激戦必至の「フォーミュラE」第5シーズンが12月に開幕!
WATCH激戦必至の「フォーミュラE」第5シーズンが12月に開幕!
私たちが乗る自動車が、化学燃料からハイブリットや電気に変わっていくように、モータースポーツでも環境への配慮、電気自動車の新たな可能性として電気自動車でのレースが行われています。それが「フォーミュラE」です。
市街地を電気で走るフォーミュラカーでレースをするフォーミュラEは、今年で5年目の開催となります。開催当初は、不安の声も少なくなかったフォーミュラEですが、毎年激しく熱いレースが繰り広げられ、盛り上がりをみせています。5年目となる今年はさらに実力者が多く参戦し、日本の自動車メーカーとして初めて日産が参戦します。
今回は、フォーミュラEの魅力や個性豊かな選手、そして今年から参戦する日産についてご紹介します。
メイン写真 Photo by Stuart Allen
フォーミュラEとは?
フォーミュラEは2014年から始まったモータースポーツのカテゴリーで、化学燃料を使わず電気で走る電気自動車のフォーミュラカーでレースが行われます。
モーター音で、音がとても小さく、これまではありえなかった市街地でのレースが可能となり、世界各国の大都市やリゾート地でレースが行われています。
スケジュールは年をまたいで開催され、2018/2019シーズンは2018年12月に開幕し、2019年7月に最終戦が行われます。
今年は大変革の年で、これまで使われていたマシンではなく、新しいマシンでのレースとなります。これまで以上に性能が上がったマシンと、多くの実力者が参戦する今年のフォーミュラEは、見逃せません!
これまでも実力者が多く参戦してきたフォーミュラEですが、今年からはさらにビッグネームも名を連ね、見逃せないシーズンとなっています。
というわけで今年フォーミュラEに参戦する注目選手を紹介します。
歴代のチャンピオン達
今年で5年目となるフォーミュラEですが、これまで連覇したドライバーはいません。つまり毎年誰が勝つかわからないハイレベルで激しいカテゴリーなのです。まずはこれまでのチャンピオンを獲得してきた猛者達を紹介します。
初代王者 ネルソン・ピケJr.
3度のF1ワールドチャンピオンになったネルソン・ピケの息子で、自身もF1で走った経歴を持ちます。F1やラリークロスなど数々のカテゴリーを経験しているピケJr.は抜群のマシンコントロールと安定した走りで初代王者に輝きました。
2代目王者セバスチャン・ブエミ
F1での経験もあり、現在はフォーミュラEと並行してWEC(世界耐久選手権)でトヨタを駆り活躍している選手です。フォーミュラEでは抜群の速さを見せており、フォーミュラEの最多勝はブエミが記録しています。
フォーミュラEで、もっとも速いのがこの選手といっても過言ではありません。レース中ヒートアップすると無線でフランス語でまくし立てるのがお決まりでここにも!?注目です。
3代目王者ルーカス・ディ・グラッシ
F1やWECで活躍したディ・グラッシはフォーミュラE初年度の記念すべき開幕戦でのウィナーでもあり、シーズン3でのチャンピオンでもあります。速さと安定感を兼ね備えたディ・グラッシは予選の速さよりも決勝に強く、レースで必ず上に上がってくる技巧派のドライバーです。ちなみに彼は高いIQをもつ人しか入れない「MENSA」の会員でもあります。
4代目王者ジャン・エリック・ベルニュ
2014年までF1で走っていたベルニュでしたが、2014年の12月に行われた第3戦からフォーミュラEに転向しました。F1での速さそのままにフォーミュラEでも優れたパフォーマンスを発揮し、2017/2018シーズンでは2位以下に大差をつけチャンピオンに輝きました。今年は史上初めてフォーミュラEでの連覇を狙います。
今年から参戦する注目ドライバー
フェリペ・マッサ
F1のトップチーム、フェラーリで長く活躍し2008年には今年F1で5度目のチャンピオンを獲得した絶対王者ルイス・ハミルトンと最後の最後まで熾烈な争いを展開した実力者です。2017年にF1から引退したマッサですが、今シーズンからフォーミュラEに参戦します。
何と言ってもハマったら誰にも止められない速さを持っており、ベテランの老練なテクニックも兼ね備えているマッサが今年どのような活躍を見せてくれるのか注目です。
