この春、絶好調の選手はだれ?ブエルタ・アンダルシア・レースレポート

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この春、絶好調の選手はだれ?ブエルタ・アンダルシア・レースレポート

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毎年2月中旬に開催されるスペインの名物レース、ブエルタ・アンダルシア・ルータ・シクリスタ・デル・ソル(La Vuelta a Andalucía Ruta Ciclista del Sol)。

今年は、天候と気温に恵まれた中での開催となりました。ヤコブ・フルサン選手(Jakob Fuglsang/Astana Pro Team)の2連覇で幕を閉じた、今年のこのレースの様子をレポートします。

TOP写真:今年のブエルタ・アンダルシアを総合優勝したフルサン選手。第5ステージにて。Photo by Yukari TSUSHIMA

クライマー向けのステージが多いブエルタ・アンダルシア

Photo by Yukari TSUSHIMA

今年からワールドツアー・レースになったこのブエルタ・アンダルシア。今年はワールドツアーチームが8チーム、プロコンチネンタルチームが12チーム、コンチネンタルチーム1チームの、合計21チームが、このレースに参加しました。

毎年山岳コースが主体のコース設定が多いブエルタ・アンダルシアですが、今年もその例外ではありません。たとえスプリンター向けのコースではあっても完全な平坦ステージのない、典型的なスペインのレースなのです。 

第1ステージからフルサン選手が優勝

地元マラガ出身のウルバノ選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

マラガの隣町からスタートした第1ステージ。4カ所の3級山岳と1カ所の1級山岳がこの日の舞台となりました。

この日スタート地点のアルウリン・デ・ラ・トーレ(Alhaurin de la Torre)の空は、黒い雲に覆われ霧雨が降りましたが、幸い選手たちが集まるころには雨も上がりました。

この日は、レース序盤に数人の逃げ集団が形成されます。その中には地元マラガ出身のカルメロ・ウルバノ選手(Carmelo Urbano/Caja Rural Seguros RGA)の姿がありました。

レースはゴールまでラスト20㎞地点で、逃げ集団がメイン集団に吸収されます。そして、総合優勝を狙う選手たちが本格的に戦い始めました。

フルサン選手、ダビッド・デ・ラ・クルス(David de la Cruz/ UAEEmirates)選手、ヨン・イザギーレ選手、そしてミケル・ランダ選手がゴール前で集団を作りますが、ここから抜け出してこの日の勝利を飾ったのは、昨年優勝のフルサン選手でした。

去年のこのレースも勝っているから、今年はいい感じでレースに挑めているんだ。

と話すフルサン選手。その一方で、デ・ラ・クルス選手は、以下のようにレース後に記者たちの質問に応えました。

まだ、本調子とは言えないですね。

スプリンター向けステージの勝利は、スペイン人選手の手に

第2ステージで優勝したゴンザロ・セラノ選手。写真は第3ステージのもの。Photo by Yukari TSUSHIMA.

第2ステージは、セビリヤからイズナハルまでの198㎞。今年唯一のスプリンター向けステージですが、3級山岳を3カ所も登る上に、ゴール直前には斜度7%の坂が選手たちを待ち受けます。

スタート直後から4人が逃げ集団を作るものの、最後の登りでメイン集団に吸収されます。その後数人の選手が集団から抜け出そうとするものの、スプリンターを抱えるチームがレースをコントロールします。

結局、大集団で迎えた最後の7%の登りを一番先頭で駆け上がってきたのは、今年プロ4年目のゴンザロ・セラノ選手(Gonzalo Serrano/ Caja Rural Seguros RGA)でした。

今年26歳のセラノ選手は、基本的にはスプリンターですが、平坦コースだけではなく、この日のステージのような登りゴールも苦にしない選手です。そのため、短期間のステージレースも得意としています。ワールドツアー・レース初制覇となったゴンザロ選手の活躍にカハ・ルラルのスタッフたちも大喜びしていました。

山岳ステージはフルサン選手とヘイグ選手が活躍

今年カハ・ルラルに移籍したオールイス・アウラール選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

第3ステージと第4ステージは共に山岳ステージ。この山岳2ステージの主役は、フルサン選手でした。

第3ステージは、オリーブオイルの生産地ハエン(Jaen)からウベダ(Ubeda)へと向かう177km。3級山岳を1カ所、2級山岳を2カ所、1級山岳を2カ所登るハードなものです。

この日の最大の見どころは、ウベダのゴールに向かう最後の右カーブにありました。ウベダの町に、フルサン選手、バーレン・マクラーレンのペリョ・ビルバオ選手とダイラン・テウンス選手、ジャック・ヘイグ選手の4人が最初にたどり着きますが、最後の右カーブでテウンス選手とヘイグ選手の2人がコースアウト。

結果、問題なく最後のカーブを曲がり切ったフルサン選手がこの日、ステージ優勝しました。

第4ステージ優勝のヘイグ選手(写真左)とフルサン選手(同右)。Photo by Yukari TSUSHIMA.

第4ステージは、ビリャヌエバ・メシアからグラナダへ向かう125㎞。グラナダ市内に入ったときにはオールイス・アウラール選手(Orluis Aular/ Caja Rural Seguros RGA)を含めた20人ほどの先頭集団がいましたが、アルハンブラ宮殿に向かう登りでこの先頭集団が吸収されます。

その後、総合上位を狙う選手たちがメイン手段を抜け出し、最後のゴール前スプリントで、ヘイグ選手がステージ優勝を手にしました。

昨日のコースアウトは、けっこうショックだったんだ。でも、今日はまたチャンスがあると信じて走ってた。

とヘイグ選手がコメントしました。その一方で、リーダージャージを着るフルサン選手はこの日第2位。今年の総合優勝をほぼ確定させました。

最終ステージは個人タイムトライアル

第5ステージの表彰台にて。この日のステージ第2位のフルサン選手(写真左)、ステージ優勝のテウンス選手(同中央)、第3位のアレックス・エドモンソン選手(Alex Edomondson/Mitchelton Scott)。Photo by Yukari TSUSHIMA.

最終第5ステージは、距離13㎞の個人タイムトライアル。マラガの隣町のラ・カラ・デ・ミハスという海辺の村がこの日のレースの舞台になりました。

海辺の割には風も強くなく、登りもあまりないこの日のコース。くわえて、カラ・デ・ミハスの村の中に設置されたスタート・ゴール地点付近も、カーブの少ない直線コースが続きます。そのため、平坦コースのタイムトライアルを得意とする選手たちに注目が集まりました。

この日のタイムトライアルを優勝したのは、テウンス選手。平均時速43.45kmでこの日のコースを走り抜けました。そしてこのステージ第2位は、なんと総合優勝したフルサン選手で、優勝したテウンス選手と同タイムでした。

表彰式後、フルサン選手はスペインの警察官の制服にサイン。Photo by Yukari TSUSHIMA.

総合順位では、優勝はフルサン選手、第2位はヘイグ選手、第3位はランダ選手で終わった今年のブエルタ・アンダルシア。

この春のスペインのレースで、好調さを見せていた選手が総合上位を占める形になりました。