ゴツすぎる自転車、ファットバイクで山も!街も!

ゴツすぎる自転車、ファットバイクで山も!街も! DO

ゴツすぎる自転車、ファットバイクで山も!街も!

スポーティ

最近、街でたまに見かけるタイヤが太い自転車。フレームはMTBっぽいのに、タイヤがやたらめったら太い。今、そんなファットバイクに熱い注目が集まっています。調べてみると山道や雪道、さらには水の中までもスイスイ走れるという優秀な自転車のようです。約4インチほどの極太タイヤは安定感があり、自転車という固定概念を超える独特の浮遊感を味わえるのだとか。こ、これは乗ってみたい…!!

ファットバイクって何?

編集部が訪ねたのは、ファットバイクの試乗を実施しているPIT TSURUOKA。東京・日野市にある同店は2014年で創業40周年を迎える老舗自転車店です。さっそく実物を見せてもらいました。

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ファットバイクが生まれたのは、冬にもなると大雪が降り積もるアメリカ北部のミネソタ州。これまでの常識では考えられなかった、雪上を走れる自転車として開発されました。気になるタイヤはMTBの約2倍の太さで、並べてみるとその差は一目瞭然です。

左がファットバイク。タイヤ幅は3.8インチ(約9.65cm)もあります!

左がファットバイク。タイヤ幅は3.8インチ(約9.65cm)もあります!
他にも、100mm幅のリムに合わせてデザインされた4インチを超えるモデルも販売されています。

独特の浮遊感の秘密は、タイヤの空気圧にありました。タイヤが細く、スピードを出すことが前提のロードバイクなら100psi*ほど必要ですが、ファットバイクは10psiで十分だそう。思い切り空気圧を下げることでタイヤの接地面が広くなり、フワフワした乗り心地が生まれるんですね。
*空気圧の単位「psi」とは、1平方インチあたりに何ポンドの圧力がかかるかを示すものです。

空気圧について
自転車本体および乗車する人の体重が同じ場合、「力=圧力×面積」という関係性があるため接地面積の小さな細いタイヤは高い空気圧で、逆に面積の大きな太いタイヤは低い空気圧で支えることができるのです。

細幅タイヤ
ロードバイク用の細幅タイヤは、接地面積が狭く転がり抵抗(進行方向と逆向きに生じる抵抗力)が小さいため、空気圧を高くすることで軽やかに走ることができます。
太幅タイヤ
ファットバイク用の太いタイヤの場合、空気圧を低くすることで転がり抵抗が大きくなり、雪道など悪路でもスリップせずに走ることができます。

適正空気圧はタイヤの側面に印字されているケースが多いですが、ファットバイクの場合は思い切り下げるのがポイントです。

適正空気圧はタイヤの側面に印字されているケースが多いですが、ファットバイクの場合は規定値よりも下げた方が独特の乗り心地をより楽しめるそうです。

人気の理由は何と言っても乗りやすさだそうで、「『こんな道でも走れちゃうの!?』というようなところでも楽に走れるんですよ」と店主の鶴岡さん。一度ファットバイクでオフロードを走ってみてからMTBやロードバイクに乗ると、悪路にハンドルをとられて運転が下手になったと錯覚してしまう人もいるほど安定感があるのだそうです。


どんな悪路でも、この走破性!

さらに、見た目がゴツいから男性向けかと思いきや「安定感が高いので、むしろ女性におすすめしたいです」とのこと。しかも重量は15kgほどで、無理なく運べることにもビックリ。乗るのも運ぶの楽なら、女性でも安心してオフロードを走れそうですね!

どんな種類があるの?

ブームの到来に伴い日本でもファットバイクを取り扱うショップが増えていて、代表的なメーカーはアメリカのSURLY(サーリー)SALSA(サルサ)、ベルギーのSANDMAN(サンドマン)の3社。それぞれ、フレームの素材やタイヤ幅などが異なる複数モデルを発表しています。


SANDMANの公式動画

ただひとつデメリットがあるとすれば価格が高いこと。安価なモデルでも20万円ほどするので、なかなか気軽には買えそうにありません。一方で国内メーカーもファットバイクの製造に着手しており、大日産業株式会社のFAT-BIKERainbowのBRONXなど5万円前後で購入できるモデルも続々登場しています。PIT TSURUOKAのように試乗できるショップを探して、じっくりと時間をかけて乗り心地もデザインも自分にぴったりの一台を探してみましょう。

抜群の安定感は初心者でも安心

ファットバイクが何たるかを学んだところで、さっそく体験。試乗車はアルミフレームで錆びにくい人気のモデル、SALSAのMUKLUK 2(マクラク2)です。

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サドルの位置が高くて編集部員(身長160cm)が悪戦苦闘していると、「サドルの前にまたがって、ペダルに足をかけてから腰を下ろすと乗りやすいですよ」と鶴岡さんからアドバイスが。再チャレンジしてみたところ、うまく乗れました!

