみですね。センバツは今大会とは違った試合展開を見せてくれることでしょう。

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