トレーニング効果を最大化するエクササイズの順番
DOトレーニング効果を最大化するエクササイズの順番
トレーニングの原則のひとつに「特異性」があります。
1種類のトレーニングからは1つの効果しか期待するべきではない、ということです。
分かりやすい例を述べるなら、ゆっくりとしたジョグでは持久力は高められても、瞬発力の向上は望めません。重たいものを持ち挙げる筋トレ種目を行うとパワーはつきますが、スタミナを伸ばすことには繋がりません。
ある限定された分野に特化した専門家は別ですが、普通の人がトレーニングに求める効果はひとつではありません。
パワーもつけたいし、スタミナもつけたい、そんな風に考える人は多いでしょう。しかし、これさえやればすべて大丈夫という万能なトレーニング方法が存在しない以上、いくつかの異なる種類のエクササイズを組み合わせることになります。
本来であれば、1回のトレーニングでは1つの目的に絞った種類のエクササイズだけを行うべきでしょう。
しかし時間や場所の都合もありますので、そうはいかないケースも多いはずです。エクササイズの優先順位は人によって様々ですが、なるべくなら守った方が好ましい順番と避けた方がよい組み合わせがあります。
筋トレと有酸素運動
筋トレと有酸素運動のどちらを先にするべきか、はよく話題になります。
一般的には、ダイエットが目的なら筋トレ→有酸素運動の順番が脂肪燃焼に適しています。仮にジムで1時間をとれるなら、ウォームアップに10分、筋トレに20分、そして有酸素運動を30分といった流れがよいでしょう。
しかし、トレーニングの目的が筋肥大なら、話は異なってきます。なぜなら有酸素運動を行う時間が長くなるに伴い、せっかくの筋トレ効果が低減してしまうことが様々な研究で明らかになっているからです。とくに下半身の筋肉にこの傾向が顕著になります。
従って、筋肉を大きくしたいという人は、筋トレ後の有酸素運動は避けた方がよいでしょう。ウォームアップに5~15分ほどジョグをする程度なら問題ありませんが、1日に行う有酸素運動は30分を越えないようにするべきです。
TOP写真:筋トレの聖地、カリフォルニア州ベニスビーチの「マッスル・ビーチ」
高重量筋トレと自重筋トレ
上半身の筋トレを考えるとき、重量を用いた種目の代表格はベンチプレス、自重で行う種目のそれは腕立て伏せでしょう。下半身ではバーバル・スクワットとエアー・スクワットの組み合わせになるかもしれません。
似た箇所の筋肉をターゲットにする場合、まずは重量を用いた筋トレを先にし、自重筋トレはその後にするべきです。筋肉がすでに疲労した状態では最大パワーを出すことはできないからです。
もちろん、限界の重さに挑む前には筋肉を十分に温める必要があります。ウォームアップを目的として自重種目を行うことはよくあります。その際にはボリュームを増やし過ぎないよう注意が必要です。
違う箇所の筋肉をターゲットにする場合は、とくに順番にこだわる必要はありません。
複合関節種目と単関節種目
複合関節種目とは2つ以上の関節を動かすエクササイズのことです。
ダンベルを使った筋トレを例にすると、ショルダー・プレスはダンベルを肩から頭上に持ち上げる際に肘と肩という2つの関節を動かします。下半身の勢いを利用する方法(プッシュ・プレスやプッシュ・ジャーク)は動員される関節の数がさらに増えます。
単関節種目では1つの関節のみを動かします。ダンベル種目の例ではアームカールが挙げられます。肘を起点にして、ダンベルをぶら下げた腕を折り曲げる動きです。
複合関節種目では多くの筋肉を鍛えることができますし、よりスポーツに近い動きになります。単関節種目は特定の筋肉に負荷を集中したいときに向いています。
その両方を行う場合は複合関節種目を先にして、単関節種目を後にするべきでしょう。この順番を逆にして、単関節種目を先に行ってしまうと、ある筋肉のみが疲労してしまい、複合関節種目を行う際にバランスが崩れてしまうからです。それでは十分な効果を得られません。
プライオメトリクス系トレーニング
ボックス・ジャンプに代表されるプライオメトリクス系エクササイズは見た目よりはるかに強い負荷が体にかかります。本来ならプライオメトリクスはウォームアップのすぐ後に行い、その後はクールダウン以外に何もするべきではありません。
どうしても他のエクササイズと組み合わせたい場合は、必ずプライオメトリクスを優先するべきです。
プライオメトリクスの目的は瞬発力と爆発的なパワーを高めることですので、筋肉が疲労した状態で行っても効果はありません。それだけではならまだしも、故障の危険も高まります。
まとめ
様々な種類のエクササイズを組み合わせてトレーニングの計画を立てることは楽しいものです。
毎回同じことを繰り返すより、異なった刺激を筋肉に与えるという意味でも有意義です。
ただ、トレーニング効果を最大化し、また故障のリスクを最小化するために、エクササイズの順番と組み合わせには少しだけ注意が必要になります。
トレーニング方法にはこれが絶対という黄金ルールは存在しません。ただ、迷ったときの原則として、「エネルギーを最も多く使うエクササイズを先に済ませる」を覚えておくと便利です。