ブエルタ・ア・エスパ―ニャ2018レースレポート 第1ステージ・マラガ編

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ブエルタ・ア・エスパ―ニャ2018レースレポート 第1ステージ・マラガ編

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今年のブエルタ・ア・エスパ―ニャが8月25日に開幕しました。ヨーロッパではジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに並ぶ、今年最後の3週間の自転車レースです。

今回の記事では、アンダルシアのマラガで迎えたブエルタの初日レースの様子をレポートします。

ブエルタ初日のレース前


スタート地点。後方上部のカラフルなガラスの建物がポンピドゥー美術館(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

毎年、ブエルタ・ア・エスパ―ニャの第1ステージのスタート地点に選ばれた街は、華やかなお祭りムードに包まれます。今年のマラガもその例外ではありません。数日前からマラガの街は、ブエルタのテーマカラーである赤一色に塗り尽くされていました。

今年の初日のレースは、約8㎞の個人タイムトライアル。2015年に建設されたのマラガの新名所であるポンピドゥー・センター美術館前から、今年のブエルタ・ア・エスパ―ニャがスタートします。そして、ゴールはマラガで一番の目抜き通りに設定されました。

この日から大会関係者は、レースのために、いろいろな準備をしなくてはなりません。次の写真は、タイムトライアル名物の各サイクリストの名前が記された看板です。レース中、選手の後ろをこの看板を付けたチームカーが走ります。


有力選手の名前がちらほらと(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

その一方で、選手たちはこの日のタイムトライアルのコースを試走しながら、機材の感触を確かめます。下見をする選手たちの様子は、ずいぶんとリラックスしたものでした。とは言え、この日はレースの距離が短いこともあり、多くの選手が2回あるいは3回と念入りにコースの下見をしていました。


Peter Sagan(ピーター・サガン)はチームメート一緒に試走(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

そんな選手たちの憩いの場が、各チームが所有するチームバスです。サイクリストたちは、スタート前やレース後に、このバスの中でリラックスします。マラガではチームバスは海岸通りに停められていました。


海岸通りにチームバスが停車中(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

また、サイクリストたちがコースを試走している時間帯は、会場に駆け付けた自転車ファンたちが選手と直接触れ合うことができる、貴重な機会でもあります。そのためこのような風景が、この日はマラガのあちこちで見られました。


ゴルカ・イザギーレ(Gorka Izagirre )はファン・サービスの真最中(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

もう一つの「日本代表」


SHIMANO MACARIOのスタッフたち。みんなベテラン・メカニックばかり(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

残念なことに、今年のブエルタ・ア・エスパ―ニャに日本人選手の姿はありません。しかし「日本代表」の姿はあります。それが、メカニックのニュートラルカーを担当する、SHIMANO MACARIOです。全員スペイン人のスタッフですが、「日本代表」として、毎年ブエルタ・ア・エスパーニャを支えています。

どのチームにも機材を提供できるニュートラルカーだけあって、各チームからの信頼は抜群です。中には「ブエルタに参加して20年」というベテランスタッフもおり、レース中どんな状況にも対応できる、とても頼れるチームです。ちなみに、今年のブエルタについての彼らの見解は「最終日まで気が抜けない、最後の最後まで緊張感のあるレース」とのことでした。

初日トライアル

初日のタイムトライアルは、午後5時30分からスタートしました。その時点でマラガの気温は33度、路面の推定温度は36度。そんな灼熱の中、選手たちが次々とスタートします。


今年ブエルタ初出場、Euskadi Basque Country-Murias(エウスカディ・ムーリアス・バスクカントリ-)の選手。登りが得意な、若い選手ばかりのチームです。山岳ステージではこの緑色ジャージにご注目下さい(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

レース中に、その日のベストタイムに近い記録が出ると、沿道の観客の中から思わず歓声が上がります。タイムトライアルが後半に差し掛かり、有力選手がゴール前に近づくと、そんな観客の歓声は一層大きくなります。


フランス人スプリンター・Nacer Bouhanni(ナッセル・ボアンニ)。このブエルタでは何勝するのか(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

第1ステージ優勝者のRohan Denis(ローアン・デニス)選手がゴール前を通過した瞬間、その日一番の大歓声が上がると同時に、観客から大きな拍手が送られました。レースタイムが発表される前に、その場にいた大半の観客が彼のステージ優勝を確信したほどのスピードだったのです。ちなみに、ローアン選手はブエルタの総合争いでも、上位にくる可能性の高い選手です。彼にとってこの日のタイムトライアルは、幸先のよいスタートになりました。

ブエルタ・ア・エスパ―ニャの関係者の見立てでは、「今年のブエルタでは、優勝を狙える選手がたくさんいるため、例年にないほどの混戦が予想される。」とのことです。

今年最後のグラン・ツールを存分に、TVの前で楽しみましょう。