ブエルタ・エスパーニャ2020コース解説

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ブエルタ・エスパーニャ2020コース解説

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12月17日にスペインマドリードで2020年のブエルタ・エスパーニャ (Vuelta a España) のコースが正式発表されました。この記事では、スペイン人自転車関係者の意見も交えて、2020年のブエルタの見どころをお伝えします。

メイン写真出典:https://www.lavuelta.es/es/recorrido-generalより

2020年ブエルタ・エスパーニャのスタート及びゴール地点

まず、2020年のブエルタエスパーニャのルートは、以下の表のとおりです。

地図や表からわかる通り、2020年は主にスペインの北側がブエルタの舞台となります。

出典:https://www.lavuelta.es/es/recorrido-general

オランダ・ユトレヒトからスタート。そしてバスク地方。


2019年のブエルタでは、ビルバオのサンマメ・スタジアムが第13ステージのスタート地点に。Photo by Yukari TSUSHIMA

2020年のブエルタ・エスパーニャはオランダ・ユトレヒトからスタートします。平地でスプリンター向けのステージを3日間走った後、選手たちはスペインへ移動。フランス国境沿いの街のイルン(Irún)から再度スタートします。

この第1週目のレースの舞台となるのが、スペインのバスク地方です。熱心な自転車ファンが多く、数多くの有名な自転車選手を生み出してきた地域でもあります。

この地域出身の元自転車選手で、ツール・ド・フランスやブエルタ・エスパーニャでは表彰台の経験もあるホセバ・ベローキ(Joseba Beloki)氏は、今回のコースについて次のように分析します。


ホセバ・ベローキ氏。写真は2019年10月撮影。

まず、来年のブエルタのコース全体の印象として、次のように話をしました。

登りも多くて、非常に厳しい3週間のレースですね。ただ、僕の地元のバスク地方とナバラ地方のステージが多いので、いちバスク人自転車ファンとしてみると、非常に魅力的なブエルタではあります(笑)。

そして、第1週目のステージについては、

スペインでの最初のステージにアラッテの登りがあります。この登りは選手の間でよく知られている登りなので、ここで有力選手の間で大きなタイム差がつく可能性は低いでしょう。でも、オランダでの3ステージは神経質なレース展開になるでしょうし、そうした中で落車も発生すると思います。もしも有力選手がオランダでの落車に巻き込まれるようなことがあれば、このアラッテは彼らにとって相当厳しいステージとなるので、トップの選手とのタイム差が一気に開くでしょうね。その結果、ブエルタの序盤で総合優勝争いから脱落する有力選手が、何人も現れるかもしれません。

また、近年8月のバスク地方は気温だけではなく、湿度も非常に高くなることが少なくありません。そのため、選手たちは非常に厳しいコンディションの中でレースをすることになるでしょう。

風が最大の敵・アラゴン地方


第8ステージのゴール地点サビニャニゴ。ピレネー山脈がすぐそばに迫ります。Photo by Yukari TSUSHIMA.

バスク地方を終えたサイクリストたちは、その後南下し、ピレネー山脈のふもとのアラゴン地方へと移動します。この地域のステージには、第9ステージの登りゴールとなるコル・デ・ツルマレー(Col de Tourmalet)のステージが大きく注目されています。

しかし、アラゴン地方で活動する自転車チームの一つである、フェルナンド・バルセロ・チーム(Fernando Barceló Team)を率いるアドリアン・バルセロ(Adrian Barceló)監督は、少々違う考えを持っているようです。


アラゴン地方にチームの本拠地を持つバルセロ監督はプレイング・マネージャー。Photo by Yukari TSUSHIMA

バルセロ監督はアラゴン地方での3ステージを次のように分析します。

基本的にアラゴン地方では山岳がレースの舞台です。でも、第7ステージで、選手たちが走る地域は、実は強い風が吹く場所です。その後の第8・第9テージと比べると、このステージは登りのない簡単なステージだと思われがちです。でも実際には、第7ステージで、選手たちは終始緊張しながら走ることになるでしょうね。

とはいえ、やはりツルマレーの登りゴールは、表彰台を狙う選手たちにとって重要なステージとなるでしょう。2019年のブエルタでのピレネーステージでは、選手たちは雹や強風の中をの中を走ることになりました。来年、ピレネーはどのような天候で選手たちを迎えるのでしょうか。

2020年大会唯一の個人タイムトライアルはガリシア地方

2014年の最終21ステージの舞台は、ガリシア地方のサンティアゴ・デ・コンポステーラでの個人タイムトライアルでした。

第2週には一旦選手たちはバスク地方に戻った後に西へと進み、アストリアスの有名な登りアルト・デ・アングリルを目指します。この登りを制する選手が、ブエルタ制覇へと最も近づくことになるのが、毎年の流れです。

そして迎える最終週に、選手たちはスペイン最西端のガリシア地方へとたどり着きます。そしてこの場所で、来年のブエルタでは唯一の個人タイムトライアルが行われます。スタート地点はムロス(Muros)という海辺の街で、距離は約33㎞。

この地に本拠地を置く、プロの自転車チームのグロス・キウイ・アトランティコ(Gros-Kiwi Atlántico)のエンリケ・サルゲイロ・アロンソ(Enrique Salgueriro Alonso)監督に、このガリシア地方での3ステージについて分析をお願いしました。


ガリシア地方にチームの本拠地を持つサルゲイロ監督(写真左)Photo by Yukari TSUSHIMA

ガリシアでのステージはすべて比較的平坦なステージです。個人タイムトライアルのコースは登りも下りも少なく、コースも特に難しいものではありません。なので、おそらく高速のタイムトライアル・レースになると思います。そうした状況では、各選手のタイヤをはじめとするマテリアルの選択が、この日の勝利左右する重要なポイントとなるでしょうね。

8月のガリシア地方はたまに雨が降ることもありますが、基本的に晴れて気温もそこそこ高い日が多いです。また、第17ステージのゴール地点となるオーレンセ(Orense)は、スペインの中でも夏は特に暑い地域です。この日のステージ自体は決して難しくはないのですが、オーレンセの気温次第では、サバイバルレースに変わる可能性もあります。

ガリシア地方を過ぎると、ポルトガル、そしてカスティーリャ・レオン地方へと、レースの舞台が移ります。2020年のブエルタ最後の登りゴールは、サラマンカの南にあるラ・コバディーリャ。長く斜度のある登りが、選手たちを苦しめることになるでしょう。

そして例年より2週間ほど早い9月最初の日曜日、すべてのステージを終えたサイクリストたちがマドリードの街を疾走します。

スプリンターにとって最後の見せ場となるこの日のレース。例年同様に、シベーレス広場のマドリード市庁舎の正面設置された表彰台が、2020年のブエルタのチャンピオンを待っていることでしょう。

そして、2021年のブエルタ・エスパーニャのスタート地点もすでに決定


ブルゴスのカテドラル。Photo by Yukari TSUSHIMA

ちなみに、2021年のブエルタ・エスパーニャは、ブルゴス(Burgos)での個人タイムトライアルで幕を開けることがすでに発表されています。

ブルゴスは、カミーノ・デ・サンティアゴ(Camino de Santiago)というスペイン巡礼の道の重要な中継点です。そんなカミーノを歩く、多くの巡礼者たちが訪れるブルゴスのカテドラルの前が、2021年のブエルタのスタート地点となります。


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