来季につなぐ神宮大会

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来季につなぐ神宮大会

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11月18日、神宮球場で第53回神宮大会が開幕しました。

高校の部には各地方大会優勝校が出場し、来春のセンバツを占う意味でも重要な大会になります。また、大学の部には、各連盟の秋季リーグを制した優勝校の中からさらに代表決定戦を経て選ばれた代表校が出場します。

高校、大学のそれぞれのレベルの高い試合が同じ日に観ることができるのが神宮大会の醍醐味でもあります。
>>明治神宮野球大会結果

圧倒的な強さを誇る大阪桐蔭 高校の部

高校の部試合風景

神宮大会でも近畿地区優勝の大阪桐蔭が存在感を見せつけてくれました。

まず初戦で東邦(東海地区代表)に9-1と大差で勝利すると、次はクラーク国際(北海道地区代表)にも12-2と6回コールドで圧勝します。

準決勝で大阪桐蔭は仙台育英(東北地区代表)と対戦。
この試合で大阪桐蔭の先発はエースの前田悠伍投手(2年)。ただ、立ち上がりから制球が定まらず2回まで被安打2つに加えて四死球を5つ与えて2点を失います。
しかし、仙台育英も先発の仁田陽翔投手(2年)をはじめ後続の投手陣も四死球が多く(4投手から計9つ)、仙台育英打線は走者を出すも進めることができず、結果的に大阪桐蔭が5-4で逃げ切りました。
この試合で大阪桐蔭の前田投手は10四死球を与えながらも161球で完投しています。
球数こそ多くなったものの試合が進むにつれて調子が上向いてきた前高校田投手でした。

決勝では、大阪桐蔭は広陵(中国地区代表)と対戦し、広陵に5点を先制されるも6-5で逆転勝利、2年連続2回目の優勝を果たしています。
この試合で大阪桐蔭は、南恒誠投手(2年)、南陽人投手(1年)、松井弘樹投手(2年)と控え投手陣で小刻みに繋ぎ、最後はエースの前田投手で締めくくり広陵打線を抑えています。

大阪桐蔭前田悠伍投手

この他にも名勝負が見られた大会でもありました。

沖縄尚学(九州地区代表)と対戦した仙台育英ですが、4-0とリードされた仙台育英が9回裏一死から流れが変わると一挙5点を奪い、逆転サヨナラ劇で勝利を収めました。
「野球は最後まで分からない」と思わせてくれる一戦でした。

>>高校の部結果

来春の選抜には近畿地区に神宮枠

神宮大会高校の部を大阪桐蔭が優勝したことで、来春のセンバツに近畿地区に神宮枠が与えられることになりました。センバツの出場校は、通常は近畿地区からは6校となっていますが、これに神宮枠が1校加わることになります。

ここで秋季近畿大会のベスト4には、大阪桐蔭、報徳学園、龍谷大平安、智辯和歌山の甲子園常連校が名を連ねています。これに準々決勝で敗退したうちの彦根総合(大阪桐蔭に9-4で敗退)、履正社(報徳学園に9-6で敗退)の2校を加えた計6校が順当にいけば当確だといえます。
これに神宮枠は高田商(龍谷大平安に5-0で敗退)が有利になりそうです。
なお、彦根総合は出場が決まれば春夏通して甲子園初出場になります。

>>秋季近畿大会結果

大学の部は明治大が優勝

明治大村田賢一投手

大学の部は明治大(東京六大学野球連盟代表)が6年ぶり7回目の優勝を果たし、東京六大学のレベルの高さを見せつけてくれました。
とりわけ、二塁手の村松開人選手(4年 静岡)、遊撃手の宗山塁選手(2年 広陵)、三塁手の上田希由翔選手(3年 愛知産業大三河)といった内野の守備陣のレベルの高さが他大学を大きく上回っています。フィールディングの良さ、守備範囲の広さひとつを取ってみても鉄壁の内野陣であることがわかります。
村松選手はドラフトで中日ドラゴンズから2位で指名されプロの世界でも活躍が期待される選手ですし、来季以降も宗山、上田選手らが残る明治大は心強いといっていいでしょう。

また明治大は、関西大(関西五連盟第二代表 関西学生野球連盟)との一戦で村田賢一投手(3年 春日部共栄)がわずか104球で被安打5、与四球1という効率の良い内容で完投、2-1と接戦を制して初戦突破しました。
2戦目の名城大(北陸・東海三連盟代表 愛知大学野球連盟)戦は蒔田稔投手(3年 九州学院)が先発で後半は3投手をリリーフに投入し5-1で名城大を破っています。この試合では宗山選手にも本塁打が飛び出しています。
決勝は、明治大と國學院大(東都大学野球連盟代表)の対戦。この試合でも明治大は再び村田投手がマウンドに上がり、103球の被安打5で1-0と完封勝ちで見事に優勝を果たしました。

名勝負の多い大学の部

環太平洋大徳山一翔投手

大学の部でも名勝負が見られました。

環太平洋大(中国・四国三連盟代表 中国地区大学野球連盟)と国際武道大(関東五連盟第二代表 千葉県大学野球連盟)の試合では、環太平洋大の先発、徳山一翔投手(2年 鳴門渦潮)は7回97球でマウンドを降りますが、この時点でノーヒットノーラン。
後続の蛭子凌太郎投手(2年 佐伯鶴城)、辻祐希斗投手(4年 関西大北陽)は残り2イニングをパーフェクト。
徳山投手は途中降板となり記録達成とはならなかったものの、3投手による継投で無安打無得点に抑え、試合は2-0で環太平洋大が勝利しました。
神宮大会大学の部では過去に4人の投手がノーヒットノーランを達成しています。徳山投手はまだ2年生、来季は大記録を実現しに神宮へやってきてもらいたいですね。

また、名城大の眞田拓投手(4年 東郷)は初戦の九州共立大(九州三連盟代表 福岡六大学野球連盟)で先発し140キロ台の投球で7回をわずか2安打に抑えるなど力投、次の上武大(関東五連盟第一代表 関甲新学生野球連盟)戦ではリリーフで登板するなど活躍しています。

>>大学の部結果

関西五連盟代表も健闘

関西大金丸夢斗投手

関西五連盟からは第一代表として大阪商業大(関西六大学野球連盟)が、第二代表として関西大が出場しました。

関西大は初戦の東京農業大北海道オホーツク(北海道二連盟代表 北海道学生野球連盟)では1点を先制されるもすかさず逆転し、金丸夢斗投手(2年 神港橘)、辰己晴野投手(4年 米子松陰)の継投で4-1と快勝。
明治大との一戦では、明治大の村田投手を攻略することができず惜敗しますが、善戦したといっていい内容だといえます。

大阪商業大は、環太平洋大との試合は小雨が降り肌寒い中で行われました。
点を取り合い4-4のまま勝負がつかず、タイブレイクになった延長10回裏に碓井雅也選手(4年 天理)がスクイズを決め、大阪商業大が粘り勝ちを見せました。
投げては上田大河投手(3年 大阪商業大)、高太一投手(3年 広陵)、鈴木豪太(1年 東海大静岡翔洋)投手、そして伊原陵人投手(4年 智辯学園)の継投で相手打線をかわしました。次の國學院大の前には相手投手陣を打ち崩せず6-2で敗退し決勝進出はなりませんでした。

大学の部は全体的にレベルの高い試合が多かったように感じられます。
来季の各連盟の春季リーグにも注目です。

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