好決算続出!プレミアリーグのビッグクラブ「儲かる仕組み」を徹底解剖!

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好決算続出!プレミアリーグのビッグクラブ「儲かる仕組み」を徹底解剖!

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プレミアリーグのクラブの総収入は6600億円!

6月上旬、サッカークラブの収支についてレポートする「Deloitte’s Annual Review of Football Finance」の2017年度版がリリースされました。これによると、2015-16シーズンのプレミアリーグ20クラブの総収入は36億3900万ポンド(約5422億円)。さらに、テレビ放映権料の新契約がスタートする2016-17シーズンには、44億6000万ポンド(約6645億円)に跳ね上がると予測しています。
メイン写真クレジット/PHOTO by Светлана Бекетова

優勝したチェルシーは1億5080万ポンド(約224億円)の放映権料が懐に入り、最下位だったサンダーランドが手にした9347万ポンド(約139億円)は、前年の覇者レスターの9321万ポンドより上。2016-17シーズンの各クラブの決算は、リーグ全体と同様に軒並みクラブ史上最高額を更新するのではないかといわれていました。

マンチェスター・ユナイテッドは史上最高額の866億円

9月に入り、マンチェスター・ユナイテッドが決算の数字を発表。総収入5億8100万ポンド(約866億円)はもちろんクラブレコードです。クラブの3大収入源は、テレビ放映権料、チケットや試合当日のメガストアなどの売上がカウントされる「マッチデー収入」、スポンサーやライセンスフィーなどの「コマーシャル収入」ですが、最も伸びたのはもちろん放映権料。分配された1億9400万ポンド(約289億円)は、前年の1億4000万ポンド(約209億円)から38%もUPしています。

モウリーニョ監督の初年度は、プレミアリーグでは6位と振るわなかったものの、ヨーロッパリーグで初優勝を遂げたことが放映権料にもフィードバックされました。マッチデー収入も、欧州での試合増加に伴い4.7%UPの1億1200万ポンド(約167億円)。リーグで最も多くのスポンサーを獲得しているクラブだけに、コマーシャル収入はさほど伸ばせず、2億7550万ポンド(約410億円)で前年比2.7%の微増に留まっています。

一方、コストを見てみると、選手やスタッフに支払う人件費が2億6350万ポンド(約393億円)で、13.5%UP。ズラタン・イブラヒモヴィッチ、ポール・ポグバ、ヘンリク・ムヒタリアン、エリック・バイリーと大物を獲得しており、クラブは「ファーストチームのサラリーが増加した」と報告しています。EFLカップとヨーロッパリーグで決勝に進んだことで、運営費用も増加しており、、29.3%UPの1億1790万ポンド(約176億円)。当期純利益は、3920万ポンド(約58億4000万円)で着地しています。

マンチェスター・ユナイテッドは、75,643人収容のオールド・トラフォードを8万8000人まで収容するべくスタンド増設を検討中と報じられています(PHOTO by PeeJay2K3)

総収入630億円のアーセナルの課題は営業力!?

マンチェスター・ユナイテッドの発表の1週間後に、アーセナルも2016-17シーズンの収益を公開しました。2016-17シーズンの総収入は、4億2280万ポンド(約630億円)。前年の3億5600万ポンド(約530億円)から19%伸びています。290万ポンド(約4億3000万円)だった税引き前利益は、15倍以上の4460万ポンド(約66億円)。プレミアリーグで最高額のシーズンチケットを売り出しているクラブゆえ、マッチデー収入は1億ポンド(149億円)で横ばい。テレビ放映権料が1億4000万ポンド(約209億円)から1億9900万ポンド(約297億円)に伸び、ライセンスフィーなどを含むコマーシャル収入も1億700万ポンド(約159億円)から1億1700万ポンド(約175億円)と10%近い伸びを見せています。

マンチェスター・ユナイテッドと比べるとマッチデー収入はさほど変わらず、コマーシャル収入で大きく水をあけられているのがよくわかります。ピッチの上での課題は守備力ですが、経営的課題は営業力です。

コストのなかで最も大きい選手のサラリーの総額は、1億9900万ポンド(約297億円)。グラニト・ジャカ、ロブ・ホールディング、ルーカス・ペレス、シュコドラン・ムスタフィを獲得しながら、アイザック・ヘイデンとセルジュ・ニャブリしか有償で売却していないクラブが前年から400万ポンドの増加に収まっているのは、チャンピオンズリーグ出場のボーナスが支払われなかったためです。移籍金償却費の年度分支払いは5900万ポンドから7700万ポンド(約115億円)に増えており、手元に残った現金は4600万ポンド(約68億5000万円)ほど減って1億4400万ポンド(約215億円)となっています。
マッチデー収入は伸びないアーセナルが収入を上げるには、スポンサーを増やすか、あるいは欧州を制覇するか…(PHOTO by Wonker)

さらに伸び続けるテレビ放映権料

2016年からの3シーズンは、総額85億ポンド(約1.3兆円)を超えるプレミアリーグのテレビ放映権料は、まだまだ膨らむようです。今後、伸びるのはアフリカや中国など海外の契約金で、「スカイスポーツ」は「3年後のプレミアリーグの放映権料は現状の40~45%UPとなる」と報じています。2億ポンド弱を得ているマンチェスター・ユナイテッドやアーセナルなら、2億9000万ポンド(約432億円)!

これにつられて、選手の移籍金も高騰していくのでしょうか。パリ・サンジェルマンがネイマール獲得のために支払った2億2200万ユーロ(約293億円)は、ワールドクラスの選手なら当たり前の値段になるのかもしれません。

ネイマールの移籍金は、2009年に9400万ユーロでレアル・マドリードに入団したクリスティアーノ・ロナウドの2.4倍!(PHOTO by Agencia de Noticias ANDES)