映画『MERU/メルー』ジミー・チン監督インタビュー

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映画『MERU/メルー』ジミー・チン監督インタビュー

スポーティ

©2015 Meru Films LLC All Rights Reserved.

いよいよ12月31日に公開を控えた映画『MERU/メルー』。Sportieでも『難攻不落のヒマラヤ最難関ルートへの挑戦。映画『MERU/メルー』12月31日公開』で紹介しました。

ヒマラヤ山脈・メルー中央峰にそびえる、難攻不落の岩壁“シャークスフィン”に、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人の名だたる登山家が挑むドキュメンタリー映画です。まずは劇場特別予告編をご覧ください。

本作の監督も務めたジミー・チンが公開に先駆けて来日し、インタビューに答えました。ジミー・チン監督は、ナショナル・ジオグラフィックの山岳カメラマンも務める、世界でも有数なトップ・クライマーの一人です。

映画を観る前に知るも良し、観た後に理解を深めるも良し。ジミー・チン監督が語る映画『MERU/メルー』の裏話をお届けします。

命がけの登山の理由は…「山」に恋してしまったから

——映画で伝えたい事を教えてください。

人間なら誰もが経験する人生のドラマだよ。山で起こるドラマは、まさに人生のドラマなんだ。

困難な選択を強いられたり、特に僕は友人に対して誠実に接するようにという教育方針で育てられたこともあって、クライミングで求められる「他者(チームメイト)への忠誠心と自分自身のエゴの境界線をどこに引くか?」といった決断について、映画で表現して、みんなに共有したかったんだ。

普通の人は最高峰の登山だなんて、なにかクレイジーな行為だと思っているよね?「なんでこんなことするんだろう?」とかね。その疑問が100%解消することはないかもしれないけれど、ほんの一瞬でも、ほんとうに一瞬でいいんだけど、「その気持ち、分かる」って繋がってもらいたかったんだ。

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——なぜ、命をかけてまで難度の高い登山に挑むのでしょうか?

人生の旅路を歩きたいとか、自分を取り巻く世界を深く理解することとか、そういう欲求があったら、何を差し置いても自分自身をステップアップさせようと努力するものだろう?僕の知り合いでもそんな人が本当に多いよ。

そもそも自分が愛するものを決めるのは、誰なんだい?自分自身だよ。たまたま「山」に恋してしまったから、登山家は山を登ることで自分を成長させてるんだ。

書くことに情熱を費やす人もいるだろうしね。だからクライマーに限らず、すべての人は、同じ欲求を持っているんだと思う。
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山で起こってることはすべてが強烈で、魅力的なことばかり

——映画の中でも、登山が命がけの冒険であることはよくわかります。カメラを持った登山は、よりリスクを負います。これまで、登山中にカメラを捨てたこと(撮影を諦めたこと)、捨てようと思ったことはありますか?

YES!もちろん、いつだってこんなの捨てちゃえ!って思うよ(笑)。ただ僕にとって山での撮影は、深い興味の対象になっていて、山で起こるストーリーを語りたい、山からこのドラマを持ち帰りたい、そこに究極の楽しみと情熱を感じているんだ。

多くの人がスポーツ観戦が好きな理由は、アスリートたちが素晴らしいプレイをするから。サッカーやバスケットボールは、競技場でそれを見ることができる。

でもクライミングは、一緒に行ってそばで見ることができない。登山家がどんなに素晴らしい技術を見せてくれたり、信じられない強さを発揮したり、そういったスポーツとしての見せ場は、その場では共有できないんだ。

それからあの感動的に美しい風景だって、持ち帰ることはできない。だから僕は登山家のキャラクターや、景色を持ち帰りたいと考えている。映像を介して、普段は経験できない経験を共有できるんだからね。

だって山で起こってることは、すべてが強烈で、魅力的なことばかりなんだ。僕自身、いつだって山に刺激をもらってる。

Meru Expedition, Garwhal, India
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——尊敬している冒険家はいますか?
もちろんたくさん尊敬している人はいるんだけど、コンラッドほど僕の人生にインパクトを与えた人はいないよ。彼は友人でもありメンターでもある。

若い世代の才能やエネルギーには、刺激をもらっているよ。彼らが見せる才能や情熱、凄まじい進歩は、とても刺激的だ。人間のポテンシャルは無限大だと僕は思ってるんだ。どの世代もみんな自分たちの限界を押し上げている。

ラッキーなことにそういう素晴らしいアスリートたちと一緒に仕事をする機会に恵まれているおかげで、それぞれの世代の最前線はなにか?を目の当たりにできるんだ。

僕は人間がその限界点をもっともっと先へと広げているのを見るのが好きなんだ。そんな人たちをみてると、「人間のポテンシャルには終わりがないんだな」、って感じることができる。サーファーのジョン・ジョン・フローレンスや、白石阿島も素晴らしい、アレックス・オノルドもそうだ。でもどのスポーツでも限界に挑戦している若い才能はたくさんいるね。

特別インタビュームービー

映画『MERU/メルー』は12月31日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、109シネマズ二子玉川ほか全国ロードショー。この冬、ぜひ劇場でご覧ください。

配給:ピクチャーズデプト


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