年金制度を徹底比較!日本プロ野球VSメジャーリーグ

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年金制度を徹底比較!日本プロ野球VSメジャーリーグ

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日本プロ野球の年金制度

今や、日本のお家芸とも言われている“野球”。数あるスポーツの中でも、多くの日本人に愛されているスポーツの1つです。とはいえプロ野球選手の選手寿命は、決して長いとは言えません。多くの選手が30代で引退を決断し、第二の人生を歩んでいます。そんなプロ野球選手にとって必要不可欠なのが、老後を支えてくれる年金です。

日本のプロ野球選手が年金を受給するには、“プロ在籍が10年以上”という条件を満たさなければなりません。但し、1軍2軍を問わず受給対象となり、コーチや監督の在職期間も含めて計算されます。この制度は一般企業でも取り入れられている“適格年金”と呼ばれる物で、55才~死亡するまで年間約120万円という微々たるもの。そのため、これとは別に自分自身で国民年金に加入する事が認められています。

メジャーリーグ(MLB)の年金制度

一方、野球の本場であるMLBの年金制度はどのような制度なのでしょうか。MLBの選手が年金を受給するには、最低5年以上の選手登録が必要となり、10年以上で満額の支給に。5年登録で50%の約1000万円、10年登録で100%の約2000万円を60才~死亡するまでの間、毎年受け取ることができます。

但し、マイナーリーグや3Aの選手には年金制度が設けられておらず、一切年金を受給する事が出来ません。確かに、日本のプロ野球選手が受け取る年金(年間120万)と比較すると破格の金額と言えますが、その分シビアな側面がアメリカらしいと言えるでしょう。一軍登録される選手は1チーム40名、全体約30チームで計1200名の狭き門。世界中から有望選手が集うMLBですから、まさにアメリカンドリームを掴んだ偉人だけが受けられる恩恵と言えるでしょう。

なぜこんなに差があるのか?

日本のプロ野球選手が受け取る年金(年間120万円)に対して、桁違いの年金制度を誇るMLB。そもそもなぜそんなにも大きな格差が生じてしまうのでしょうか。それは、MLBの収益を選手に正当に分配するメカニズムが確立されているからなのです。このメカニズムの確立に大きく貢献しているのが“MLB選手会”。“世界最強の労働組合”と呼ばれています。

その名に恥じず、日本の7倍とも言われている平均年俸をはじめ、福利厚生や苦情調停制度、家族への配慮に至るまで様々な権利を選手側にもたらしてきました。手厚い年金制度もまた、この労使交渉で勝ち得た権利なのです。

ちなみに、“MLB選手年金基金”の財源となるのは、あくまでテレビやラジオの放映権収入やライセンス収入から拠出されており、選手本人が保険料を一切負担しないという取り決めが成されています。

日本人メジャーリーガーの年金事情

日本のプロ野球選手とは比較にならない破格の年金が用意されているMLB。そんなアメリカンドリームをその手に掴んだ日本人メジャーリーガーとは、どんな選手が対象になるのでしょうか。

まず、選手登録が10年以上で満額受給の有資格者は、野茂秀雄・松井秀樹・大家友和・イチローの4名レジェンド級の活躍を見せた4名のみ。特に、ギリギリで10年登録にこぎつけた松井選手に関しては、マスコミで大きく取り上げられて話題となりました。「巨人で4番を背負った一流選手がなぜマイナーリーグから再出発?」と騒がれていた時期もありましたが、無事に満額受給の有資格者となっています。

一方、選手登録が5年以上で50%の年金受給が確定している選手も、松坂大輔・松井稼頭央・田口壮など数名しかおらず、MLBで長く活躍することがいかに難しいかがわかります。

破格な契約金や年俸に目を奪われがちなプロ野球の世界。しかし、一流の選手として活躍できる年月は、そう長くはありません。お金が全てとは言いませんが、限られた選手生命を有意義に使いたい、自分の価値を評価して欲しい、そんな気持ちでMLBに移籍したいと考える選手が居ても不思議ではありません。

(Photo by Whitney)

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