フリーキックは頭で蹴ってもOK? 審判を楽しむ『ポジティブレフェリング』講座

フリーキックは頭で蹴ってもOK? 審判を楽しむ『ポジティブレフェリング』講座 DO

フリーキックは頭で蹴ってもOK? 審判を楽しむ『ポジティブレフェリング』講座

スポーティ

このフリーキックは、ルール上“正当”なフリーキックではありません。それはなぜでしょうか?

サッカー規則によると「フリーキックとは脚で蹴ってスタートするもの」と定められています。この試合ではプレーが続けられましたが、審判の判定は誤りだったのです。

JFA前審判委員長が語る「実践的レフェリング」

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JFA前審判委員長・松崎康弘さんは、今年『ポジティブ・レフェリング ファウルが減る! ゲームがおもしろくなる! 驚きのサッカー審判術』(デコ)を刊行しました。

10月4日に行なわれた同著の刊行記念イベント『審判お悩み相談室』には、公式審判員だけではなく、サッカー好きのお子さんを持つお父さん、Jリーグのファン、そして次世代サッカーを担う高校生等、多くの人が参加。

イングランドで1級審判員の資格を取得し、Jリーグでも笛を吹いた松崎さんが、冒頭のような実戦で役に立つレフェリング・テクニックと判定のコツをあますところなく語ってくれました。

大切なのは「コモンセンス」

「競技規則第12条・ファウルと不正行為」には「相手競技者に無謀にまたは過剰な力でタックルをした場合には直接フリーキックが与えられる」とあります。しかし「無謀にまたは過剰な力で」という部分について明確な基準があるわけではありません。

試合の中で行われたタックルが正当か、もしくは不正なタックルかを判断する際に「コモンセンス」が利用されます。「コモンセンス」とは一般的には「常識」と訳されますが、レフェリングにおいては「これがサッカーだ」という共通理解を意味します。

著者の松崎康弘さん

著者の松崎康弘さん

例えば、フィジカルコンタクトの多いプレイスタイルのプレミアリーグと、テクニックを駆使して相手をかわすプレイスタイルが好まれるリーガ・エスパニョーラには、審判の判断に違いがあって当然。

試合状況や関わった選手、その他様々なシチュエーションを加味した上で、サッカーという競技として妥当な判定をしていくことが「コモンセンス」の使い方です。

体格の違う小学生レフェリングのコツ

会場のお父さんからの「小学生の審判をやることがありますが、小学生は成長段階により、体格差があります。その場合は小さな選手に対して有利な判定をしてあげた方が良いのでしょうか?」という質問に対して、松崎さんはこう答えました。

小学生だからこそ、公平なレフェリングをするべきです。ボールをめがけてのタックルなのか、ぶつかりにいっているのか、タックルがプレイに直接関係あるのかなどを見て、ルールに乗っ取ってレフェリングしてあげることが大事です。

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コモンセンスは大事な要素ではありますが、レフェリングで一番大切なことはもちろん公平性。その中で見ている側もプレイしている側も納得が出来る判断をするために、コモンセンスを活用していく必要があるということです。

W杯で活躍した“あのスプレー”の使い方

ブラジルW杯で注目を集めた「バニシングスプレー」は、ボールとフリーキックの壁との9.15mという正確な距離を、選手に見えるように開発された道具です。一定時間経つと消滅するので、試合中に何度使用しても支障が生じません。

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ところがこのバニシングスプレー、実際に体験してみると散らばったり出すぎたりと、なかなかうまく線がひけません!

本大会でもいびつなラインの跡がピッチに残っていましたが、予想以上に難しいので練習してから試合に挑みましょう!

審判は選手より楽しい!

審判団のレフェリングにより試合は面白くもつまらなくもなります。自分のレフェリングにより、良い試合が行われた時の喜びは、選手として良いプレイをした時の喜びにも負けないもの。審判をすることは楽しいということも忘れてはいけません。

そんなレフェリングを楽しむコツがたくさんの『ポジティブ・レフェリング ファウルが減る! ゲームがおもしろくなる! 驚きのサッカー審判術』。レフェリングにお悩みの方は、ぜひ手に取ってみてください!

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