第13回 U-19 女子ソフトボールワールドカップ 観戦レポート

第13回 U-19 女子ソフトボールワールドカップ 観戦レポート WATCH

第13回 U-19 女子ソフトボールワールドカップ 観戦レポート

スポーティ

8月10日~17日までの8日間に渡り、女子ソフトボール19歳以下のワールドカップが、米国カリフォルニア州アーバインで開催されました。

この大会は、ユース世代の女子ソフトボールにおいて、世界最高峰のイベントです。1981年に始まり、今回で13回目を迎えます。以前は、4年ごとに開かれていましたが、2011年からは隔年ごとの開催になっています。 

過去12回の大会で常に優勝を争ってきたのが、日本と米国です。優勝回数は、米国の6回に対して、日本が5回(1回だけ中国が優勝)、1991年からは、9大会連続でこの両国で優勝、準優勝を分け合ってきています。

現在の世界ランキングでも米国が1位、日本が2位。

まさに宿命のライバルと呼べる米国のお膝元での大会に挑んだ日本チームの戦いぶりを紹介します。

オープン・ラウンド (8/10~8/12)

今大会に挑むのは、5大陸16か国の代表チームです。オープン・ラウンドでは、その16チームが4チームごとのグループに分かれ、それぞれのグループ内で総当たり戦を行い、グループ内上位2チームが次のスーパー・ラウンドに進む形式です。

日本と同じグループBには、オーストラリア(7位)、イタリア(9位)、南アフリカ(28位)が入りました。*カッコ内は世界ランキングになります。

3大会ぶり6度目の優勝を目指す日本にとっては、格下とも言える相手でした。日本はその前評判に恥じない実力を見せ、3戦全てをコールド勝ちという圧倒的な強さで、オープン・ラウンドを突破しました。


日本対オーストラリア戦。観客はまばらでのんびりした雰囲気。

日本代表チームの戦績

• 8/11 対南アフリカ戦 8-1 勝利(5回コールド)
• 8/11 対オーストラリア戦 8-1 勝利(5回コールド)
• 8/12 対イタリア戦 10-0 勝利(5回コールド)

グループAの米国も同じく3戦連続コールド勝ちです。

オープン・ラウンドを終えて、スーパー・ラウンドに進んだのは、米国(1位)、日本(2位)、カナダ(3位)、プエルトリコ(4位)、メキシコ(5位)、チャイニーズタイペイ(6位)、オーストラリア(7位)、中国(8位)の8か国の代表チーム。世界ランキング通りの順当な結果となりました。

スーパー・ラウンド (8/13~8/16)

スーパー・ラウンドも総当たり式のリーグ戦形式で行われます。日本と米国の2強チームの勢いは止まりません。

日本は4連勝、米国は3連勝した後に、全勝同士の両者が直接対戦した8月15日の試合が、このラウンドのハイライトになりました。

この重要な試合で先発のマウンドを託されたのは、後藤希友投手(トヨタ自動車)です。日本チームでは最長(173cm/71kg)の後藤選手ですが、米国チームと対峙すると、さほど体の大きさは目立ちません。

何しろ大会公式ホームページによれば、米国チームの平均身長は174センチ、平均体重は73.6キロです。つまり、後藤選手でやっと平均ぐらいなのです。米国チームには180センチ超の選手が5人います。
 
ちなみに日本チームの平均身長は162.5センチ、平均体重は62.8キロです。日本人としては、やや大柄な体格と言っていい選手たちですが、米国チームと比べると一回りも二回りも小さく見えます。

体格の違いは両チームのプレイ・スタイルにも反映されます。日本チームは、右投げ左打ちの選手が多く、まるで走りながら打つようなダウンスイングのバッティング・フォームでボールを転がそうとするのに対し、米国チームの打者は、野球と同じような軸足に体重を乗せたアッパースイングで思い切り振り回してきます。

勿論、両チームの全員がそうだと言うわけではありませんが、そのような傾向があるという意味において、かけ離れてはいないと思います。

試合の山場は、1回裏米国の攻撃でいきなり訪れました。先頭打者のワレス選手がフルカウントからファールを連発して粘った後の12球目をセンター前ヒット。

2番打者エコルス選手がショートゴロを打つと、一塁への返球が悪送球となり、ボールが外野に転がるうちにワレス選手が一塁から一気に本塁を目指します。

本塁では、タッチアウトになったワレス選手でしたが、3塁を回った際に三塁手が進路を妨害したと判定され、米国に先取点が入りました。

結局、この1点が勝利点且つ両チーム唯一の得点となり、日本は0-1で敗れました。日本打線は米国のエース、ファライモ投手の前に7回3安打14奪三振と完全に抑え込まれました。