ストフェル・バンドーン
2018年までF1で走っていたバンドーンは今年からフォーミュラEに転向します。F1直下のカテゴリーであるGP2(現在はF2)で圧倒的な速さをみせ、日本のスーパーフォーミュラでは速さだけではなく見事なタイヤマネイジメントも披露しました。
F1では速いマシンに恵まれず活躍できませんでしたが、彼のポテンシャルはとても高く、このフォーミュラEでも期待されています。DTM(ドイツツーリングカー選手権)で2度のチャンピオンを獲得したゲイリー・パフェとともに、今年限りでDTMから撤退したメルセデスから参戦します。
新規参戦の日産について
これまでのフォーミュラEではルノーが参戦し、常にトップ争いを展開、ドライバーズチャンピオンもチームチャンピオンも獲得するなどフォーミュラEを引っ張ってきました。
しかし第4シーズンでルノーはF1での活動に集中するため、フォーミュラEから撤退し、ルノーとパートナーシップ関係にある日産が引き継ぎ、第5シーズンから参戦します。
マシンも変わり新しくなるとはいえ、これまで輝かしい成績を残してきたルノーに変わり参戦する日産にはかなりのプレッシャーがあるでしょう。しかしルノーとともに多くの優勝、そしてチャンピオンも獲得したセバスチャン・ブエミという新規参入のチームにとってこれ以上ないドライバーが乗ります。そしてもう1人のドライバーも気になりますね。
これまで日本の企業はスポンサーとしての参戦はありましたが、チームとしての参戦は今回が初となります。もともとフォーミュラEは日本での開催を強く望んでおり、今回日本のメーカーの参入により、日本での開催も近づいたのではないでしょうか。
さらにはフォーミュラEをシーズン通して参戦した日本人ドライバーはこれまでにいません。他のカテゴリーと大きくキャラクターの異なるフォーミュラEをいきなり乗って成績を残すことはかなり難しいです。シーズンを通して日本人ドライバーが参戦できる環境が整いつつあるフォーミュラE、これからのモータースポーツのスタンダードになるであろうカテゴリーなだけに日本人ドライバー、日本企業の参入が期待されます。
フォーミュラEの可能性
エコの時代で自動車業界でも排ガス規制が進む中、モータースポーツでも「フォーミュラE」という排気ガスを一切出さないカテゴリーが生まれました。
モータースポーツの魅力の中に「音」「匂い」「振動」という要素があります。モータースポーツにおいて重要な3つの要素がないフォーミュラEに魅力はあるのか?と特にモータースポーツ関係者や既存のファンからそういった声が多く上がりました。しかしそれによって今まで絶対に実現できなかった市街地でのレースが可能になったのです。
モータースポーツは広大な敷地が必要であり、また騒音問題などの理由から市街地から離れたサーキットで行われます。つまりモータースポーツは「わざわざ」観に行かなければいけないのです。もちろん「わざわざ」行ったからこその感動もあり、サーキットに向かう道中はファンにとってワクワクドキドキが止まらない楽しい時間でもあります。
ただ、よりモータースポーツを身近に感じてもらいたいと思った時に、市街地での開催が実現すれば普通の生活をしていてもモータースポーツが自然と目に入ってくるのです。それが可能なフォーミュラEはモータースポーツの裾野を広げてくれる存在となるでしょう。
そして魅力とされている「音」「匂い」「振動」が無いフォーミュラEですが、これまで行われてきたレースでそんなことは関係ないと実証してきました。エンジンがモーターに変わろうが、音が小さくなろうが、「前にいる奴は絶対に抜く」「後ろからくる奴は絶対に前に行かせない」「勝ちたい、誰にも負けたくない」「誰よりも速く走りたい」というモータースポーツの本質は何も変わらないのです。
モータースポーツにおいて「音」「匂い」「振動」が魅力なのは間違いありません。しかし、そもそもモータースポーツには音や匂いや振動が必要というのは、今までのモータースポーツに関わる人たちの固定概念なのかもしれません。
これまでとは全う違うが為に否定的な声も多かったフォーミュラEですが、モータースポーツの新たな可能性を見せてくれました。次シーズン以降、電動のフォーミュラカーが日本の市街地を走るかもしれません。その前に今年のフォーミュラEにも注目したいところです。