街中を走り抜ける世界一優雅なレース「モナコGP」とは?

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街中を走り抜ける世界一優雅なレース「モナコGP」とは?

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「インディ500」「ル・マン24時間耐久レース」と並び、世界三大レースの一つであるモナコGP。世界最高峰のF1グランプリの一戦に組み込まれているモナコGPは、ドライバー、チーム、観客、誰にとっても特別なレースです。

ここで勝つことはドライバーにとって最高の栄誉。モナコで1勝することは、他のサーキットでの3勝に値すると言われるほど、モナコでの勝利はドライバーにとってステータスなのです。街中を平均時速130km/h以上で走り抜けるモナコGP。ガードレールに囲まれたサーキットは逃げ場がなく、ミスひとつ許されません。

今回はそんな美しくも厳しいモナコGPについてご紹介します。

TOP写真:photo by Paul Williams

モナコGPとは?

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モナコは、軽々しくリゾート地といえない「地中海の宝石」と呼ばれるほど美しい国で、人口のほとんどが外国籍の富裕層です。それはフランス国籍者以外は、所得税を課さないということが大きな理由です。ゆえに世界中の富裕層がモナコに集まるのです。

F1グランプリの1戦でもあるモナコGPですが、その歴史は1950年に始まったF1より古く、始まりは1929年から。モナコ自動車クラブのアントニー・ノゲの発案で、狭い街を回るモナコGPが始まりました。モナコGPの格式は高いことで知られています。それは国が美しく、高級なものが揃い、各界のVIPが観戦にくるだけではなく、大公をはじめ、王室一家が必ず臨席されるからです。それが世界一優雅なレースと言われる所以です。

表彰式は、王室関係者が列席するため、王室の人たちより高い位置にならないように、ロイヤルボックスと同じ高さでトロフィーが授与されます。華やかに見えるモナコGPですが、ドライバーにしてみれば難攻不落のコースと言えます。普段は一般道として使われる狭く曲がりくねったコースを、F1マシンで2時間近く走るのは、高い技術力、メンタル、集中力が必要で、それらを常に維持しなくてはいけません。

モナコで勝つことは最高の栄誉で、他のサーキットでの3勝に値すると言われています。ドライバーにとっても、私たちファンにとっても特別なレース、それがモナコなのです。

モナコの女神は一途?

ドライバーであれば、誰もが憧れるモナコでの優勝ですが、実は同じドライバーが複数回勝つ場合が多いのです。3勝以上モナコで勝つと「モナコ・マイスター」と呼ばれますが、モナコで最多優勝を記録したのがアイルトン・セナの6勝です。セナは1987年にモナコ初優勝、1989年から1993年まで5連覇を達成しています。

現在、現役選手のモナコ最多優勝回数はフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の2勝です。10年以上F1に参戦し、複数回チャンピオンを獲得している3名でも、モナコでは2勝に止まっています。セナの6勝という数字、いかに凄いかが分かります。モナコの女神は勝者を選ぶ、もしかしたらモナコの女神は一途なのかもしれません。

第50回モナコGPという名作

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これから未来永劫語り継がれるであろう名レースが1992年に行われた記念すべき50回目のモナコGPです。92年はナイジェル・マンセル(ウィリアムズ)が他を圧倒するスピードで、開幕戦から5連勝を達成、一方ディフェンディングチャンピオンのアイルトン・セナ(マクラーレン)はマンセル、ウィリアムズ相手に為す術もない状態でした。

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そして迎えた第6戦モナコ。予選ではウィリアムズの2台がフロントローを獲得、セナは3番手からのスタートでした。セナはスタートで予選2番手のリカルド・パトレーゼ(ウィリアムズ)を抜いて2位に上がるも、トップのマンセルはどんどん差を広げていき、セナとの差は28秒もの大差に。

しかし残り8周でトップのマンセルがイレギュラーのタイヤ交換のためピットストップし、その間にセナがトップに浮上します。逆転に成功したセナでしたが、当時最強のマシンに、新品のタイヤに変えたマンセルがとんでもない追い上げをみせ、息を飲む、手に汗握るデットヒートを展開。普通のサーキットならすぐに抜かれるスピード差でも、狭く曲がりくねったモナコでは抜くことができません。そんなモナコで繰り広げられた死闘はセナが0.215秒差でトップを守りきり、モナコ5勝目を勝ち取りました。

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上質なオペラを鑑賞したように、モナコにいた人々が、F1を見ていた全ての人が、魅了されました。決して仲良くなかったセナとマンセルでしたが、レース後はお互い讃えあい、最後の最後までフェアな戦いで、熱いものが込み上げてくるレースとなりました。

2018年モナコGP

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今年のモナコGPも記憶に残るレースとなりました。今年は新たなモナコウィナーが誕生、そのドライバーはダニエル・リカルド(レッドブル)。ポールトゥウィンという完璧な優勝でした。

2016年のモナコGP、リカルドは完璧な走りでモナコGP初優勝を目指していましたが、チームのミスで勝利することができませんでした。普段は素敵な笑顔を絶やさない、誰にでも好かれるリカルドでしたが、この日は笑顔がありませんでした。夢にまでみたモナコでの優勝を他人のミスによって奪われたのですから当然です。

悔しい想いをしてから2年後、リカルドは予選で驚異的なタイムで、優勝への絶対条件と言えるポールポジションを獲得しました。結果的に*ポールトゥウィンでしたが、その勝利は極限の中で掴み取った勝利でした。
*ポールトゥウィン…ポールポジションからスタートし、レースでも優勝すること

ポールからスタートし、順調にトップを走っていたリカルド。しかし28周目にリカルドからチームに「パワーがない」という無線が。他のマシンより3秒も遅くなってしまったリカルド。リカルドの後ろから後続のマシンが追いつきますが、狭く抜けないモナコ、リカルドは圧倒的に不利な中、前だけを見て一切隙を見せずトップの座を守り抜きました!

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パワーがなくなった段階で、精神的にかなりのダメージを受けます。しかしドライビングテクニック、最後まで諦めない精神力、そして集中力を維持し続けました。2年前の悪夢を払拭したリカルド、2018年のモナコの表彰台はリカルドの笑顔で輝いていました。

華やかであり過酷なモナコGPは毎年5月末に行われます。テレビで、動画配信サイト、できることなら現地で!観戦してみてください。


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