吉本芸人がオリジナルスポーツを開発!AHOSPO GRAND PRIX開催

吉本芸人がオリジナルスポーツを開発!AHOSPO GRAND PRIX開催 DO

吉本芸人がオリジナルスポーツを開発!AHOSPO GRAND PRIX開催

スポーティ

2017年4月30日。何十年も日本のお笑い文化を牽引してきた吉本興業と、アホなスポーツをつくらせたら世界一の世界ゆるスポーツ協会がタッグを組み、前代未聞のスポーツ大会、『AHOSPO GRAND PRIX』が開催されました。
この大会は、吉本興業の芸人たちと世界ゆるスポーツ協会のスポーツクリエイターたちが共同で開発した5種目のスポーツのうち、どのスポーツが一番「アホ」だったかを競う大会。一般公募で集まった老若男女約100名の参加者が、実際に5種目のスポーツを体験し、「アホさ」を審査しました。

Top画像 photo by 吉本興業㈱


photo by 吉本興業㈱

今回『アホスポ』を考案したスポーツレンジャーは、梶原雄太さん(キングコング)、大地洋輔さん(ダイノジ)、坂口真弓さん(怪獣)、しいはしジャスタウェイさん(御茶ノ水男子)、小坂悠真さんの5名。
芸人たちが考えたアホなスポーツとは…?そして、「スポーツ」×「笑い」に秘められた可能性とは…?気になるコラボの全貌をご紹介します。

逃げられるか握られるかの戦い(おにごっこ)。しいはしジャスタウェイさん考案の『SUSHI AWAY』

まず登場したのは、御茶ノ水男子しいはしジャスタウェイさんが考案した、『SUSHI AWAY』。寿司職人とシャリに分かれて行う鬼ごっこです。

板前帽子を被った2人の寿司職人が、エビ、イカ、トロなどの寿司ネタを持ち、5人のシャリを追いかけます。職人は、シャリの背中にネタを乗せる(貼る)ことで、制限時間内になるべく多く寿司を握っていきます。シャリは、職人に握られないよう、ひたすら逃げます。


職人に握られたシャリは、その場で寿司になってしまいます…。

4人のGODが繰り広げる大勝負。小坂悠真さん考案の『GOD BREATH YOU』

続いては、元水泳選手で吉本興業の『ふるさとアスリート』としても活躍する、小坂悠真さん考案のスポーツ、『GOD BREATH YOU』です。小坂さんは、2011年にジャパンオープンの200m個人メドレーで優勝し、ワールドカップの日本代表に選出された経験も持つアスリート。

『GOD BREATH YOU』は、人間がくしゃみをした時に抜けてしまった魂を、神様たちが息を使って戻してあげるというスポーツです。くしゃみをすると人間の魂が抜けてしまうため、周りの人が“God bless you!”と言って魂を戻してあげるという、海外の文化が元になっています。

コートは、麻雀卓ほどの大きさの四角い台で、各辺には穴が空いています。4人の神様(プレイヤー)は、コートの周りに立ち、神の棒(ストロー)に息を吹きかけることで、魂(ボール)を転がします。自分の穴に魂が落ちないようにコントロールしながら、他の神様の穴に魂を落としていきます。


元水泳選手らしい、息を使ったスポーツ。これなら、楽しみながら肺活量のトレーニングもできそうです。

怪獣坂口さん考案のOLスポーツ、『トレンディバレー』

怪獣の坂口真弓さんは、
「OLといえばトレンディ」
「OLといえば屋上でバレーボール」
「OLといえば肩にカーディガンをかける」
ということで、女性ならではのスポーツを考案しました。その名も『トレンディバレー』。

OLのように、トレンディに肩にカーディガンをかけながら、ソフトバレーボールをします。カーディガンが落ちてしまったら、その場で「先輩!」と言って先輩を呼び、カーディガンを優しく肩にかけてもらいます。
誰かがカーディガンを落としても試合は続行されますが、カーディガンが肩にかかっていない状態でのプレーはNG。


試合中のBGMには小田和正や久保田利伸が流れ、トレンディ感(?)が増します


先輩は、なぜか長財布を持つルール。(坂口さん曰く、「先輩といえば長財布を持っているイメージ」なんだとか(笑)。)

自由すぎる野球。ダイノジ大地さん考案の『エアホームラン』

エアギターの世界選手権で2連覇した実績を持つダイノジの大地さんは、『エアホームラン』を考案。その名の通り、エアでホームランを打つ競技です。チーム内でピッチャー、キャッチャー、バッター(3人まで)、審判などの役を決め、エアで野球の試合を行います。ストーリーや実況もすべてチームの自由。1人目から3人目まで、誰がホームランを打ってもOKで、ホームランを打つと試合終了となります。
このスポーツは採点競技で、勝敗は、「エアネス」「ホームラン感」「ドラマ性」「チームワーク」「声出し」の総得点で決まります。


ドラマ性の演出のため、遺影も使われました。さすがは芸人の発想!

