【連載】フリーライター遠藤由次郎が行く ブラジルW杯現地観戦チャレンジ 【W杯現地レポート】「日本対コロンビア」世界のサポーターと代表への感謝
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「日本ダメね。ザッケローニ監督なんて古い人だからダメね。岡田監督とか、僕良い思うね」
日本がグループリーグ最終戦を戦ったクイアバで出会った日系ブラジル人の家族は、揃ってセルジオ越後並みの辛口コメントを発した。日本は野球でしょとばかりに、巨人の二岡選手のユニフォームを羽織る始末だ。
「でもやっぱり日本勝ってほしいね。今日の試合は、ここ(クイアバ)周辺の日系人がいっぱいスタジアムに来るよ。コロンビア相手に難しいけれど、きっと勝てるはずね」
それでも彼らは応援の言葉を忘れなかった。僕もそう信じて試合会場のアレナパンタナールまで歩いて行くことにした。30分以上かかる道のりだけど、道中で少しでもブラジル人を日本サポーターに変えようと思ったのだ。
多勢に無勢……大アウェイの日本代表サポーター
アレナパンタナールの手前、数百メートルになると僕たち日本人サポーターは圧倒的少数派だということに嫌でも気付かされた。
レシフェやナタールに比べ、日本人のサポーターは激減。対して相手国であるコロンビアはコートジボワールやギリシャに比べて倍増、いや数百倍増。数万人規模。はっきり言って大アウェイ状態だ。
日本人サポーターの声は、圧倒的多数のコロンビア人の大応援歌にかき消された。心なしか、日本人選手たちも最後の押しが弱い。大久保嘉人が外してしまった惜しいシュートは、日本のホームなら決まっていたとも思う。
強すぎたコロンビアと自国を応援できた感謝
1-4という大差がついた結果となった試合終了後、いつものように世界の外国人サポーターの声を拾おうとあたりを見回しても、見つかるのはコロンビア人ばかりだ。
「日本も良いチームだったね。これは本当に。でも僕らコロンビアが上だったってことだよ。優勝できるかって? それはわからないね。良いチームだけど運もあるから」
そのうちの一組のコロンビア人をつかまえて話を聞くと、意外にも第一声は日本をほめるものだった。もう少し聞いてみよう。
「本田はいい選手だったし、2番(内田篤人)もいい選手だったね。このユニフォーム? 日本人と交換したよ」
そう語ってくれたの首都ボゴタからやって来た男性だ。たまたま同じ部屋に泊まることになったコロンビア人が言っていた言葉を思い出す。
「コロンビアのユニフォームは、イミテーションで10ドルくらいかな。すごく安いよ」
……。日本のレプリカは100ドル弱。こんなところでも、日本はコロンビアにしてやられたようだ。
さらに声をかけると、コロンビア人かとおもいきやサンタ・クルスからやって来たボリビア人だった。
「ボリビアよりもよっぽど良いチームだよ日本は。でも相手が強かった。コロンビアはセミファイナルまでは間違いなく進むね」
日本がどうこうというよりコロンビアが強すぎたと肩をすくめる。この日のコロンビアは、レギュラーの大半を温存したにもかかわらずのこの結果。みなが「仕方ない」と語るのも納得がいく。
最後に、会場にいた日系ブラジル人の女性二人組に話を聞いた。
「母はここクイアバから500キロ離れたところから応援に来ました。楽しかったですよ。こんなに日本人や日系人が集まることなんてないですから。また日本を応援したいですね」
そう笑って話してくれた。彼女に言われて気づいた。先のボリビア人といい、厳しい欧州予選を勝ち抜けなかった日本より格上(と思われる)国々のサポーターは、ワールドカップで自国を応援することすらできなかったのだ。応援しに来れた、それだけで本当は感謝すべきことなのかもしれないと。
日本代表のみなさん、ありがとうございました! 僕はもう少しだけブラジルにとどまって、ワールドカップを楽しもうと思います。