【スペインラグビー・レポート】セビーリャ・ココドリラス所属の平野恵里子選手が、リーグ第3位と対決。試合の結果は
WATCH【スペインラグビー・レポート】セビーリャ・ココドリラス所属の平野恵里子選手が、リーグ第3位と対決。試合の結果は
スペインのセビーリャに本拠地を置く、女子ラグビーチームのウニベルシタリオ・デ・セビーリャ・クラブ・デ・ラグビー・ココドリラス・ラグビー(Universitario Sevilla Club de Rugby Cocodrilas Rugby:通称 ココドリラス)所属の平野恵里子選手は、3月6日にクラブ・デ・ラグビー・コンプルテンセ・シスネーロス(C.R. Complutense Cisneros)と対戦し、5対13で惜しくも勝利を逃しました。
双方ともにけが人が続出したこの試合のレポートを、ラグビーワールドカップ2021の情報とともに、お送りします。
前回記事>>【スペイン女子ラクビー】平野恵里子選手2021年初戦レポート
TOP写真: 試合中の平野恵里子選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.
ラグビーワールドカップ2021は開催延期。そしてスペイン代表チームはヨーロッパ・チャンピオンに輝く。
Photo by Yukari TSUSHIMA.
平野選手が今回のスペイン挑戦の目的の一つとしていたラグビーワールドカップ2021ですが、先日World Rugbyが開催を1年間延期することを公式に発表しました。*¹新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、この開催延期が決まったことに関して平野選手は、次のように話をしてくれました。
残念なことは残念ですが、1年延期になった事自体は、私自身前向きに捉えることができていると思います。今年アジア予選が開催されないことになったので、6月のスペインリーグの決勝戦が終わるまで、私はココドリラスでプレーできますから。
彼女のチームメートも、平野選手が6月までセビーリャでプレーできるようになったことを大変喜んでいました。一方、女子ラグビーのスペイン代表チームは2月27日にヨーロッパ選手権の決勝でオランダと対戦。この試合を87対0で勝利し、8回目のヨーロッパチャンピオンに輝きました。
実は、女子ラクビースペイン代表チームは、ヨーロッパ有数の強豪チームで、2017年から連続してヨーロッパ選手権で優勝しています。現在平野選手が所属するココドリラスでも、スペイン代表選手が何人もプレーしています。そのため今回のワールドカップ延期は、ココドリラスにとっても衝撃的なニュースとなりました。ココドリラスの会長であるマリオラ・ルス・ルフィノ(Mariola Rus Rufino)氏は、こう語っています。
ワールドカップが1年延期されたので、ヨーロッパ代表予選を最初からやり直すことになったんです。先日のヨーロッパ選手権の優勝で、スペインはワールドカップの本戦出場に一歩近づいていたところだったので、ちょっと残念なことになりましたね。
*¹:ワールドラグビー関連news>>https://www.world.rugby/news/622703/world-rugby-committed-to-delivering-spectacular-rugby-world-cup-in-2022
両チームにけが人が続出したハードなゲーム。
Photo by Yukari TSUSHIMA.
今回、ココドリラスの対戦相手となったマドリード・コンプルテンセ・シスネーロは、現役のスペイン代表選手が4人所属する強豪チームです。試合前の時点で、リーグ戦の順位ではココドリラスが第2位で、シスネーロが第3位となっていました。
小雨が降る中で試合開始の後、先制点をキックで奪ったのはシスネーロでした。しかし、その後平野選手がゴールライン近くにまでボールを運び、味方選手にパスをする形で、ココドリラスがこの日最初のトライを奪います。
一旦は逆転に成功したココドリラスでしたが、試合自体はシスネーロが攻撃する事が多く、ココドリラス側のディフェンスの時間が続くことになりました。
Photo by Yukari TSUSHIMA.
この日のココドリラスの選手たちはとにかくグラウンド内を走り回り、相手選手を止めることに体力を使うことになりました。平野選手も例外ではなく、グラウンドを走り回って相手選手を止め、攻撃の機会を伺います。しかし、シスネーロの選手たちのタックルは強力で、プレー中に双方のチームの選手が何人もの選手が怪我して、倒れることになりました。
そして試合後半になると、雨が本格的に振り始めます。そうした天候の中、トライとキックを決めたシスネーロの攻撃力は最後まで衰えることなく、試合終了となりました。スコアは5対13。しかし、試合終了後のココドリラスの選手の様子から、得点差以上に厳しいゲームであったことを垣間見ることができました。
タフな試合になったこの日の感想は
Photo by Yukari TSUSHIMA.
試合終了後、一際悔しそうな顔していた平野選手に、この日の印象を聞いたところ
今日は私達(ココドリラス)のミスも多かったので、実力差というよりは、自分たちのミスが重なって負けてしまった感じです。
と最初に話してから、
今までのスペインのゲームと比べると、今日の試合では今までで一番走ったし、一番タックルしたし、一番タックルもされました。シスネーロは試合前半では中に集中してきて攻めていたんですが、後半には逆にピッチを広さをフルに使って外側から攻めていましたね。(シスネーロは)かなり考えてプレーしているな、と思いました。
と試合を分析しました。
試合後、たくさんのココドリラスの選手たちが「今日はすごく体が痛い」と言っていたほど、強力だったシスネーロの攻撃力。シーズン中盤に入り、各チームとも怪我をしている選手も少なくない中、シスネーロのハードなプレーは、ココドリラスを始めとする他のチームにとって大きな脅威となることでしょう。
平野選手のココドリラスの次戦は、3月20日(あるいは21日)、本拠地セビーリャで、サンセ・スクラム・ラグビー・チーム(Sanse Scrum Rugby Team)と対戦します。