1戦1戦最後だと思って闘っている。黒部三奈選手インタビュー

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1戦1戦最後だと思って闘っている。黒部三奈選手インタビュー

スポーティ

先日の初防衛戦では、手に汗握る熱い試合を観せてくれたDEEP JEWELSアトム級チャンピオン・黒部三奈選手。現在41歳。格闘技に足を踏み入れたのも、32歳の頃でした。それまで会社員として働いていた黒部選手が、なぜ格闘家になったのか、そして今後についてもインタビューしました。

運動不足解消で始めたボクササイズから3年でプロデビュー

ーー32歳で格闘技を始めた黒部選手。どのようなきっかけだったのでしょうか。

もともと芸術系の勉強をしていたので、大学卒業後はコンピューターグラフィックのデザイナーとして会社員をしていました。最初は運動不足の解消を目的に、普通のスポーツジムでボクササイズを始めたのがきっかけです。やってみたら面白かったので、もう少し発展させたいと思って、和術慧舟會K太郎道場で週1会員から始めました。まずはキックボクシングを習うようになり、そこから中村K太郎さんに寝技クラスにも誘ってもらって、総合格闘技に徐々に足を踏み入れました。
格闘技は、日常生活では感じることのできないスリルを感じられるし、楽しいからハマったのだと思います。仕事が忙しかったり、嫌なことがあっても、スパーリングをすれば全て忘れられるんです。

ーーそこから試合に出てみようと思うようになったのには、どういった流れだったのでしょうか。

その頃、練習をみてもらっていたカツオ選手の試合を観に行ったのですが、それが良い試合で感動して、もう少し真剣に取り組もうと思いました。それで、33歳の頃には寝技だけのアマチュアの大会に出始めました。

ーープロを目指すにあたっては、意識の変化があったのでしょうか。

これは自然な流れでした。アマチュアの大会に出始めたら、練習もちゃんとサボらず行くようになって、友人の結婚式などで練習を休むと、なぜか周りが「あれ、なんで来ないの?」みたいな雰囲気になってきて(笑)。そんなこともあって、それまでは寝技だけの大会に出ていたのですが、所属が総合のジムなので、総合ルールで自分の力を試したいと思ったんですよね。
プロデビューはJEWELSで、35歳の時です。当時は、あまり女子で総合をやっている選手は今ほど多くなく、試合を組むのも大変という中で、普段一緒に練習していた大室選手が話をしてくれて、JEWELSで試合をできることになりました。

ーー総合ルールで挑む試合に恐怖心はなかったですか。

怖いは怖いですけど、それは寝技だけの大会の時でもそうでした。試合直前は「なんで出るって言ったんだろう」って思うくらい怖いですね。でも1発殴られれば、「あ、やらなきゃ」とスイッチが入ります。スロースターターです(笑)。

ここまでこれるとは思っていなかった。だからこそ1試合に全てぶつける気持ちで挑む

ーーそれまではスポーツはされていましたか。運動神経は良い方だったのでしょうか。

ボクササイズを始めた頃は、ランニングも結構していました。中学ではソフトボールや陸上をやっていました。でも高校は囲碁部でしたし、大学も美術を勉強していて、運動はそこまでしていなかったですし、運動神経も良いかと言われると、そうでもないですね(笑)。大学の友人からは「ある意味アーティストだね」って言われます。

ーープロデビューして数年で、それまでのCGデザイナーの仕事をやめたのは何か契機があったのでしょうか。

今は所属しているマスタージャパンのジムの管理とフィットネスショップが同じ会社なのでそこで働いています。
格闘技一本でやってこうと決めたのは4年前です。マスタージャパンの弘中代表が、福岡にも出店することになり、水道橋店の管理をやってくれないかと言われて、もっと練習できるかなと思い、転職を決めました。


ーーその時点で37歳ぐらいだったと思いますが格闘家としては年齢が上の方になってくると思います。まだまだ格闘技をやっていくという決意があったのでしょうか。

私の場合は格闘技を始めたのが遅いので、まだまだやりたいと思っていました。 今でも体力がきつくなったと感じることはありません。毎試合、前回の試合の反省を踏まえて、もっとこうしていきたいというのを考えています。でも毎試合、今回が最後かもしれないと思って、全部ぶつけていかなければいけないという気持ちで戦っています。
長く続けられるとは思っていないですが、特に終わりも決めていません。

習い事としての格闘技もおすすめ

ーー習い事として格闘技をする女性も増えていると思います。

私がそうであったように、日頃の悩みやモヤモヤしていることを全て忘れられるので、楽しいと思います。
また、女性であれば受け身を習得するのが良いと思いますよ。男性なら体育で柔道をやったりしてますけど、女性は習う機会がないですよね。道場で受け身を覚えるだけでも、転んだ時に上手に転べるようになるので、怪我の予防に繋がります。

ーーマスタージャパン水道橋店では黒部選手に直接指導してもらう機会もあるのですか?

はい、私は柔術クラスを受け持っていますので、ぜひ来ていただければと思います。月会員であれば何度来ても良いんですよ。個人のレベルに合わせた指導を行っているので初心者の方でも問題ありません。

まだまだ進化する黒部選手。ハム・ソヒ選手にリベンジしたい

ーーご自身のファイトスタイルを教えてください。

もともと寝技の方が練習をやっていた時間も長いので、得意です。あとは頑張り屋ですかね(笑)。
今後は打撃をもっと磨いていきたいと思っています。これまで相手から打撃をもらってバランスを崩してしまっていたので、そこを直していって、ちょっとでもパンチ力が上がれば自分のスタイルに活きてくるかなと思います。

ーーDEEP JEWELS 19での初防衛戦では見事、SARAMI選手に勝利しました。振り返ってみていかがでしたか。

今振り返ると、冷静さを失っていたと思います。負けず嫌いな性格なので、どうしても勝ちたいという気持ちはいつもあるのですが、前回は特に強く気持ちが出ていました。

ーー今後、戦いたい相手はいますか。

ROAD FCのハム・ソヒ選手にリベンジしたいです。なんとか相手の攻撃をかいくぐって、自分の得意分野で戦えればよかったのですが、あの時も1ラウンドでいいパンチをもらってしまい、焦ってしまったところが反省点です。

ーーこれから中長期で考えてどのような格闘技キャリアを積んで行きたいとお考えでしょうか。

自分でもここまで来れるとは思っていませんでした。次の試合はまだ決まっていませんが、これまで通り1試合1試合そこにすべてをかけて行くしかないと考えています。

ーー最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。

私は運動神経も悪く鈍臭いのですが、頑張ってやってますので、皆さんも実際に格闘技をやってみてほしいです!

年齢をもろともせず挑戦を続ける”格闘家”としてのかっこいい一面と、とても気さくで親近感の湧く雰囲気を併せ持つ黒部選手。次の試合は未定ですが、まだまだ戦い続ける黒部選手の姿をぜひ会場で応援してください!!

現在DEEP JEWELSでは、2018年9月16日(日)に新宿FACEで開催する試合に出場する、アマチュア女子選手を募集中です。未来の宝石たちは、このチャンスをお見逃しなく!
詳細、お申し込みはDEEP JEWELS公式サイトでご確認ください。

インタビュー:萩原拓也(Sortie編集部)
文・インタビュー中写真:五十嵐万智(Sortie編集部)

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