バスクの山々がトレイルランニングの舞台にーGolden Trail Series by SALOMONゼガマ大会ー

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バスクの山々がトレイルランニングの舞台にーGolden Trail Series by SALOMONゼガマ大会ー

スポーティ

5月25日、スペイン・バスク地方のゼガマを舞台に、トレイルランニングの世界シリーズ戦であるGolden Trail Series by SALOMONの第4戦が開催されました。走行距離40㎞以上の長距離トレイルとなるこの日のレースは、Golden Trail Series by SALOMONの中でも非常に厳しいコースとして知られています。この記事では、このゼガマで大会の様子をレポートします。

TOP写真:この日、女子エリートカテゴリーで優勝したサラ・アロンソ選手。彼女はゼガマに近いサン・セバスチャンの出身。Photo by Yukari TSUSHIMA.

Golden Trail Series by SALOMONとは

ネットでの生配信のために、メディアスタッフもカメラを持って全力で走る(写真左)。Photo by Yukari TSUSHIMA.

Golden Trail Serie by SALOMONは、世界8か所で開催されるトレイルランニングの世界シリーズ戦です。日本でもこの4月に神戸で、Golden Trail Serie by SALOMONの初戦である神戸大会が開催されました。

この記事でも触れている通り、Golden Trail Serie by SALOMONは2018年から始まりました。そして今回のゼガマのレースは、今ではヨーロッパのトレイルランニングのレースの中でも、最も有名なレースの1つとなっています。

今年はこのレースに500人以上の参加者が集まりました。その中にはGolden Trail Serie by SALOMONに参戦している世界でもトップクラスのエリートランナーもいる一方で、出走選手の大半は趣味でトレイルランニングをしている、スペイン国内や地元バスクのランナーたちでした。なお残念ながら、今回は日本人選手の出走はありませんでした。

選手たちはもちろん彼らを応援する観客たちも、レースの2日ほど前からキャンピングカー でゼガマの村に乗り込みます。そうしたキャンピングカーの駐車場は村から1㎞程離れた場所にありましたが、スタート地点まで無料の巡回バス走っていました。

その一方で、ゼガマの村の近辺に住む人は、自家用車やバスなどの公共交通機関を利用し、レース当日の朝に会場へと向かいます。ちなみにこのゼガマ大会の期間中には、ゼガマ発着の公共バスを誰でも無料で利用できました。

場は村から1㎞程離れた場所にありましたが、スタート地点まで無料の巡回バス走っていました。

その一方で、ゼガマの村の近辺に住む人は、自家用車やバスなどの公共交通機関を利用し、レース当日の朝に会場へと向かいます。ちなみにこのゼガマ大会の期間中には、ゼガマ発着の公共バスを誰でも無料で利用できました。

レースの舞台はバスクの山々

今年の大会は快晴の下で開催。舞台となるバスクの山をスタート地点からくっきりと見ることができる。Photo by Yukari TSUSHIMA.

ゼガマの村があるのは、スペイン北部にあるバスク地方のほぼ中央部です。周囲を山々に囲まれた山間の小さな村が、今回のレースのスタートおよびゴール地点となりました。

バスク地方は雨が良く降る地域として、スペイン国内では知られています。実際に昨年のGolden Trail Serie by SALOMONゼガマ大会は、雨の中での開催となっていました。しかし、今年のこのレースは、朝からしっかりと青空が見える快晴の下での開催となりました。

このゼガマ大会の特徴の1つは、レースがほぼフルマラソンと同じ距離の約42㎞で争われることにあります。Golden Trail Serie by SALOMON内で開催されるレースの多くは、約20㎞前後コースが設定されています。そのため、ゼガマのレースはその距離の長さを見るだけでも、ほかのレースと比べても非常にハードなものであることがわかります。

また、この日のゼガマのレースは登りの距離の合計が2736mあり、これはGolden Trail Serie by SALOMONの中でも最も長い登りの距離となります。そして、この日1日で選手が走るコースも多彩で、森の中の未舗装の土のコースはもちろん、山頂近くの岩場の上、アスファルトと石畳の道まで登場します。

このように、距離の長さとコースの多彩さ、そして時には天候の厳しさが組み合わされた形で開催されるのが、このGolden Trail Serie by SALOMONのゼガマ大会なのです。

選手と観客がこの日の主役

ジュニアカテゴリーのレースも開催。ゴール前でジャンプを披露する元気な選手の姿も。Photo by Yukari TSUSHIMA.

この日は大人の選手が出場する42㎞のレースの合間に、ジュニアカテゴリー(16歳から18歳)選手による約11kmのトレイルランニングのレースが開催されました。男女合わせて82人の選手が参加し、男子のトップ選手は42分台、女子のトップ選手は51分台でゴールします。その一方で、自分のペースを守りながら走りつつ、ゴール前では温かな観客の拍手の中、友達や兄弟姉妹が手を取り合って一緒にゴールする姿も頻繁に見られました。

エリート男子カテゴリーのトップ5。写真左から、ルカ・デル・ピノ選手(第4位)、アンドレウ・ブラネス選手(第2位)、エルホリシン・エラザウイ選手(優勝者)、ダニエル・パティス選手(第3位)、ロレンツオ・ベルトラミ選手(第5位)。

そして、メインイベントとなる大人カテゴリーのレースは男女合わせて約550人が参加しました。男子の優勝者のエルホリシン・エラザウイ選手は、3時間43分という驚異的なスピードでゴールします。しかし、ほとんどの参加者にとってのこの日の最大の目標は、先頭ランナーがゴールしてから8時間以内にゴールにたどり着くこと。加えてコース上には11か所のチェックポイントが設けられており、レースを続けるためには、そのすべてのチェックポイントを地点を制限時間内に通過する必要があります。8時間という一見すると長く感じてしまう制限時間ですが、ゼガマのコースは参加者たちを容赦なくふるいにかけ、最終的に約70人がレースを途中で止めることになりました。

しかし、この日ゼガマに集まった観客はゴールできなかった参加者にも、「来年にまたおいで。次はきっと完走できるよ。」と温かい言葉をかけます。その言葉は世界トップクラスの選手と同じレースを走った選手たちに対する、最大の敬意と尊敬を十分に含んだものでした。

Golden Trail Serie by SALOMONの次のレースは、6月22日にアメリカで開催されます。

スペイン トレイルランニング