全米No.1バスケセミプロリーグで、NBAプレイヤーを育てる日本人の挑戦

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全米No.1バスケセミプロリーグで、NBAプレイヤーを育てる日本人の挑戦

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アメリカ・カルフォニア州ロサンゼルスの街角に、Drew League(ドリュー・リーグ)というバスケットボールリーグがあります。

毎年6月~8月ごろにかけて開催されるこのリーグは、日本ではあまり知られていません。しかし、バスケットボールの本場・アメリカでは大変な注目度を誇ります。なぜかというとNBAや名門大学に多くの選手を輩出する、大変レベルの高いリーグだからです。

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出身者の一部を挙げてみると、バロン・デイビス(ニューオーリンズ・ホーネッツなど)、ポール・ピアース(ブルックリン・ネッツ)、ジェームス・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、ニック・ヤング(ロサンジェルス・レイカーズ)などなどなど…。

さらにコービー・ブライアント(ロサンジェルス・レイカーズ)、レブロン・ジェームス(マイアミ・ヒート)、ケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)ら超スーパースターも、オフを利用して参戦することで知られています。

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アメリカにはNBAを目指す選手が集うマイナーリーグがたくさんありますが、それらとは一線を画した実力と存在感を持つドリュー・リーグ。野澤亮介さんはそんなリーグに所属する「Los Angeles Loop」の代表、ヘッドコーチ、選手を務めている日本人です。

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野澤さんは2009年にLos Angeles Loopを結成。IBLやWCBL、ABAなどのマイナーリーグを経て、2011年からドリュー・リーグに参戦しています。

3年目となる昨シーズンは見事カンファレンス優勝。その功績が認められ、コーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。ドリュー・リーグの40年の歴史において、日本人、ひいてはアジア人が受賞するのは初めてのことです。

NBAスターが共感する ドリュー・リーグの理念

ドリュー・リーグの魅力について、野澤さんはこう話します。

ドリュー・リーグは他のマイナーリーグと決定的に違うことが2つあります。ひとつはレベル。ここまでNBAクラスの選手が集まるリーグは他にはないと思います。もうひとつはリーグの理念。ドリュー・リーグは『地域を活性させて子どもたちをしっかり育てていこう、いい大人の社会性を見せていこう』という目的で行われています

ドリュー・リーグの本拠地のサウスセントラル地区は、ドラッグや売春、ギャンブルが横行する場所でもあります。その中で子供たちに「バスケットボール」という夢を提供することで、地域の健全化を図る――。レベルの高さに加え、こういった理念が多くのNBAスターの共感を呼び寄せているのです。

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「バスケで生活する」プロフェッショナルを育てたい

野澤さんは現在、ドリュー・リーグを多くの日本人プレーヤーに経験してほしいと考えています。過去には並里成選手(琉球ゴールデンキングス)、菅原洋介選手(大阪エヴェッサ)、堤啓士朗選手(元TGI・Dライズ)、田中健選手、伊藤大司選手(ともにトヨタ自動車アルバルク東京)なども、Los Angeles Loopの一員としてドリュー・リーグを経験しています。

ドリュー・リーグはバスケットの文化、価値、夢が詰まったリーグです。プロリーグではないけれど、『バスケットで生活していく“プロ”というのはこういうことなんだ』ということが、戦う選手の姿勢から間近に感じられるリーグです。例えばNBAの選手たちは、シーズンを終えるとすぐに1か月間程度のトレーニング期間に入ります。自分でお金を出して、自分の最高のコンディションを手に入れるためにみっちりトレーニングして来シーズンに備えるんです。NBA選手に限らず、本気でNBAを目指す選手たちは常にバスケット重視で生活している。その環境は日本とは全く違ったものです。海外を目指す日本人選手が得られるものはとても大きいと思っています

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ドリュー・リーグで多くの日本人選手がプレーすることは、日本バスケットボール界の活性化にもつながると野澤さんは語ります。

日本のバスケット環境やレベルがアメリカと全然違うのは承知の上ですが、日本にプロバスケットボールがある以上、そして日本代表が世界と戦う以上、世界で勝てるチームになっていかないと”プロフェッショナル”は成り立たないと思うんです。『もっと日本のバスケットをいいものにしたい』という思いをより多くのことを伝えられるのは、やはり実際にトップレベルでプレーしている選手。彼らがアメリカの最高峰を体感して、伝えていくことで、環境はいつか変わっていくと信じています

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結果が出なければ見向きもされない。でも、結果を出せば人種を超えてリスペクトされる国。野澤さん自身、参戦直後の2シーズンでたった2勝しかできず、チーム解散の危機にさらされながら(ドリュー・リーグにはレベルを保つために、3シーズン連続でカンファレンス最下位のチームは解散させられるという厳しいルールがあります)、「アジア人が何をしに来た」という冷たい視線を受けながら奮起。カンファレンス優勝とアジア人初のコーチ・オブ・ザ・イヤー受賞という結果を出し、多くのアメリカ人選手から「あなたのチームに入りたい」と連絡を受けるようになりました。

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4シーズン目となる来季を、野澤さんは「Los Angeles Loopというチームが強いということを証明する年」と位置付けています。あっと驚くようなNBAスターのスカウトも狙っているそうです。

さらに現在は、より良いチーム環境を築くために、クラウドファンディングでの支援も募集しています。アメリカの「本気」を日本バスケット界の未来に伝えようと尽力している野澤さんを、あなたもサポートしませんか?

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