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そのまま前進してみると、最初はペダルが少し重たく感じましたが乗り心地は快適そのもの。しばらく走って足が慣れてくると、障害物の多いオフロードではどうなるのか早く走ってみたい気持ちを抑えられません。

ファットバイクに乗って出掛けよう!

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次に向かったのは小枝や小石などがゴロゴロ落ちている林道。急な坂道もあり、ファットバイクの本当の実力を体感するのにぴったりな場所です。ケガ防止のためにヘルメット、グローブを装着していざ試乗!

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小枝や小石、さらには木の根っこなどを乗り越えてもサドルへの衝撃はほとんどありません。また落ち葉でもスリップせず、水たまりや泥の上など路面がどんな状態でも大胆に進めてしまいます。仮にパンクしてしまっても、空気圧が低いためすぐには空気が抜けきらないところもファットバイクの大きな利点です。

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林道での走破性の高さは実感できましたが、本当に雪上でも同じようにスイスイ走ることができるのでしょうか? すると鶴岡さんが、気になるイベントを教えてくれました。それは、2014年1月に新潟県三条市で行われる雪上試乗会。深い雪の上を走れるとあって、過去2回開催された際には多くの人が参加して大盛況。主催を務めるアウトドアブランド、スノーピークがFacebook上で公開しているアルバムを見ると、確かにタイヤが沈むことなく前進できているようです。これはぜひ実感しに行きたいです!

街乗りではみんなの視線を独り占め!

今度はアスファルトの上を走ってみたところ、道路鋲や側溝との段差、マンホールの上などもつまずく心配がありません。ただ街乗りをメインにする場合は、空気圧を15psiくらいに設定しておくとより走りやすいそうです。

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また何と言っても見た目のインパクトが強いので、すれ違う人たちからの視線を浴びながらおしゃれに乗りこなすことも。カジュアルなファッションとの相性が抜群なので、ファットバイクに合わせたコーディネイトを考えてみるのも楽しいかもしれません。

ファットバイクは走る面白さを追求する乗り物

ところで、ファットバイクを買うにあたって揃えておくべきグッズはあるのでしょうか? 「ファットバイクと言ってもMTBと大きな違いはありません。安全のためのヘルメットとグローブ、あと公道を走るにはライトが必須です」。どれもファットバイク専用のものではないので、すでに持っている場合は新しく購入する必要はありません。

このほか、ファットバイクならではの便利グッズとしてデジタルのタイヤゲージを紹介してくれました。「走る場所によってはタイヤの空気圧で乗り心地がかなり変わってくるので、デジタルのものを持っておくと細かい調整もできて便利ですよ」。舗装路では高め、オフロードでは低めと空気圧を調整しながら、自分に合ったちょうど良い乗り心地を探してみてください。

Panaracer デジタルタイヤゲージ(パナソニック)ディスプレイバックライトとLEDライトがついているので、暗所でも計測可能です。

Panaracer デジタルタイヤゲージ(パナソニック)
ディスプレイバックライトとLEDライトがついているので、暗所でも計測可能です。

2013年5月にはファットバイク選手権が日本初開催されたり、MTBのレースにファットバイクで参戦する人がいたりと競技用自転車として使用する人も増えていますが、鶴岡さんは「タイムや順位を競うのもいいですけど、ファットバイクの場合は純粋に走る面白さとか、自分がどこまで楽しめるのかを追求する乗り物だと思っています」と言います。ストイックに走り込む大会でなければ、初心者でも気軽に参加できそうですね。

ほかにも、雪のないオフシーズンをMTBのコースとして開放しているゲレンデを走る人も多いそうで「関東近郊だったら富士見パノラマリゾートなんかロケーションが良くておすすめです」。MTBと同じようにタイヤは簡単に外れてコンパクトに持ち運べるので、車に積んでちょっと遠くのコースへ出掛けてみては?

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