【スペインラクビー・レポート】平野恵里子選手が2021年初戦に先発出場。バスクでの試合の結果は
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スペインのセビーリャに本拠地を置く、女子ラクビーチームのウニベルシタリオ・デ・セビーリャ・クラブ・デ・ラクビー・ココドリラス・ラクビー(Universitario Sevilla Club de Rugby Cocodrilas Rugby:通称 ココドリラス)所属の平野恵里子選手は、1月23日にバスク地方の強豪アビア・エイバル・ラクビー・タルデア(Avia Eibar Rugby Taldea: 通称 エイバル)と対戦しました。今回の記事では、平野選手の2021年初戦の様子をレポートします。
TOP写真: 試合後、日本でプレー経験のあるティー・タウアソシ(Ti Tauasosi)選手(写真左)と談笑する平野恵里子選手(写真右)。Photo by Yukari TSUSHIMA
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直前2試合は大雪と新型コロナウイルスの影響で延期に
Photo by Yukari TSUSHIMA
平野恵里子選手が所属するココドリラスは、1月23日に今年の初戦をバスクで迎えることになりました。
当初ココドリラスは、1月中に3試合を予定していました。しかし1月上旬にスペインを襲った大雪と新型コロナウイルスの影響で、2試合連続してゲームが延期となりました。そのためこの日のバスクでの試合が、ココドリラスの2021年の初戦となりました。
ほぼ1ヶ月ぶりの実戦が今回のバスク地方への遠征となった平野選手。スペイン北部に行くのは初めてということもあり、防寒と雨対策をしっかり準備して、バスク地方に乗り込みました。
バスクのラクビーの歴史とは?
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ピレネー山脈の東側に広がる地域には、バスク人という独自の文化と言語を持つ人々が暮らしています。スペイン側にも、そしてフランス側にもひろがるこのバスク地方は、伝統的にとてもスポーツが盛んな地域です。
特にフランス側のバスクにはラクビーファンが多く、アマチュアのチームの活動が盛んなところです。また、日本のラクビーファンの中には、アビロン・バイヨンヌ(Aviron Bayonnais)という古豪チームの名前を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。
1990年代前半に3回のフランスチャンピオンに輝いた、歴史あるこの名門ラクビーチームの地元バイヨンヌも、フランス側バスクにある、美しい街の一つです。
そうしたフランス側バスク地方のラクビー熱の高さとは対象的に、スペイン側バスクに正式にラクビー連盟が誕生したのは意外と最近で、1985年のことでした。しかし、その後は継続的に若手ラクビー選手を育てており、スペイン代表チームで多くのバスク人選手が活躍しています。
ちなみに、バスク語圏のチームだけで戦われている男子ラクビーのリーグというのも存在します。ユーロ・ラクビー・チャレンジ(Euro Rugby Challenge)と名付けられたこのリーグ戦では、フランス側バスクとスペイン側バスク、そしてスペインのナバラ地方(このナバラ地方もバスク人が住み、バスク語が話されている地域です)のラクビーチームが戦います。2019年には前述のアビロン・バイヨンヌが初代バスクチャンピオンに輝きました。*¹
今回、平野選手が対戦するエイバルの女子チームは、2007年に結成されたスペインの女子チームの中で比較的新しいチームです。今年からスペインのトップリーグで戦っており、バスク地方で最も強い女子ラクビーチームということで、地元でもその活躍が非常に注目されています。
*¹: https://eurobasquerugbychallenge.com/edicion-2019-clasificacion/
ココドリラスは後半盛り返すも、僅差で敗れる
Photo by Yukari TSUSHIMA
終始降り続く細かい雨と強風というバスクらしい天気の中、午後4時に試合が始まりました。
キックオフ直後からゲームの主導権を握ったのは、エイバルでした。なかなか攻撃できないココドリラスとは対象的に、エイバルは積極的に敵陣に攻め込みます。
この日最初のトライも、やはりエイバル。しかし、このトライ後はココドリラスのディフェンス陣が粘り、前半の失点をこの1トライに抑えます。
7-0で迎えた後半戦、ココドリラスがトライを決めて7-5とスコアを盛り返します。しかし、この日ココドリラスの選手はボールキャッチのミスを繰り返し、ゲームのリズムを効果的に作ることができません。また、試合中に何度も組まれたエイバルのスクラムは強力で、ココドリラスの選手も苦戦している様子が見受けられました。
その後エイバルが再度トライを決め12-5ととするも、後半終了間際にココドリラスもトライを決めて、12-10と2点差にまで詰め寄ります。
しかし、ココドリラスの反撃もここまで。結局この2点差が保たれたまま、試合終了となりました。
久しぶりの試合、感触はいかに。
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この日の試合終了後に平野選手ににお会いしたところ、次のような感想を口にしていました。
前半はほとんど、相手チームに攻め込まれてしまいましたね。エイバルはスペースを左右に広く使って上手く攻撃をしていました。後半はココドリラスも盛り返しましたが、相手に余計な1トライを与えてしまった形になったのが、残念でした。
しかし、その一方で、
エイバルは体の大きな選手が多くて、久しぶりに私も思いっきりぶつかってプレーできたので、『ラクビーしたなぁー』って気持ちになりますね。天気も悪くて足元も滑りやすかったので、なおさら。
とも話し、充実感に溢れた表情を見せていました。
平野選手所属のココドリラスの次のゲームは2月上旬。2年前にリーグ優勝をしたガリシアのクラブ・デ・ラクビー・アルケテクトゥーラ・テクニカ・ア・コルーニャ(CLUB DE RUGBY ARQUITECTURA TÉCNICA A Coruña 通称CRAT)との対決が予定されています。