腸内環境からアスリートを助ける。鈴木啓太の挑戦 時速120kmで氷上を滑り抜ける。スケルトン体験

時速120kmで氷上を滑り抜ける。スケルトン体験 SUPPORT

腸内環境からアスリートを助ける。鈴木啓太の挑戦 時速120kmで氷上を滑り抜ける。スケルトン体験

スポーティ

浦和レッズ一筋で16年間プレーを続け、日本代表としても国際Aマッチ27試合出場という輝かしいキャリアを持つ鈴木啓太さん。現役引退後、彼が選択したセカンドキャリアは起業家としての道でした。

2015年10月に起業し、アスリートのコンディショニング調整、及びパフォーマンス向上を目的とした腸内フローラ研究・解析事業を行うAuB株式会社の代表取締役社長として忙しい日々を送ります。

今回は、「鈴木啓太と一緒にスケルトンを体験しよう!」というAuB企画、長野県ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟主催のイベントに参加し、イベントの模様とそして鈴木啓太さんのお話を聞いた内容を前後編2回に分けてお届けします。

前編の今回は、イベントの模様をレポートするとともに、AuBがサポートするアスリートであるスケルトン日本代表、小口貴子選手に、スケルトンの魅力についてお話を聞きました。

最高速度120kmで頭から滑り降りるスケルトン

今回イベントが行われたのは、1998年長野オリンピックの舞台にもなった長野市ボブスレー・リュージュパーク。

当日長野市は、この冬初めての本格的な積雪となりましたが、鈴木啓太さん、AuB顧問でありロンドンオリンピック陸上競技代表の横田真人さんと今回のイベントに抽選で当選した総勢18人の一般参加者が、集まりました。

まずは、室内で小口さんよりスケルトンの簡単な説明が行われました。冬季オリンピックで行われるソリ競技は3つ。2人、もしくは4人でソリに乗り込む「ボブスレー」、仰向けに足から滑り降りる「リュージュ」、そしてうつ伏せに頭から滑り降りる1人乗りの「スケルトン」です。

スケルトンの最高速度は120〜140㎞。このスピードで約1.5kmのコースを滑り抜けます。

スケルトンで利用されるソリは約30kgで、ソリッドな見た目とは反対にかなりの重さ。滑走では重いほうが有利なため、選手とソリの合計の重さが規定されています。スタートでソリに勢い良く飛び乗り、あとは体重移動により操作をすることで、より速いタイムを目指すのです。

体験会でも時速70kmのスピード世界

今回の体験会は1人2回の滑走を行いました。体験会では、通常スタート位置より低い場所からスタートする、最大でも600mほどの滑走となります。体験者は、コース上であらかじめソリに乗り込み、スタッフにソリを押してもらうことでスタートします。

通常より短いコースで、勢いをつけていないにも関わらず、体験会でも速度は70kmほどまで出ます。視界は地面より15cm程度。そのため体感速度はそれ以上に感じます。

速度を出すためには首を進行方向に向けることによって行う進路調整が必要となります。しかし、前が気になるために顔を上げようとするとソリのコントロールが出来ず、壁にぶつかってしまい速度が落ちてしまいます。

1回目ではうまく進路調整が出来ませんでしたが、2回目を滑る前に小口選手からアドバイスをもらった、「なるべく上体をリラックス」という言葉の通りに、なるべく顔を上げずに滑走すると大分うまく滑ることが出来ました。

また、鈴木さんと横田さんはボブスレーにも挑戦。4人乗りのボブスレーの真ん中に2人で乗り込みました。「とにかくすごい!頭を上からぎゅーっと押し付けられている感じ。全然余裕ない!!」と2人とも時速140kmと言われる初めてのボブスレーに大興奮でした。

このような体験会は連盟の主催で一般向けにも行われているそうです。実はこの冬で休止が決まってしまった長野市ボブスレー・リュージュパーク。残り少ないチャンスとなるので、興味のある方は是非体験をしてください。

逆転での平昌オリンピック出場を目指す。小口貴子選手インタビュー

今回体験会を行ってくれた小口選手にお話を聞きました。

ーー小口さんがスケルトンを始めたキッカケを教えてください。

始めたのは大学生の頃で、実は最初はマネージャーから始めたんです。栄養士などの勉強をするために入った仙台大学で、ボブスレー・リュージュ・スケルトン部のマネージャーとして誘われて大会を見に行くうちに、もしかしたら私でも出来るんじゃない?って思うようになり競技を始めました。

ーースケルトンの魅力はどんなところでしょうか?

まずは何と言ってもスピード感です。その中で、自分の理想とする滑りをイメージしたとおりに実行できるかを、試行錯誤するという過程に面白さを感じます。
特に大会の時には練習で滑れる回数も決まっているので、コースの特性だけじゃなく気温や天気などの要素も踏まえて、コースにアジャストをしなければいけません。



ーー今回のイベントはAuBの企画で行われていますが、小口さんとAuBの関係について教えてください。

サポートという形で、遠征の際に検査をしてもらったり、シーズン後に面談をしてもらっています。

ーーAuBのサポートを受けるようになってから感じた変化を教えてください。

選手としてコンディショニングは重要です。私はアメリカやカナダの食事はいいのですが、ヨーロッパの食事が合わないと感じていたところもあったので、その原因を調べて、合う食事などを知るキッカケになりました。

ーー平昌オリンピックに向けての目標を教えてください。

1/14に国際ランキングを元に代表を選考しますが、現段階だと私は選考から漏れてしまいます。残り2戦あるので、その試合でいい結果を出し、オリンピック出場を目指したいと思います。
30日から海外遠征に入るのでお正月は海外で過ごすことになります。ここ最近はずっとそんな感じですね(笑)

平昌に向けて気が抜けない戦いが続く中で、一般向けの体験会で「楽しかった」とか「やって良かった」という声を聞くことは小口選手にもリフレッシュとなるということでした。
平昌オリンピックでの小口選手の勇姿を期待したいと思います。

「起業家」鈴木啓太に迫る後編はこちら

文・写真:萩原拓也(Sportie編集部)