ブエルタ・エスパ―ニャ2019コース解説
WATCHブエルタ・エスパ―ニャ2019コース解説
12月19日、スペイン・アリカンテで、2019年のブエルタ・エスパ―ニャのコースが正式に発表されました。今回の記事では、来年のブエルタのコースを紹介しながら、レースの見どころになるであろうステージを検証します。
TOP写真出典先:https://www.lavuelta.es/es/recorrido-general
ブエルタ第1週目 バレンシアの海と山が舞台
まず、2019年のブエルタ・エスパーニャのコース詳細は以下の表のとおりです。
日付 | |
8月24日 | サリーナス・デ・トレビエハ/トレビエハ (18km–TTT) |
25日 | ベニドルム/カルペ (193km) |
26日 | イビ・シウダド・デ・フゲテ /アリカンテ(186km) |
27日 | クレリャ /エル・プイグ(177km) |
28日 | レリアナ/オブセルバトリオ・アストロフィジコ・デ・ジャバランブレ(165.6km) |
29日 | モラ・デ・ルビエロス/アレス・デ・マエストラット(196.6km) |
30日 | オンダ/マス・デ・ラ・コスタ(182.4km) |
31日 | バリェス/イグアラダ (168km) |
9月1日 | アンドラ・ラ・ベリャ/コルタレス・デンカンプ(96.6km) |
2日 | 休養日 |
3日 | ジュランソン/ポー (36.6km- ITT) |
4日 | サン・パレス/ウルダックス・ダンチャリネア (169km) |
5日 | シルクイート・デ・ナバラ/ビルバオ (175km) |
6日 | ビルバオ / ロス・マチュコス・モニュメント・デ・バカ・パシエガ(167.3km) |
7日 | サン・ビセンテ・デ・ラ・バルケア/オビエド (189km) |
8日 | ティネオ / サントゥアリオ・デ・アセボ(159km) |
9日 | プラビア/アルト・デ・ラ・クビーリャ・レナ(155km) |
10日 | 休養日 |
11日 | アランダ・デ・ドゥエロ/グアダラハラ(199.7km) |
12日 | コルメナール・ビエホ/べセリル・デ・ラ・シエラ(180.9km) |
13日 | アビラ/トレド(163.4km) |
14日 | アレーナス・デ・サンペドロ/プラタフォルマ・デ・グレドス(189km) |
15日 | フエンラブラダ/マドリード (105.6km) |
出典:https://www.lavuelta.es/es/recorrido-general より筆者翻訳。
第1週目の舞台は、バレンシアです。リゾート地として有名なアリカンテ周辺から、レースがスタートします。8月のこの時期のバレンシアは、もちろん真夏。気温が30度を超えることも珍しくありません。まず、選手たちはこの暑さに苦しむことになるでしょう。
加えて、この第1週には、海沿いの道を選手たちは走ります。風の影響を受けやすくなるので、スプリンターを抱えるチームには、かなり神経質な1週間になると予想されます。
また、第4ステージから第7ステージは、バレンシアの山岳地帯が舞台です。その後のピレネーでのステージと比べると、標高は高くありませんが、テクニカルなコースが多いので、総合上位を狙う選手を抱えているチームにとっては、油断できないステージになるでしょう。
ブエルタ第2週目 ピレネー・バスク・アストゥリアスの山岳ステージ
2018年のブエルタ・アストゥリアス第2ステージ。サントゥアリオ・デ・アセボの登りの様子。
第2週目になると、本格的な山岳コースが選手たちを待ち構えます。2019年唯一の個人タイムトライアルは、フランス・ポーがゴール地点で、距離は36㎞。このあたりを走る以上、山登りのタイムトライアルとなることは避けられません。
今年のスペイン・バスク地方は、ビルバオがゴールおよびスタート地点。バスク地方の自転車ファンが、選手たちを大拍手で迎えることでしょう。
2019年のブエルタ・エスパーニャの見どころの一つは、第14ステージから第16ステージまで続くのアストゥリアス地方でのステージです。特に第15ステージのサントゥアリオ・デ・アセボの登りは、来年のブエルタで最も重要な登りゴールの一つになるでしょう。この登りの距離は約9㎞で、平均斜度は8.2%。ゴールまで約400mの地点に最大斜度16%の激坂が、選手たちを待ちかまえます。
サントゥアリオ・デ・アセボは毎年春に開催される、ブエルタ・アストゥリアス(Vuelta a Asturias)では頻繁に登場する登りであるにもかかわらず、なぜか今までブエルタ・エスパ―ニャのコースに組み入れられたことがありませんでした。多くの選手が「とにかくきつい」と表現する、アストゥリアス有数の登りゴールを、TVでご堪能ください。
ブエルタ第3週目 油断できない最後の山岳ステージ
2018年のブエルタ・エスパーニャ優勝者のサイモン・イエッテス (Simon Yates) 選手。すでに来年のブエルタの優勝候補筆頭に挙げられています。(Photo by Yukari TSUSHIMA)
第3週は、マドリードの近くを巡ります。しかし、スペインの首都を囲む山々は、最後の最後までブエルタの総合優勝候補を苦しめることになるでしょう。
例えば、第18ステージの舞台は立派な山岳コースです。そのため、総合優勝争いが僅差であった場合などは、選手たちがこのステージで一気に勝負をかけてくる可能性があります。
そして、ここ数年3週間のレースの優勝者を決める大きな要素になっているのが、下りの戦略です。山岳の登りだけでなく、下りにも自信のある選手であれば第20ステージが終わるまで、優勝を狙い続けることができるでしょう。
今年同様に厳しいステージが続く2019年のブエルタ・エスパ―ニャ。どのような選手が出走するのか、今から楽しみにしてみましょう。