京産大が大躍進!立命大長距離の現状は?

京産大が大躍進!立命大長距離の現状は? WATCH

京産大が大躍進!立命大長距離の現状は?

スポーティ

5月10日(水)から13日(土)にかけて第94回 関西学生陸上競技対校選手権大会(関西インカレ)が開催されました。関西インカレは、関西学生陸上競技連盟に所属する大学によって争われる、対抗戦でいわば陸上の関西一を決める大会です。各種目の上位8人には1位が8点、2位が7点、8位が1点といった具合に得点が与えられ、その合計得点で大学の総合順位が決まります。

京産大が大躍進

女子の長距離種目は駅伝女王の立命大が強く、表彰台を独占することもありました。しかし、今年は様子が違いました。古豪の京産大が1500m、3000mSC、5000m、10000mの長距離4種目で優勝し、立命大は無冠に終わったのです。

まず1500mと3000m障害で優勝したのが主将の薮田裕衣選手(4年)。薮田選手は3000m障害の関西学生記録保持者で、8月に台湾で行われるユニバーシアードの日本代表候補にも選ばれています。
まず初日の1500mでは立命大の佐藤成葉選手(2年)とデッドヒートを繰り広げ、ラスト1周からスパートをかけて振り切りました。翌日の3000m障害では序盤から独走し、圧倒的な強さで貫録勝ちを見せました。タイムも大会新記録となる10分12秒57という素晴らしい記録でした。
さらに同じく京産大の信岡桃英選手(2年)が、こちらも大会新記録となる10分15秒73で2位に食い込む活躍を見せました。
5000mと10000mを制した棚池穂乃香選手(3年)は高校時代は無名の存在でしたが、大学に入ってからメキメキと力をつけてエースに成長しました。昨年は富士山女子駅伝の最長区間である5区で区間賞を獲得し、学生長距離界でもトップクラスの選手です。今回の関西インカレでも終盤のロングスパートで立命大勢を突き放し、2冠を達成しました。

5000mと10000mの二冠を達成した棚池選手

新エース候補・佐藤成葉

無冠に終わった立命大の中で、エースとしての活躍を見せたのは1500mと5000mで2位に入った佐藤成葉選手でした。佐藤選手は5000mの持ちタイムが15分27秒83と、現役学生トップのタイムを持っています。1500mでは京産大の薮田選手と激しく先頭を争いましたが、「薮田さんのラストが速かったです」とラスト400mからのスパート合戦に敗れて惜しくも優勝は逃してしまいました。

優勝を狙った5000mでは序盤から先頭を引っ張る積極的な走りを見せます。2000mからは京産大の棚池選手との一騎打ちになりました。しかし、「キツくなったところで出られてしまった」とラスト800mで棚池選手に先行を許すとそのまま着いて行けずに2位に終わりました。

今後は日本選手権の5000mをターゲットにしています。「上位の人たちに食らいついて記録会じゃないところでどこまで出せるかという所にも勝負したいです」と意気込んでいました。19歳の佐藤選手が、日本トップクラスの選手にどこまで勝負できるのかに注目です。

新エースとしての期待がかかる佐藤選手

チームの柱が復帰

昨年の全日本大学女子駅伝で敗れたきっかけとなった原因の一つに故障者の続出が挙げられました。特に一昨年の駅伝で主要区間をになった太田琴菜選手(4年)と加賀山恵奈選手(3年)の不在は大きな痛手でした。二人とも昨年は故障が相次ぎ、駅伝シーズンを棒に振ってしまいましたが、この関西インカレには間に合わせることができました。

加賀山選手は1年生時に出場した富士山女子駅伝以来の対抗戦出場となりました。「まだ本格的な練習もできていない」という状態でしたが、「総合優勝のために長距離で点数を稼ぐ」という使命を背負ってのレースでした。
結果は12位で得点を稼ぐことができませんでした。それでも公式戦で走れたことは大きな一歩であることは間違いありません。今後は日本インカレの参加標準記録Aである16分05秒00の突破を目指します。

復活への足掛かりを掴んだ加賀山選手

新チームの主将に就任した太田選手は3月の学連競技会で復帰すると、4月の京都インカレ、兵庫リレーカーニバルでまずまずの走りを見せていて、徐々に調子を上げているように思われました。しかし、京都インカレの時から脚に痛みを抱えていたようです。太田選手は5000mと10000mに出場しましたが、5000mで5位と10000mで4位と本人の実力からすれば不本意な結果となりました。

太田選手はこの2レースについて「今までで一番きつかったです」と振り返っていました。それでも「個人の試合ではなくチームとしての対抗戦なので何とか2本は走ろうということで走りました」とチームのために走るということを強調していました。
実際に総合優勝した立命大と2位の大阪成蹊大との差は13点で、太田選手が2種目で9点を獲得したことは総合優勝に大きく貢献したと言えるでしょう。今後については「少し休みます」と話していて、まずはコンディションを整えることを優先していくことになりそうです。

新主将の太田選手

主将の決意

長距離種目で京産大に優勝を独占されてしまったことに関しては「完全に長距離種目でやられたのは目に見えてわかるので、自分たちはここからやっていくしかないですし、今年のチームは去年までと違って実力がないですしコツコツやっていくしかないと思います」と危機感を感じていた様子でした。
今回の苦戦の原因として、これまでの立命大を引っ張ってきた大森菜月選手(ダイハツ)や菅野七虹選手(豊田自動織機)らの卒業が響いたと言えるでしょう。
それでも太田選手は「今のチームにしかできないこともありますし、新しいチームになったからこそ良くなった部分もあると思います。今までのことを引きずっても仕方ないので、自分たちのチームは自分たちのチームで日本一になりたいと思います」と前を向いています。再び栄冠を掴むべく、彼女たちの挑戦は続きます。

京産大 大学 立命大 長距離 陸上