チームメイトの優勝を強力アシスト。與那嶺恵理選手が出走したツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアー2019

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チームメイトの優勝を強力アシスト。與那嶺恵理選手が出走したツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアー2019

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ツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアーは、今年で3回目の開催を迎えた中国の広西省チワン族特別自治区で開催されるワールド・ツアーのレースです。

今年の女子のロードレースシーズンを締めくくるこのレースに、日本人サイクリストの與那嶺恵理選手が出走し、チームメイトの優勝を強力にアシストしました。このレースのレポートをお送りします。

TOP写真:スタート前サイン台にて。写真左が與那嶺恵理選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

レースの舞台は中国桂林市


チームメートと談笑中の與那嶺選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

毎年、男子のレースの最終日に合わせて開催されるツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアー。今年で3回目の開催となります。

今回は、中国桂林市に女子プロチームの17チームが集合。今シーズン最後となるこののレースを戦いました。

この中国でのレースに出走していたのが、アレ・チッポリーニ(Alé Chipollini)所属の日本人サイクリスト、與那嶺恵理選手です。直前まで日本で2週間ほど過ごした後に、中国へ乗り込みました。

この日、中国での初レースを迎えた與那嶺選手に同国のレース環境について感想を伺ったところ、次のように話をしてくれました。

路面がきれいに整備されていて、想像していた以上に自転車で走りやすいです。

この日のアレ・チッポリーニは、與那嶺選手と共に、クロエ・ホスキング(Chloe Hosking)選手、ソラヤ・パラディン(Soraya Paradin)選手、カーリン・スウインケル(Karlijn Swinkels)選手、マルフォーレン・バントゲルフ(Marjolein Van’t Geloof)選手の4人が、レースに挑みます。

この日のレースは、桂林市郊外からスタートし、市内の目抜き通りのゴールへ向かう145㎞のコース。終盤に2級山岳と3級山岳がありますが、それらを過ぎるとゴールまで約40㎞の平坦な道が続きます。こうした状況から、スプリンターがこの日の主役になるであろうと予想されていました。


スタート地点の写真。写真奥の山々を選手たちが走ります。Photo by Yukari TSUSHIMA.

レースがスタートしたのは、朝10時。厚い雲が空を覆い、太陽が顔を見せたのは、スタート前のわずかな時間だけでした。

東アジアの3チームが出走


中国のプロチーム、チャイナ・リブ・プロ・サイクリング。Photo by Yukari TSUSHIMA.

このレースには、東アジアから3チームが参加していました。まずは、中国のプロチームである、チャイナ・リブ・プロ・サイクリング(China Liv Pro Cycling)。現在の中国チャンピオンである赵茜沙選手を擁するチームです。

そして、中国代表チーム。


中国代表チーム。Photo by Yukari TSUSHIMA.

最後に、香港代表チーム。現在中国大陸と香港の関係は、かなり難しい状況にあります。しかし、レース前に香港代表が姿を現すと、中国の観客から大きな拍手が送られました。


香港代表チーム。Photo by Yukari TSUSHIMA.

数人の選手は、アジア選手権などにも出走していますが、基本的に3チームとも中国国内、あるいは香港でのレースのみに出場しています。ほかの地域(ヨーロッパ等)のレースに参加することはほとんどないようです。

決して競技人口の多いわけではない中国の女子自転車界ですが、この日のようなワールドツアーのレースを活用してレース経験を積もうとしている様子を、見て取ることができました。

雨の中のゴール前スプリント


アレ・チッポリーニのホスキング選手が優勝(写真左から2人目)。Photo by Yukari TSUSHIMA.

選手たちがスタートすると、黒い雲が空を覆い始めます。そして、スタートして2時間ほどたったころには、とうとう雨が降り始めました。

最初は小雨だったものの、徐々に雨脚が強くなります。幸い、雨が本降りになる前に選手たちは最後の山岳を下り終えていたため、この時点で選手たちが危険に見舞われることはありませんでした。

レースの終盤にも雨脚が強まります。その時、アレ・チッポリーニをはじめとするスプリンターを擁するチームがメイン集団をコントロールするために、積極的に動き始めました。

そして、各チームがスプリントの体制に入った、ゴール前1km地点で落車が発生し、メイン集団が分裂します。その落車を集団の前方で逃れた選手が、最後のコーナーを左折し、スプリント体制に入りました。そして、この雨のスプリントを制したのは、アレ・チッポリーニのホスキング選手でした。

最後のコーナーが雨で濡れてて、すごく滑りやすかった。だから、転ばないようにスプリントしたの。

上記のようにレース後に話したホスキング選手。同選手にとって、9月のマドリッド・チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ(Madrid Challenge by La Vuelta)に続く、ワールドツアーでの勝利となりました。


レース後の與那嶺選手(写真右)とパラディン選手(同左)、スウインケル選手(同中央)。Photo by Yukari TSUSHIMA.

もちろん、與那嶺選手もこの優勝に大満足。今シーズン最後の勝利をチームメイトと堪能できたことに、とても喜んでいる様子でした。


表彰式は男女一緒に。Photo by Yukari TSUSHIMA.

レース後の表彰式では、男子のレースの特別賞ジャージの獲得者と一緒にシャンパン・ファイトをしたホスキング選手。これからは、男女の優勝者が同時に表彰台に立つことが、自転車レースのスタンダードになっていくのかもしれません。

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