【連載】フリーライター遠藤由次郎が行く ブラジルW杯現地観戦チャレンジ ブラジルW杯ではどうなる!? 世界各国のサッカー事情
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「サッカー(フットボール)は世界の共通語」なんて言葉があるように、この単純明快で最も楽しいスポーツは世界のどこでも触れることが出来る。今回はW杯で体験出来るかもしれない、世界各国のサッカーを紹介したい。
TVには映らない ロナウジーニョのスーパーウォーミングアップ
19歳だった僕が、初めて世界のサッカーに触れた試合が2005年の2月のこと。場所はFCバルセロナのホームスタジアム、スペインのカンプノウ。たまたまチケット窓口で前後になった背丈2メートルを超すイラン人と一緒に見た、“キックオフ前”の出来事が印象的だった。
ロナウジーニョとサミュエル・エトーの2人が両サイドのタッチラインに立ち、2タッチのみのリフティングをしてパス交換するという驚愕のウォーミングアップ!! そんな自由で独創的な練習法、日本では見たこともなかった。試合中のプレイももちろん凄かったけど、現地でしか体感できない“試合前の素の姿”の方が鮮明に覚えている。
トイレに行こうと立ち上がった、くだんのイラン人の頭がカンプノウの屋根にぶつかったときもびっくりしたけど。
代表選手に会える!? 海外クラブのファンサービス
ドイツ・ブンデスリーガ、ハンブルガーSVのスタジアムに行ったときのこと。この日はチームの練習があるようで、数十人のファンたちが会場を訪れていた。僕もそのうちのひとりだった。お目当ては当時日本代表だった高原直泰選手。
一目見ようとスタジアム内で待っていると、ちょうど駐車場に入ってくる一台の車。そこには高原選手の姿が! どうやら遅刻しているようでとてもあわてていたけれど、そんな中でもサインと写真撮影をしてもらうことができた。
世界の舞台で戦う日本人選手というとすごく遠い存在のように思えるけれど、現地に行けば意外と普通に会えるものだと驚いた。ファンサービスが求められる海外クラブならではの光景だろうか。厳重な警備体制がひかれるワールドカップでは、そうもいかないのかな?
ダービーマッチは代理戦争 紛争地域の過激なサポーター
ボスニア・ヘルツェゴビナ・プレミアリーグのFKヴェレジュ・モスタル対HSKズリニスキ・モスタル、通称“モスタルダービー”を見たのは2008年9月のこと。
FKヴェレジュは、イスラム教徒であるボシュニャク人のチーム、HSKズリニスキはカトリック教徒であるクロアチア人のチーム。ボスニア内戦の影響が強く残る地域で、宗教的にも民族的にも相容れないチーム同士のダービーマッチとなった。
このボシュニャク人とクロアチア人による代理戦争の様相を呈する試合は、荒れに荒れた。試合終了10分前になると、観客たちがスタジアムに乱入。選手たちが試合以上の走力で逃げていたのが印象的だった。世界のダービーマッチは、日本の常識を軽く凌駕している。ワールドカップの熱も、きっと想像以上なのだろうなあ……。
友好的なダービーマッチとジャイアントキリング
こんな経験もあって「世界のダービーマッチとは、いがみ合うものだ」と思っていた。そんな考えを覆されたのが昨年観戦したリーガ・エスパニョーラ、グラナダCF対マラガCFの東アンダルシア・ダービー。
冒頭の写真がそのスタジアムの光景。対戦相手のサポーター同士、肩を組み合って楽しそうに踊っているのだから、世界のサッカーとは奥が深いものだと感心させられた。でも、サッカーのレベルはJリーグのそれと比べて決して高いものではなかった。
そんなチームが、バルセロナのようなビッグクラブに土をつけるのだから(※2014年4月12日の第33節グラナダCF対FCバルセロナ)いやはや、世界のサッカーは本当に奥が深い。日本がワールドカップで優勝することもなくはない!?
世界中にいる“街の達人” ストリートサッカーの魅力
「オレは日本人だ!」10回以上そうアピールしたのに「チャイナ、ドリブル!」「チャイナシュート!」と言われ続けたのが、インド・カルカッタで混ぜてもらった少年サッカーだ。
現地で一緒にプレイをすることで見えることはいっぱいある。インドでは、パスはほとんどない。少年たちの選択肢は、ドリブルかシュートだ。とにかく目立ちたがり屋が多いのだ。インドの町中でカメラを構えると、すぐに“オレを撮れ”という輩が現れることも証左している。
ビールっ腹のオヤジに負け続け、悔しい思いをさせられたのがバンコクでしたセパタクローだ。どうしても勝てないものだからシューズのせいにしたら、セパタクロー用のシューズブランドを教えてくれて、翌日買ったばかりのその靴で勝負した。そしたらまた負けて……。
世界の街角にはすごいやつもいるもんだと感心した。ブラジルでももちろん、現地のサッカーに混ざりたいと思っている。ワールドカップじゃなくても、ここで書いたような体験が待っているのだから“本番”が実に楽しみである。