ブエルタ・ア・エスパ―ニャ2018レースレポート サラマンカ編
WATCHブエルタ・ア・エスパ―ニャ2018レースレポート サラマンカ編
今年のブエルタ・ア・エスパーニャは、La Covadilla (ラ・コバディーリャ)の山頂ゴールで、暑い第1週目を終わりました。そして、第2週目のスタート地点となったのは、サラマンカのプラザマヨールでした。
今回は、第9ステージの山頂ゴールと、第10ステージのスタート地点の様子をお伝えします。
第9ステージ: La Covadilla (ラ・コバディーリャ)の山頂ゴール
休養日直前の第9ステージは、ラ・コバディーリャの超級山岳を筆頭に、1級・2級・3級山岳すべてを超える、ハードなコース設定でした。その結果、先頭集団と優勝候補を抱えるメイン集団とタイム差は、最後の登りの時点ですでに7分近くまで開いていました。
ラスト20km地点の先頭集団 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
メイン集団は、まだ相当な40人ほどの大集団で、ラスト20㎞地点を通過します。
集団もラスト20km地点を通過 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
この時点でリーダージャージを着ていたRudy Molard (ルディ・モラッド/ GROUPAMA – FDJ) 選手は、集団の中ほどに位置していました。しかし、この後、彼は主要な優勝候補たちから大きく遅れてしまいます。
写真中央、リーダージャージのモラッド選手 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
メイン集団から少し離れて、Cofidis(コフィディス)のグルペットが来ました。スプリンターのNacer Bouhanni(ナッセル・ボワンニ)選手をゴールまで連れて行くのが、彼らの仕事です。
コフィディスのグルペット (Photo by Yukari TSUSHIMA)
この日のステージ優勝は、Benjamin King(ベンジャミン・キング/ Dimention Data)選手でした。総合リーダーのモラッド選手はメイン集団から6分近く遅れてしまい、その結果Simon Yetes(サイモン・イエッテス/Michelton-Scotto) 選手へとリーダージャージを明け渡しました。
第10ステージ: スプリンターが主役のステージ。
休養日を挟んだ第10ステージは、サラマンカの名所・プラザマヨールからのスタートです。
サラマンカのプラザマヨール (Photo by Yukari TSUSHIMA)
スペイン有数の美しいこの広場に、選手たちが次々と出走前サインに訪れます。一日休んだせいか、選手たちの表情にも余裕が伺えます。
出走前サイン台に来た選手たち (Photo by Yukari TSUSHIMA)
そのような中、前々日の第9ステージを勝ったキング選手が姿を見せました。すでに今年のブエルタで2度のステージ優勝をしているため、スペインでもすっかりおなじみの選手です。観客席からも熱烈な応援が彼に送られます。
インタビューを受けるキング選手。後ろのFabio Aru(ファビオ・アル)選手がよい笑顔 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
プラザマヨールに集まった大勢の観客たちは、サインや2ショットの写真を頼もうと、一生懸命に選手たちにアピールします。それに対する選手たちの反応は様々です。まったく反応しない選手もいますし、いまいち気乗りしない表情でほんの数人のリクエストに答える選手もいます。というのも、「出走前のサイン台で、どのように(あるいは、どこまで)ファンサービスするのか」ということは、基本的に各選手の判断にゆだねられており、観客も選手の判断を尊重する人が多いためです。
こうした状況の中、とてもうれしそうに子供たちに対応しているサイクリストを発見しました。それが、この写真のEduardo Pardes(エドゥアルド・プラデス)選手。Euskadi Basque Country-Murias(エウスカディ・バスク・カントリー・ムリアス)のエースで、優しい笑顔の彼は、登りのスペシャリスト。ブエルタ第2週以降の彼の登りに、どうかご注目ください。
エドゥアルド・プラデス選手と子供たち (Photo by Yukari TSUSHIMA)
この第10ステージは、登りの少ないスプリンター向けのコースです。今日のレースが終わると、しばらくは彼らの出番がない山岳コースが続きます。そのため、この日の朝はどのスプリンターも気合十分でスタート地点に現れました。
この日のステージ優勝候補の1人、Elia Viviani (エリア・ビビアーニ/ クイックステップ)選手 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
ラ・コバディーリャのステージで総合首位に立ったイエッテス選手は、出走サインが終わる時間のぎりぎりに登場します。そして、サイン後、そのままスタートラインへと向かいました。
総合リーダーは一番最後にサイン。 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
こうしてスタートした約1時間後に、サイクリストたちは再度サラマンカの街を通過します。この時点で、すでに2人の選手が逃げており、彼らとメイン集団とのタイム差は約3分。リーダージャージのイエッテス選手は、チームメートに守られながら淡々とレースを進めていきます。
チームメートと一緒のイエッテス選手 (Photo by Yukari TSUSHIMA)
結局、第10ステージのスプリント合戦を制したのは、クイック・ステップのビビアーニ選手でした。一方、リーダージャージは、引き続きイエッテス選手が着続けることになりました。
今年のブエルタ・ア・エスパーニャの第2週目には、山岳ステージが続きます。総合優勝争いからはすでに脱落したように見える選手であっても、この第2週目以降の走り次第では、大逆転で上位に食い込んでくる可能性のあるコース設定です。
まだまだ気の抜けないブエルタ・ア・エスパーニャ2018。これからも楽しみましょう。