スローモーションや胴上げなど、チームによって様々な演出で高得点を狙います。見ている方も、スポーツ観戦をしているのか、お笑い鑑賞をしているのか、分からなくなってくるほど。

漫才でバトンパス!キングコング梶原さん考案の『ボケリレー』

最後に登場したのは、キングコング梶原さん考案の『ボケリレー』。ルールはとても簡単。バトンパスをボケとツッコミで行うリレーです。第一走者はコースを一周したら、バトンパスをする代わりに、第二走者に向かってボケます。第二走者は、第一走者のボケにツッコんでから走り出し、一周したら同様にボケます。これを繰り返し、チーム全員が走り終えるまでのタイムを競います。


コース上には竹刀やボールなどの小道具が置かれ、これらの小道具を拾ってモノボケすることも可能。

「ボケ方やツッコミ方が分からなければ、教えるので、僕に聞いてください!」と梶原さん。しかし、実際にやってみると、すいすいバトンが繋がりました。参加者の秀逸なボケに、芸人たちが思わず感心してしまう場面もあり、終始和やかな雰囲気のままイベントは終了しました。


ボケ「歯茎ちぎれた!」
ツッコミ「なんでやねん!」

芸人のフィールドを、ステージから体育館、そして世界へ

イベントのきっかけについて、吉本興業の佐伯幸一さんと世界ゆるスポーツ協会の澤田智洋さんにお話を伺いました。

面白いことを考える力や場を盛り上げる力など、芸人さんたちが持っている才能を、お笑いというステージだけで活かすのはもったいないと思っていて。ゆるスポーツのクリエイターとコラボして、スポーツで人を笑わせられたら、子どもからお年寄り、さらには外国人まで、もっといろんな人たちにアプローチできるのではないか、と考えました。


見事なエアスライディング! Photo by 吉本興業㈱

アホなスポーツ大会の裏には、「お笑いとスポーツが結びついたら、より一層世界中の人を幸せにできる」という想いが込められていたのです。

ボケることで、ボケ防止に?精神科医も認める、アホスポの健康効果

お笑いとスポーツはどちらも人を健康にするものですが、それらが結びつくことで、新しい可能性が見えてきました。
大阪精神医療センターの岩田和彦局長は、認知症予防に向けたアホスポの効果に期待を寄せています。




認知症予防には、脳のトレーニングだけでなく、体を動かすことも大事だということが分かってきました。しかし、高齢になってくると、野球のようなスポーツをするのは難しいし、ただ歩くだけではつまらなくて続かなくなってしまう。アホスポは、どれも年齢に関係なく笑いながらできるスポーツなので、感動しました。ボケやツッコミを考えるだけでも、実は相当脳を使うので、すごくいいことなんですよね。アホになることが、アホにならないための予防になるんです(笑)。

楽しみながら頭や体を使うことができるアホスポだからこそ、敢えて意識することなく、自然と健康増進や予防医療に繋げることができます。

お笑いが好きで今回のイベントに参加した人の中には、「普段はまったくスポーツをしないけど、芸人さんが考えたスポーツは楽しみながら体を動かすことができたので、いい運動になった」という人もいました。

アホスポで、日本の笑いを世界に輸出?


BGMは『スシ食いねェ!』

佐伯さんや澤田さんは、高齢者だけでなく、外国人に対しても、アホスポの持つ力は大きいと考えています。

「芸人が海外でライブをしても、言葉の壁に悩まされることが多いのが現状です。でもスポーツなら、言葉がなくても伝わりやすい。ボケやツッコミといった日本のお笑い文化を、ボケリレーのようなスポーツに乗せることで、外国人にも伝えていけたら。」と、アホスポにコミュニケーションツールとしての可能性も感じているようです。

多様性を活かせば、可能性は無限大

参加者による審査の結果、5種目のアホスポのうち最もアホなスポーツに輝いたのは、御茶ノ水男子しいはしジャスタウェイさん考案の『SUSHI AWAY』でした。鬼ごっこを寿司作りになぞらえるという発想が、斬新ながらも親しみやすく、多くの参加者にウケたようです。

しかし、『SUSHI AWAY』に限らず、どのアホスポも個性豊かで、それぞれ異なる面白さが含まれていました。

誰かのニーズに寄り添ったり、既存のスポーツを活かしたりと、開発の角度は様々ですが、“面白さ”はどんなゆるスポーツでも大事にされる要素のひとつ。澤田さんは、今回のコラボレーションの中で、芸人たちの笑わせ方が多様性に溢れていることを実感し、更なる可能性を感じたそうです。

多様な人材をかかえる吉本興業と、多様なスポーツを開発する世界ゆるスポーツ協会。お互いの多様性を活かし合うことで生まれる相乗効果は、まさに無限大に広がります。
認知症予防やお笑い文化の海外輸出といった新たな領域への挑戦を含め、アホスポが今後どのように展開されていくのか、ますます楽しみです。

illustrations by 松田壮(ゆるスポーツクリエイター)

お笑い ゆるスポーツ 鬼ごっこ