「侍ジャパンを脅かす不気味な存在。「快進撃」イスラエル代表の強さに迫る」

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「侍ジャパンを脅かす不気味な存在。「快進撃」イスラエル代表の強さに迫る」

スポーティ

WBC2017も第2ラウンドが始まり、先日行われた日本代表とオランダ代表の死闘が記憶に新しいと思います。このラウンドの最終戦に侍ジャパンはイスラエル代表と激突します。同代表は第1ラウンドでオランダ、韓国、台湾を撃破、全勝で第2ラウンドへ勝ち上がりました。さらにキューバ代表を破って快進撃を続けている状況でしたが、13日に行われたオランダ戦では12-2の8回コールド負けを喫しました。オランダ代表は大勝しましたが、第1ラウンドでは彼らに敗北しているため油断大敵です。イスラエル代表は今大会が初のWBCであり、実力は未知数と言われています。対戦前に、同代表を紐解いていきます。

トップ画像:Photo by Ted Eytan

対戦前に解説。イスラエルはどのような国なのか?国内野球事情も解説

イスラエルは中東の西部にあり、ハイテク産業が盛んな先進国です。この国は周辺のイスラム教国家と長年対立しており、サッカーなどの競技は別の大陸連盟に所属することを強いられています。


イスラエルの位置

イスラエルの国内野球事情は困難な状況に置かれています。この国で最もポピュラーなスポーツはサッカーであり、次いでバスケットボールが人気です。野球の競技人口は約5000人と少なく、競技力もお粗末なものでした。しかし、2007年にユダヤ系アメリカ人やMLB(大リーグ機構)の有志を得て、プロリーグを創設。大きな転機になりましたが、興行に失敗して1年でリーグは閉幕しました。リーグ閉幕から5年後にイスラエル・プレミアリーグという名前でセミプロリーグが設立、イスラエル野球の灯火は消えずに燃え続けています。


2007年に創設されたイスラエル野球リーグ

国内野球事情はあまり良い状況ではありませんが、大きな期待を持って作られた組織が存在します。2014年に創設されたイスラエル・ベースボール・アカデミーは、少年たちの野球指導を積極的に行っています。イスラエル生まれの代表選手はシャルモ・リペツ選手のみですが、今後国内から有望選手が誕生していくかもしれません。


イスラエル・ベースボール・アカデミーの様子

第二のアメリカ代表。イスラエルのメンバーは28人中27人が米出身!?

躍進を遂げたイスラエル代表のメンバーは、28人中27人がユダヤ系アメリカ人と大半の選手がアメリカで活躍しています。上述したようにイスラエル国内の野球インフラが整っていないため、野球大国アメリカで生まれ育ったユダヤ系アメリカ人の選手たちが主戦力となっているわけです。ちなみにWBCのルールではルーツ(出生地、国籍、永住権、親の生まれや国籍が代表の国に由来すれば出場可能)に由来すれば、代表選手の権利を得られます。

では、イスラエル代表の選手を紹介していきます。同代表はメジャーリーグの球団に所属する選手はいませんが、メジャーリーグ経験者が10人、3Aクラスの選手が7人います。警戒すべき選手を下記に記します。

■ジェイソン・マーキー 投手


Photo by Keith Allison

メジャー通算124勝の優れた投手であり、2004〜2009年の6シーズン連続で二桁以上の勝ち星を記録しました。打撃も上手く、2005年シーズンは打率.310を記録してシルバースラッガー賞を受賞。決め球は高速シンカーと切れ味が鋭いスライダーです。

■ライアン・ラバーンウェイ 捕手

ボストン・レッドソックスに所属していた知的なキャッチャー。適確なリードに定評がある選手で、打撃も速球に対応できる選球眼を持っています。余談ですが、予備登録選手のクレイグ選手と同じく名門イェール大学出身者であり、レッドソックス時代にイェール大学出身バッテリー誕生と話題になったことがあります。今回のWBCで再び名門大学出身コンビが復活する可能性があります。

■アイク・デービス 一塁手


Photo by Keith Allison

2012年シーズンに32本塁打・90打点を記録したスラッガー。投手も兼任できるユーティリティ(複数ポジションをこなす)性を持ち、DHに入っても少ないチャンスを確実にする打撃力も魅力的です。今大会では13打数7安打、打点2、得点4、打率.538(2017年3月13日23時00分時点)とイスラエル代表の攻撃を牽引しています。

■クレイグ・ブレスロウ 投手 (予備登録選手)

Photo by Keith Allison

まだ出場していませんが、日本人選手と共に活躍した選手を紹介します。メジャー通算75ホールドした中継ぎ投手。2013年には上原浩治選手、田澤純一選手と共にボストン・レッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献しました。直球はそこまで速くないですが、ツーシームとストレートを状況に応じて使い分けます。変化球は高速スライダー、カーブ、チェンジアップと球種も多く、緻密な組み立てで打者を追いつめます。奪三振は多くないグラウンドボールピッチャー(ゴロを打たせて打ち取る投手。打たせて取るタイプ)。

上記の選手以外にも2011年シーズンに20盗塁、MLB通算67盗塁を達成したタイ・ケリー(外野手)などの選手がいます。

侍ジャパンは未知の相手イスラエルにどう立ち向かう?相手エースを分析

侍ジャパンは15日にイスラエル代表と戦います。今までに対戦経験のない彼らの攻略方法を探ります。13日のオランダ戦にエースのジェイソン・マーキー投手が登板していなかったので、恐らく先発で起用されるでしょう。マーキー投手を如何にして攻略するかが鍵となります。彼らのプレースタイルは粘り強く諦めない野球を展開し、勢いづかせてしまうと打撃が止まらない印象があります。闘志を前面に打ち出す野球のため、冷静に攻撃の目を摘むことが必要です。


Photo by kennejima

初対峙するイスラエル代表は侍ジャパンにとって未知の相手であり、データが少ないため不気味な存在です。彼らは勢いに乗ってしまうと危険な相手になりえます。そう考えると日本代表は、彼らと相性がいいかもしれません。イスラエル代表を破るには、着実に点を重ねるスモールベースボールが有効でしょう。スモールベースボールは日本のお家芸ですので、冷静に対処すればイスラエル代表の勢いも封殺できると鑑みます。王座奪還する上で越えなければいけない壁ですので、侍ジャパンの健闘を祈ります。

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