米国打線もこの試合で放った安打は初回先頭打者ワレスの1本のみ。まさに痛恨の走塁妨害判定となりました。


試合を終えた日米チーム。日本チームは頭一つ分小さい。

日本代表チームの戦績

• 8/13 対プエルトリコ戦 10-0 勝利(4回コールド)
• 8/13 対チャイニーズタイペイ戦 9-0 勝利(5回コールド)
• 8/14 対中国戦 6-1 勝利
• 8/14 対カナダ戦 7-0 勝利(5回コールド)
• 8/15 対米国戦 0-1 敗北
• 8/16 対メキシコ戦 11-0 勝利(4回コールド)


スーパー・ラウンド 日本最終戦 対メキシコ。

日米両チームとも、この直接対決以外の全ての試合には危なげなく勝利し、米国が全勝でトップ、1敗の日本が2位でスーパー・ラウンドを終えました。その結果、今大会の優勝決定戦も日本対米国の対決になりました。 

優勝決定戦 (8/17)

こうして迎えた10大会連続となる日本対米国の頂上決戦は優勝決定戦の名に恥じない名勝負となりました。

両チームの先発は2日前と同じ、日本が後藤、米国がファライモでした。2人とも、今大会ではこの日までの自責点はゼロ。大会きっての剛腕同士の投げ合いになりました。

予想通りの投手戦となり、試合は両チーム無得点のまま、規定の7回を終了しました。延長戦に入ると、大会ルールにより、毎イニングは無死2塁の場面から始まります。

8回表、日本打線はさすがに疲れが見えてきたファライモをとらえ、笠原朱里選手、高橋まひろ選手が連打のタイムリー、さらにエラー絡みで得点を重ね、この回一挙に3点を挙げ、優勝に王手をかけました。

場内は今大会で一番の盛り上がりになりました。もちろん、地元の米国チームを応援する人の方が多数なのですが、日本側のスタンドも負けてはいません。と言うのは、他国の選手たちが大勢で日本を一生懸命応援してくれていたのです。

筆者の周りにも、ボツワナ、オーストラリア、ブラジルのユニフォームを着た選手たちがいました。特にボツワナの女の子たち(と呼びたくなります)は試合開始から終了まで、ずっと歌を歌い続けていました。

場内からは例の「USA! USA!」の大合唱が起こるなか、それに対抗して「Japan! Japan!」と大声で声援を送ってくれる彼女らの姿は、日本人としてとても嬉しく思えました。

3-0で迎えた8回裏。米国の攻撃も無死2塁から始まります。ここまで米国打線を散発3安打に抑えてきた後藤投手にも、やはり疲れがあったのでしょう。

1死1塁3塁の場面に代打で登場したハムード選手にレフト越えの特大同点スリーランを浴びました。これで試合は3-3の同点となり、勢いに乗る米国はエコルス選手があはやサヨナラホームランかと思われた右中間フェンス直撃の3塁打。

続くフリード選手の内野ゴロが不運なイレギュラーバウンドになり、ショートのグローブからボールがこぼれる間にエコルス選手が生還。

これが決勝点となり、日本は延長戦の末、3-4のサヨナラ負けで、この大会をまたもや準優勝で終えました。


米国優勝決定の瞬間。大会公式ツイッターより。

グラウンドで折り重なり、喜びを爆発させた米国チーム。マウンド上で泣き崩れる後藤投手。うなだれながらも整列してスタンドに一礼する日本チームの全選手たちにスタンドから盛大なスタンディング・オベーションが送られました。

オリンピックに向けて

2020年東京オリンピックでは、ソフトボールは3大会ぶりに開催種目に復活しています。前述の後藤希友選手は今回のメンバーでは唯一、日本代表の強化指定選手にも選ばれています。

しかしながら、オリンピックのメンバー枠は、15人と少ないので、果たして後藤選手にチャンスがあるかどうかは現時点ではわかりません。

残念ながら、続く2024年パリではソフトボールは、開催種目から除外が決定済みです。その後の2028年ロサンゼルスでの再復活を期待したいところです。2028年には今大会U-19で活躍した彼女らが27歳前後のまさにチームの主力となっていることでしょう。

この日悔しい思いをした日本チームの選手たちがオリンピックの大舞台で雪辱を晴らす場面を見てみたい。心からそう思います。


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