NPBファーム情報 -ウエスタン・リーグ編-
WATCHNPBファーム情報 -ウエスタン・リーグ編-
フレッシュオールスターが終わり、ウエスタン・リーグは、後半戦に突入しました。各地でデーゲームを中心とした試合が行われています。
ファームには、実戦の経験を積んでいる選手もいれば、結果を残し一軍に昇格する選手もいます。また、ベテランの選手が調整のために出場することも珍しくありません。今回は、ウエスタン・リーグの注目選手を紹介します。
阪神・藤浪投手 復活なるか
メンバー表交換
7月26日、ウエスタン・リーグの中日戦に、阪神・藤波晋太郎投手が先発として、甲子園球場のマウンドに上がりました。藤浪投手が先発するとあって、平日にも関わらず、球場はネット裏スタンドがほぼ満員となり、一塁側の内野スタンドも半分以上が埋まりました。
今季は開幕以来ファームで調整していた藤浪投手。この日の試合では、敗戦投手になったものの、6イニングを投げて自責点は1。150キロ台のストレートに、キレのある変化球で打たれたヒットは、6本、5つの三振を奪いました。コントロールもまずまずで、四死球はありませんでした。
この試合の見どころは、中日ドラゴンズ期待のルーキー・根尾昴選手との対戦です。両者ともに高校生時代に甲子園を沸かせた大阪桐蔭の出身者です。
根尾選手(中日)
この試合での対戦は3打席ありました。1打席目は、レフトフライに打ち取り、2打席目と3打席目は、見逃し三振を奪い、藤浪投手に軍配が上がりました。
藤浪投手は、この試合で結果を残し、一軍に昇格。8月1日の甲子園球場での中日戦で今季初の一軍のマウンドに立ちましたが、5回途中で降板しました。この試合で藤浪投手に勝敗はつきませんでしたが、6四死球とコントロールに苦労し、再び登録抹消となりました。
ウエスタン・リーグで登板した際の藤浪投手は、決して悪い内容ではありませんでしたので、復調の兆しはあるのではないかと思いました。実力がある投手だけに早い復活が待たれますが、焦らず調整し再び一軍のマウンドで活躍する姿を見たいところです。
藤浪投手(阪神)
広島東洋カープ、期待は機動力
ファームでの試合は積極的に走ることで機動力のあるチームを作り上げていくことができるのです。かつての広島東洋カープは投手王国のイメージもありましたが、現在の広島東洋カープは、ウエスタン・リーグでトップの盗塁数(8月8日現在)を誇るなど、機動力の高いチームになっています。
この日の試合で盗塁を試みたのは、羽月隆太郎選手、サンタナ選手、そして中村奨成選手が2度の計4回です。羽月選手は今季8盗塁(盗塁刺は9つ)、サンタナ選手は、4盗塁(盗塁刺5つ)、中村奨成選手は、3盗塁(盗塁刺3つ)を記録しています。
広島東洋カープは、ファームで最も盗塁を成功させているのは桒原樹選手、大盛穂選手、この2人に次いで堂林翔太選手らがいますが、それ以外の選手も積極的に盗塁を試みています。中村奨成選手は入団2年目。
中村奨成選手(広島)
カープの正捕手の座を狙うべくファームで実戦経験を積んでいますが、今季は故障の影響で本格的に出場するようになったのは7月になってからです。
実質2か月に満たない期間に6度も盗塁を試みるのは頼もしい限りです。一軍に昇格する頃にはソフトバンクホークス・甲斐拓也選手の代名詞「甲斐キャノン」に勝る強肩と、どんな強肩にも刺されない俊足を兼ね備えた選手に成長してもらいたいところです。
今季の期待選手
フレッシュオールスターにウエスタン・リーグ選抜で出場した選手の中にも一軍昇格を果たした選手がいます。広島東洋カープ・小園海斗選手、中日ドラゴンズ・山本拓実投手らです。
小園選手は、報徳学園からドラフト1位で入団したルーキーです。山本投手は今季2年目です。
小園選手は、オープン戦では一軍に帯同していたものの開幕後はウエスタン・リーグの試合に1番ショートで出場、実戦経験を積んできました。6月に1軍デビューを果たしたものの、7月には再びファームへ戻りました。
ウエスタン・リーグでは、6本塁打を含む44安打で打率.210の成績を残しています。18回盗塁を試みてうち8回成功しています。小園選手は一軍では24試合に出場し、2本塁打を放つなど打率.235の成績を記録しています。
一軍に順応できているといっても良い数字ですが、今後、各チームは小園選手を研究してくるでしょう。広島東洋カープとしては、今季はチームとして丸佳浩選手や新井貴浩選手ら野手が抜けましたので、若い野手にはどんどん育って欲しいところです。小園選手は各投手にどう対応していけるのか今後が楽しみです。
山本投手は昨季、ファームでも登板機会は少なかったのですが、今季は13試合に出場して2勝を挙げました。防御率3.34もまずまずの成績です。
中日ドラゴンズの一軍は、現在の順位が5位と低迷しているチーム事情もあってか、一軍に昇格。7月31日に甲子園球場での阪神戦に登板し、プロ初勝利を挙げました。身長は167㎝、体重71㎏と小柄な投手です。一軍昇格後、既に3試合で17イニングに登板しています(1勝2敗防御率4.24)。
昨季、ウエスタン・リーグの試合に登板した山本投手を見た筆者は、こんなに早く一軍へ上がれる日がやってくるとは予想しませんでした。チャンスを活かして更なる成長を期待したいところです。