世界一に輝いたブラインドサッカー女子日本代表が、アルゼンチン女子選抜に快勝!

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世界一に輝いたブラインドサッカー女子日本代表が、アルゼンチン女子選抜に快勝!

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2月24日、ブラインドサッカー女子日本代表の国内初となる国際親善試合『さいたま市ノーマライゼーションカップ2018』が埼玉県・サイデン化学アリーナで開催され、女子日本代表は、エースの菊島宙(きくしまそら:埼玉T.Wings)選手のダブルハットトリックなどで、女子アルゼンチン選抜に7-3で快勝しました。

視覚障がい者のために開発されたサッカー「ブラインドサッカー」は、2004年にパラリンピックの正式種目に採用されました。しかし、現在パラリンピックで、実施されているのは男子カテゴリーのみ。女子は選手数が少なく、単独チームもありません。国内の大会では、男子選手に混ざってプレーをしなければならない状況が続いています。

日本ブラインドサッカー協会では、2014年より女子選手のみによる練習会や、女子日本代表選手育成合宿を実施しています。男子選手との体格や運動能力の差を気にせず、プレーできる場を提供し、女子ブラインドサッカーの強化、普及に取り組んできました。2016年には、練習会に参加した選手から8名を選出して、女子日本代表を結成をしました。2017年5月に開催された初の女子選手を対象とした国際大会「IBSA女子ブラインドサッカートーナメント2017(オーストリア・ウィーン)」に出場し、4戦全勝で世界一に輝きました。

「世界一の、次にいく。」

初代世界女王となったメンバーに、新たな選手・スタッフを迎えて再始動した女子日本代表。初陣の相手は、南米の強豪・女子アルゼンチン選抜です。今回来日したメンバーは、2012年に誕生したアルゼンチン初のブラインドサッカー女子クラブチーム「ラス・ゲレーラス」から選抜された10選手で構成されてます。コルドバに拠点を置く同チームは、2015年からアルゼンチン国内リーグを3連覇しています。

試合は立ち上がりの4分、5分に、100メートル走の選手としても国際的に活躍しているヨハナ・アギラール選手に立て続けに得点を許し、アルゼンチンに主導権を奪われます。2点のビハインドを背負った日本は、直ぐさま、齊藤舞香(GLAUBEN FREUND TOKYO)選手、菊島選手を投入して、「チームとして攻撃のギアを入れる合図」(村上重雄監督)を送ると、攻撃が一気に加速します。9分には菊島選手が、電光石火のドリブルからゴールを奪って会場を沸かせると、18分にはゴール右上に、豪快に同点弾を突き刺します。19分にもCKの混戦から奪ったボールを、落ち着いてゴールに流し込んで逆転に成功。3-2で前半を終えました。

後半に入っても、日本はアルゼンチンゴールを脅かし続けます。3分、6分に菊島選手が、連続得点。10分には齊藤選手が、代表初得点を挙げてリードを広げます。アルゼンチンもヨハナ・アギラール選手が一矢報いますが、終了間際に、菊島選手がだめ押しゴールを決めて、ダブルハットトリックを達成。7-3で日本が勝利しました。

MVPは、日本の菊島宙選手、MIPは、ハットトリックのアルゼンチンのショアナ・アギラール選手が受賞しました。

華麗なドリブルで、1000人の観客を魅了した15歳

中学3年生の少女が、1,007人の観客に強烈なインパクトを残しました。“シャカシャカ”というボールの音や仲間の声を頼りにプレーをするため、プレー中は静かに観ることが求められるブラインドサッカーですが、日本の10番がボールを持つたびに、観客からは、たまらずどよめきが漏れます。

「自分のプレーを観て楽しんでもらえるのがうれしい、(歓声を聞いて)自分も楽しくプレーできた」と満面の笑顔で語る菊島選手の武器は、「サッカードリブル」。ブラインドサッカーでは、常にボールに触れることができるよう、インサイドでタップするドリブルが一般的です。ボールを前に蹴り出し、スピードに乗って突破する、いわゆる「サッカードリブル」ができるのは、女子では菊島選手ただ一人です。その華麗なドリブルから、海外では「マラドーナ」にちなみ、「ソラドーナ」とも評されています。

菊島選手は、「(ブラインドサッカー元日本代表の)田村友一さんのサッカードリブルを見た両親に、『あのドリブルをしてほしいなあ』と言われて、挑戦してみたらできるようになりました。相手の『ボイ』※の声を聞きながら、ここにいるんだなと何となく位置を把握してドリブルしています」
※ブラインドサッカーでは、危険な衝突を避けるため、ボールを持った選手に向かっていくとき「ボイ」と声を出さなければいけない。

菊島選手の魅力は、高速ドリブルや豪快なシュートだけではありません。スライディングでボールを奪ったり、タッチラインの壁を使った一人ワンツーパスで、相手DFをかわすなど、「本当に見えていないのか?」と目を疑うようなプレーを連発。観客の目を釘付けにしました。

かつてブラインドサッカーのGKとして活躍した敵将も、「とても感銘を受けました。女子でも男子でも、あのようなプレーをする選手を見たことがありません」と感嘆し、母国の英雄である「マラドーナやメッシに似ていると思う」と最大級の賛辞を贈ります。それを聞いた中学3年生は、「マラドーナのことは全く知りませんが、自分のプレーがそう見えるのはうれしいです」と無邪気に笑い、「まだ直線的なドリブルしかできないので、もっとうまくなりたい。チームも、ブラインドサッカーも支えていけるような選手になりたいと思います」と更なる成長を誓います。

女子のカテゴリーでは、次の大会が決まっていませんが、菊島選手をはじめ、女子日本代表選手も出場予定の『KPMGカップ ブラインドサッカークラブチ−ム選手権2018』が、3月4日(土)・5日(日)に富士通スタジアム川崎(神奈川県川崎市)で開催されます。

国内最高峰の選手による“まるで見えているかのような”華麗なプレーを、ぜひ一度、体感してみてはいかがでしょうか。


ブラインドサッカー 日本代表